生まれ変わると…… 意識があっても、身体が未熟だから欲求には勝てない事が多いの!!
「で、地球に来ちゃったと……」
「うん! こーひーにゅにゅとくじゅもちたべたい♪」
「おじさん…… 我慢が足りないよ。子供か?」
「わたち、もうすぐ3さい♪」
「幼女だった」
病室でいろんな機械を付けて寝ていた少女……【ユメカ】ちゃんは、前世での知人の御孫さんだった。
彼女の祖父母が前世の両親の友人で、彼女の親とも幼馴染みだったから、何度も世話した事がある。
当時の前世の俺には、1人の兄に3人姉と7人の甥がいて……
15~6歳頃から、ほぼ保育士の様な状態で…… 誰かしらの世話をしていたのだ。
その経験から、買い出しの時とか病弱なユメカちゃんのお世話を手伝う事があった。
「で、私はどうなったの?」
「体調不良の原因は治しました。後は、体力面などの問題ですね」
ユメカちゃんの身体は、カナタの医療技術で治したけど…… 長い闘病で体力が無い。
「ユメカちゃんがきゅうにはちりだしたら、みんながぱにっくするよ」
「急に全快すると問題になりそうなので、徐々に体力面も改善しましょう」
「身体が丈夫になったなら良いよ。ゆっくり運動するね」
「それがいい」
「でも、どうやって来たの?」
「それは……」
温泉から飛び出した私は、先ず地球に行ける確率を探った。
〝地球に行ける確率0%〟
そう標示されたので…… 確率操作で行ける確率100%にしました。
後は、カナタの本体である宇宙船に適当な空間座標をサーチしてもらうと…… 地球を発見!!
その後は、カナタの本体に乗りワープ?で地球に来ちゃった。
「ちゃいちょは、まほうでっておもったんだけど…… ちきゅうでまほうがつかえなかったの」
転移魔法は、空間の魔力?に干渉して物を転移する魔法らしい。
地球は、空間魔力?が薄く…… 魔法が発動し辛いの。
「えるふは、ちきゅうだとちゃんけつになるかも?」
「ちゃんけつ?」
「酸欠ですね。マスターの言うエルフ種は、呼吸する様に空間の魔力を吸収しているので」
「大変! 大丈夫なの?」
「わたちは、だいじょぶ!」
高位種族化しているから、体内で魔力を作って循環する事ができてる。そのゆう事が高位種族化してからは、魔力の流れとか見えるので理解できる様になった。
「でね。こーひーにゅにゅとくじゅもちたべたい…… けど、おかねないの」
「私も無いし…… 外に出れないよ」
「うん、だから…… よんでほちぃの」
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「ユメカ…… この人達は?」
前世の両親の友人…… ユメカちゃんの祖父母が来た。
「ユメカ…… その子を下ろしなさい」
私は、ユメカちゃんの膝の上…… ぬいぐるみの様に抱き抱えられていた。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんからしたら、病弱な孫娘が見知らぬ幼女を抱いてる状態に…… 困惑して心配だろうな。
「ひちゃちぶり、【コウシロウ】さんに【サチ】さん」
「「え?」誰かさんの子供か? 誰だろうな?」
「えっ…… え~と、外人さんみたいだし……」
コンコン!
私の言動に、前世の両親の友人【コウシロウ】さんと【サチ】さんがますます困惑する中、ノックする音がした。
「どうぞ」
「こんにちは、ユメカちゃん…… とお爺ちゃんにお婆ちゃん? こんにちは」
「うん? リュウ君か? こんにちは。久しぶりだな?」
「リュウ君こんにちは。元気だった? 今日はどうしたの?」
ノックしていたのは、前世の兄の息子で前世の甥の【リュウタ】だった。
前世で歳の近いユメカちゃんの両親とは、前世の兄と姉も幼馴染みの付き合いがあり、甥達とユメカちゃんも面識がある。
「リュウタ、きた!」
「うわ!?」
「リュウ君の子供か?」
「奥さんはそこの人かしら? 外人さん? 何時結婚したの?」
「いやいや、俺、結婚してないし…… この子知らないんですけど?」
「「え?」」
リュウタの言葉に、コウシロウさんとサチさんが私を見る。
「わたちは、トワールです。ぜんちぇでは…… リュウタのおじさんだったよ~」
「「「はあ!?」」」
私の言動に…… リュウタとコウシロウさんにサチさんが固まった。
「こ、この…… おじさんは、1年前に死んだんだぞ! お前、どう見ても幼稚園児だろうが!!」
「うん、もうすぐ3さい…… あれ? いちねんしかたってない?」
「マスター、マスターの生まれた場所と此方では、間の天体などの影響で時空の流れがズレている様です」
「そうなの? まあ、わたちのぜんちぇはタカノブだよ」
「「タカノブくん!?」」
「コラ! ガ「どうりょうのかのじょさんと、うまくやってる?」!?」
「しんじないのなりゃ…… むか~し、むか~し、リュウタは…… おじいさんのいえにすていぬをひろってきちぇ……」
リュウタが幼い頃の思いで…… 前世の俺の〝弟分〟の愛犬の話をすると……
「うそ…… だろう…… おじさんなのか?」
「そうだよ~…… リュウタ、こーひーにゅにゅとくじゅもちがたべたいの!」
「えっ、こーひー? あ~…… おじさんの好物だ」
無邪気に笑う目の前のトワールの姿に…… リュウタは、もう居ない叔父の姿が重なって見えた。