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その後の事…… トワールは、自宅に掘った天然温泉の露天風呂で思い出す。


「はぁ~…… ふぅ~……」


「これが…… おんせんのおふろですか?」


私とナオミにカナタは、父様と兄様が着替えに戻った男爵家邸で別れて……


日本での暮らしを思い出した私は、我慢ができずに確率操作と魔法にカナタの力を使い、庭の一角に天然温泉の内湯と露天風呂を作り……


ナオミとカナタを連れて、カナタの超文明の力で身体の汚れを流し露天風呂に浸かっていた。


あの後の事……


緑竜様に父様と兄様が話をして…… 襲撃して来た草原の獣人達を東の辺境伯様の領都に連れて行った。


騎士さん達の話だと、東の辺境伯様の西の領地……


王都周辺の中央貴族領との堺のなんとか子爵領領主のなんとか子爵が……


獣人達に獣人種族が奴隷として中央に送られていると唆して、荷馬車を襲わせていたらしい。


荷馬車の荷物を自分の懐に入れながら……


「どうやら…… お前達の動きを恐れて、サイハ男爵が海から他領に送っている様だ」


と、緑竜様の怒りに触れた賊の首領を騙しては、父様を襲撃する様に送り出したとの事……


「あの子爵家とは、私の祖父母…… ハルトとトワールのひい祖父様とひい祖母様の時から因縁があるのだ」


当時…… この国の王族の分家にあたる辺境伯様には、エルフ族の姫にあたる女性が嫁いでいた。


そして、辺境伯様には息子二人と末の娘が生まれた。


息子二人も当然ながら…… 末の娘も、エルフ族の姫に似て美しく育っていた。


その辺境伯様の末の娘に貴族学院で惚れたのが…… 当時の学院生だったなんとか子爵のお父さんらしい。


でも、辺境伯様の末娘の姫様は…… 当時、東の辺境で魔物を狩っていたひいお祖父様に助けられて一目惚れ。


ひい祖父様は、その時の功績で騎士爵を獲て、辺境伯様と奥様に辺境伯様の息子二人にも気に入られて……


ひい祖母様と結婚して、現在のサイハ家領地を開拓した。


その後は、お祖父様とその弟と妹の5人を出産し育て…… エルフ族の血を持つひい祖母様は、ひい祖父様がいない時を生きるのを嫌い。


エルフ族の秘匿魔法である生死をも添い遂げる魔法で、人族の寿命で生きたひい祖父様と他界した。


年相応の姿で穏やかに眠りに就いたひい祖父様の横には、若い少女の様なひい祖母様が幸せそうに眠っていたと……


それを祖父母から聞いた私は……


子供ながらに…… ひい祖母様は、ひい祖父様が心底大好きだったんだと、実感したのを覚えている。


ひい祖父様とひい祖母様が他界したのが30年前……


ひい祖母様に一目惚れしたなんとか子爵のお父さんは、御存命なんですよね……


ひい祖父様とひい祖母様の代から、いろいろな嫌がらせをされていた様で……


例えば…… 東の辺境領の中で、なんとか子爵の領地は平坦な土地が多くて、中央にも近くて気候も穏やかな場所。


その事から、東の辺境領で1番の農耕地なんだけど……


うちのサイハ男爵領には、なんとか子爵領から食糧が来ない。


来ても…… かなりの高額で買わされる事になる。


理由は、東の辺境領の他の貴族領にも回していて、東の秘境にあるサイハ男爵領まで数が足らないとの事。


もっともらしい理由だが…… 王都の貴族学院生の兄様は……


王都などの中央貴族領では、なんとか子爵領の食糧が安く売られているのを見ている。


他にも、中央領からサイハ男爵領に運ばれる物を邪魔した事などがある。


この時は、荷物を要請したのが辺境伯様で送り主が王城だったから…… なんとか子爵家は慌てたらしいよ?


とまあ…… そんな感じで嫌がらせを続けているの。


特にサイハ家が男爵になってからは、今のなんとか子爵もお祖父様を目の敵にして…… いろいろいちゃもんを付ける様になったって聞いた。


成り上がりのうちが出世したのが気に食わないみたい……


「こんかいは…… しょうこがあるから、だいじょぶかな?」


貴族学院に次期子爵の子供達が入学してるらしいけど…… 親は選べないのだと、変な遺恨になる前に……


「きぞくのみち…… あきらめてもらいたいな……」


今回の事…… さすがに辺境伯様も無視できないし、明らかに他領に対するテロ行為だからね…… 子爵家は……


「とりつぶしかな……」


「おじょうさま…… だいじょうぶですか?」


私、考え事を呟いていたみたいで…… ナオミが心配そうに見てる。


「にゃんでもにゃいよ~」


久しぶりの温泉に浸かる感覚に…… 次は打たせ湯かジェットバスかな? と考える。


この国は、魔法があるから身の回りは生活魔法で洗浄しちゃうので…… お風呂の文化が無いんだよね。


魔法が苦手な種族もいるけど、基本的には水浴びか他種族に対価を払って頼むのが一般的な様だ。


湯治の概念も無いので、温泉も臭うお湯だと思われて近付かないらしい。


この辺りの山脈の温泉の源泉地で、火山ガスや成分で草木が生えないのも一因らしいけど、一部の種族には地毒だと伝わるらしい。


まあ、安心安全な温泉しか湧かない様に確率操作して、カナタに超文明のろ過装置を通してもらったから…… 万が一は無いけどね。


「あとは…… ふろあがりのいっぱいが…… ほしい!」


まだ小さくて目立たない股間を隠しながら、いろいろあった身体をほぐしていると…… 不意に日本の銭湯の定番を思い出した。


「やばい…… こーひーにゅにゅとくじゅもちが…… たべたい……」


前世で好きな食べ物が頭に浮かんで、我慢ができない!!


「ちきゅう…… にほんにいく!!」


私は、温泉から飛び出した。



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