表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/9

トワールもうすぐ3歳は、めんどう事を保護者に丸投げした。


「すご…… い」


突然の緑竜の登場に言葉を無くしたら、回りの怒号や騒音も消えて鎮まった様だ。


絆児(きずなご)よ…… これは何事か?』


「えっ…… わたちにも、よくわかりゃないです……」


「緑竜様!!」


緑竜様の問いにどう答えたら良いのか? 戸惑っていると…… 剣を持った男性が現れて、緑竜様の前に片膝を付いて頭を下げた。


「とうさま!」


「な? と、トワールなのか!?」


所々に付いた汚れから、戦闘に参加していた事が確認できる。


「とうさま! にいさまは? いたいとこない?」


「私とハルトは無事だが…… トワール、お前とナオミは無事なのか? それに…… その姿とその侍女は? 連れに侍女はナオミだけだったが?」


「マスターのお父様ですね。私は「カナタ!」マスター?」


「ぎんがのかなたから、わたちをたすけてくれたから…… なまえがないのなら、あなたはカナタ」


「はい、今日この時から私はカナタです。マスターのお父様、私はマスターのトワール様に召喚された…… 精霊の様な者だと思い下さい」


「せ、肉体を持つ精霊だと!? トワールには高位精霊を喚ぶほどの召喚師の才能が?」


『驚く事は無い』


「りょ、緑竜様?」


『そなたの娘…… 絆児(きずなご)は高位種族になったのだ』


「こうい…… しゅぞく?」


『うむ、エルフ族などではハイエルフなど言うが…… 絆児(きずなご)の場合、高位の混血種族だから…… ハイハーフとも言うべきか?』


どうなんだろう…… ハイクォーターとかも違う感じだし…… 高位混血種族だから…… ハイカオス族って感じかな?


「高位種族…… しかし、高位種族になるには長き時や修練が必要不可欠なはず…… トワールは、私の娘は、まだ数えて3年しか生きて居りませんが?」


『その者の影響であろう…… 召喚されし者よ』


「はい、マスターが私を呼び出した時…… 生命活動維持が危機的な状態でした。ですので、私の機能でマスターの身体を最適な状態まで再生回復しました」


「最適な?」


『生命の最適…… 即ち進化で高位種族化の事だったのであろうな…… して、何故に争っているのだ?』


「はっ、それが…… 私達は襲撃された身でして……」


「東の聖なる緑竜様とお見掛けします!」


『うむ? 御主は何者か?』


緑竜様と父様が話していると…… 一人の男性が近付いて頭を下げた。


「我は、この地より西の草原に住む獣人のハイエナのバルラガ…… この地に捕らわれし獣人族の解放に来た者! サイハ男爵よ。東の大森林を我等に明け渡し、その罪に首を差し出せ!」


「「はあ!?」」


この男性は何を言っているの?


『この地に捕らわれし獣人族の解放とな? どう言う訳か話せ』


「はっ、緑竜様…… このサイハ男爵は、幼き獣人の娘を拐い奴隷しているのです。その証拠は…… その幼き獣人の娘達です!! 怖かったであろう? すぐに我等獣人の集落に連れて行くからな?」


「とうさま……」


「ああ、おのれ…… 賊めが…… 私の娘達が狙いか!!」


「娘? 何を戯けた事を…… 貴様と貴様の嫁は獣人では無かろうが!!」


「知らんのか? 私の母は山猫の獣人族だ。私は父方の血が濃く出て、エルフ族と人族の顔立ちなのだよ」


「な!? ふざけた事を…… 緑竜様の前で罪を逃れる気か!!」


あれ? 何で…… この人…… ナオミの事を知ってるの?


「りょくりゅうさま、このひとのはなち…… へんです」


『変とは?』


「ナオミがうちにきて5か…… うちからにしのそうげんまで…… 5かじゃあいけないとおもうの」


うちの男爵領は、東の辺境の最果ての開拓地……


兄様は貴族学院に入学しているから、話で地理の事を聞いたけど…… この男爵領地から東の辺境伯の領都まで、馬車で3日以上かかる。


さらにそこから西にあるの王都まで、普通に馬車では10日…… 急ぎでも7日以上かかるはずだ。


この男性の言う王都と王都周辺の中央貴族領の手前、東の辺境伯領の西にある他貴族領の草原でも……


ナオミを知ってから行動するには、かなりギリギリな上にこの人数の武装集団の移動……


「あなた、だれにいわれてきたの?」


「何を?」


「きょかがないしゅぞくのしゅうだんいどう…… せんそうこういだとおもわれるよ」


「な……」


父様と兄様が話していたんだけど…… 東の辺境伯領と中央貴族領の堺の領地が揉めているらしい。


原因は…… 東の辺境伯領の西領地を治める子爵の領地で、賊が頻発に出たらしい。


その族の大半が…… 獣人種族で、かなりの被害が出ていると話していたんだけど……


『その方…… 血の臭いが濃いな…… しかも、幼き者達の臭いがする…… 貴様…… 無垢なる者達を殺したなぁ!!!』


「ヒイィィィ!!?」


緑竜様の突然の咆哮に…… 獣人達が泡吹いて倒れ出した。


「くちゃい……」


しかも、全員…… 大小漏らして……


「りょ、領主様!? 緑竜様…… ですか?」


『うむ、気にするな』


「は、はい! 領主様、ご無事で?」


「私達は無事だ。そなた達とハルトラインは無事か?」


「はい、負傷した者も居りますが命に別状は無く。ハルトライン様は負傷していません」


「うむ…… 動ける者は賊を捕らえよ。それと早馬を町に走らせ応援を呼べ」


「はっ! 緑竜様、領主様、お嬢…… 様…… し、失礼します!!」


あれ? あの騎士さん…… 私を見てから一瞬だけど…… 変だった様な?


「トワール…… とりあえず、このマントを羽織りなさい」


『ハァ~ハッハッハッ! ゆかいゆかい。どうじゃあ、絆児(きずなご)よ…… 王位を求めないか?』


「そうゆうの…… めんどうくちゃい…… とうさまとにいさまがやって」


「と、トワール!?」


前世から責任者には、絶対に向いてないので……


保護者に丸投げした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ