お付きができて、国の天然記念物聖獣来る!?
「マスターの補助ユニットとして、マスターのボディと彼女のスキャンデータをベースに、私の生物型端末を用意してみましたが…… どうでしょうか?」
「おんなのこ…… あとふく! ふくをきて!!」
「この生物型端末がメスなのは、マスターがメスが好みだと聞きましたから…… 後、服とは? その…… ナオミ?の身を包んでいる物ならば、マスターも包んでいませんよ?」
「えっ…… わたち…… はだかだった!?」
服を着ていない事に気付いて、急いで馬車の荷物から着替えを探すと……
「これしかない……」
ひい婆様の時から、この辺境の秘境で聖獣様に感謝する儀式の儀礼服のローブ。
聖獣の髭で秘境の魔物の繭の反物を縫った物…… 聖獣に会うための物だとか……
「したぎ…… ない……」
日が暮れる前の日帰りの予定だったからね…… 予備の靴も無い…… 辺境の秘境だから靴は高価なんだよね……
特に成長したら履かないから、幼児の物はオーダーメイトするしかない。
あの靴、ようやく馴染んで来たところだったのに……
大切にしていたのに、私の血に染まってボロボロになってしまった靴を思い出し、ため息が出た。
「マスター、それが服ですか?」
「これは、ふだんぎとはちがうの」
「普段着?」
「えっと…… ナオミがきてるものかな?」
侍女見習い扱いのナオミは、少し大きなサイズのクラシカル風のメイド服を着ている。
ひい婆様が辺境伯の出だから、片落ちした物が辺境伯家から貰えるんだよね。
新品だけど、予備の侍女の服とかシーツとか……
物が良いので、シーツとかは縫い直しては、下着にしたりしているの。
辺境伯家に感謝を!!
そんな感じで、ナオミは侍女見習い用のメイド服を裾上げして着てるの。
さすがに私と近い年齢のサイズは無いからね。
「なるほど…… これならば、どうでしょうか?」
「えっ…… ちょっ、どうやったの!?」
宇宙船の生物型端末の女性が光ると、ナオミと同じ服装を着ていた。
「私本体の装甲や内装に使われている特殊コーティングフィルムを服の形に精製しました」
宇宙船の素材で服を作っちゃったよ……
「わたちのくつやしたぎも…… つくれる?」
「可能です。どの様な物がよろしいでしょうか?」
う~ん…… シーツから作った下着はちょっとゴワつくし、紐だからぷっくりお腹だとズレ下がるんだよね…… でも、言葉では説明し辛いなぁ……
「マスター。マスターの思考からスキャンしますので、考えるだけで充分です」
「そうなの!? それなら……」
テレビや衣料品店で見た…… 地球の日本の幼児用下着を考える。
「此方では…… どうでしょうか?」
生物型端末の女性が差し出したのは、幼児用のランニングとパンツ…… 何故、ちょっと困惑気味なの?
「いた!? あれ? なん…… で……」
幼児用パンツに足を通し、引き上げたらお尻に痛みを感じたので、身体をひねると……
「しっぽ…… はえてる!?」
お尻の割れ目の始まりの少し上、そこからフサフサの尻尾が生えていた……
「破棄した下半身には無かった様ですね…… 最適化の影響ですね」
「そういえば…… おばあさま、やまねこぞくだった」
よく見ると…… 髪の色も変化してる様で、明るい茶色だったのが金髪よりになって、毛先の方がパステルカラーのグリーン色だ。
「みみもフサフサ……」
ナオミの様に頭の上の方に生えては無いけど、私の耳はたれ気味のフサフサケモミミになっていた。
「尻尾用に穴を開けますね…… これでいかがでしょうか?」
「はうぅ!?」
パンツの穴に尻尾を通したら、フサフサの毛が逆撫でされてゾクゾクきた。
「あんがとう…… でも、つぎのぱんちゅは…… しっぽのあながおおきいやつか、あなにとおさないやつがいい……」
「了解いたしました。靴は履かせましょうか?」
「あ、くつしたもつくって」
「靴下…… 此方でしょうか?」
白いニーソックスを渡されたけど、儀礼服はローブ風なので丁度良いかな?
「これで…… いいかな?」
ニーソックスを履いて靴を履き、幼児用のランニングを着てから儀礼服を被る様にして袖を通した。
「マスター、お似合いです」
儀礼服が、青い光沢の白い布地に金糸の様な聖獣の髭で縫われているから……
白い魔女の様にも見える。
「では、そろそろ時間停止を解錠しますか?」
「おねがい」
宇宙船の生物型端末の女性が手を叩くと、周囲に音が鳴り出した。
「これは?」
「周囲で戦闘が起きている様ですね」
なるほど、父様と兄様は防戦に出たのか…… とりあえず危険だから、魔法でバリア的な結界障壁をやってみる。
「あれ? ふくが…… ひかってりゅ?」
『新たな子は…… 絆児か?』
魔法を使い始めたら、儀礼服の金糸が光り出して…… 誰かの声が聞こえた気がした。
「えっ? だ…… れ~!?」
声の主を探して、周囲を見回していたら薄暗くなったので、空を見上げたら……
「ど…… どらごん!!?」
東の辺境の言い伝えの伝説にある…… 宝石の様な翡翠色に輝く緑竜が羽ばたいてました。