リックと黄金の神鳥Ⅰ
リックが王都へと戻ると、不思議なことが起きていた。
どうやら『探し人』となっているらしい、冒険者ギルドに戻ると冒険者ギルドのクエストボードに大きくリックの事が書かれていた。気付かないわけがない。
自分が探し人を探しているのに、探されているとは皮肉だ。と、リックは更に不貞腐れた。
仕事をしないわけにはいかないが、依頼主が領主絡みの案件で見つかると面倒だ。
冒険者ギルドでは誰とも顔を合わせずに逃げるように外へと出た。
リックは蒼い髪の男と過ごした王都の端の森に足を運ぶ。
しばらく帰ってなかったから掃除でもしよう、とそんな風に考えたからだ。
市場で数日分の食料を買って、道すがら蒼い髪の男のことを考える。
逢えないのは残念だが、会話をしたような気がする。
そして守って貰ったような、そんな気がする。
「お父さん、シック、シックお父さん……」
リックが蒼い髪の男を探して2年の月日が流れていた、背の丈に合わぬ双剣も最近ではその手に馴染むようになった。
背も少し伸びた。
おしゃれをするようになったし、身体つきも何だか丸くなった気がする。
リックは知らず知らずのうちに自身が少女から美しい女性に成長しつつあった。
その美麗さに冒険者の間で噂が尾を引き、更にはそれが元冒険者である領主の興味を引き、そうして「探し人 幸運のリック 生存に限る」と多額の賞金が掛けられたのだ。
リックにとっては邪魔なだけだが、掛けられた金額が高額過ぎる理由もあって、少し困ったことになった。
蒼い髪の男と過ごした森の中の一軒家が、跡形もなく燃え尽きていた。
リックは王都で見てきた自分に掛けられた賞金を思い出す、何不自由なく暮らせるようなそんな額だった。
自分にとっての思い出の残る家が燃え尽きて跡形もなくなっているし、荒らされている。
ざわざわと、耳に聞こえていた森の音ではない誰かの足音。
リックは食料をその場に置いて跳躍し、木々を蹴って移動する。
とにかく逃げなければいけない、蒼い髪の男を探す旅は未だ終わっていない、リックの目的は果たされていない。
木を蹴って、地面に着地し、更なる森の中へと走る。
コーン、と木々の間で木を叩くような音が鳴り響くとリックは眼前に刺さる弓矢に立ち止まっていた。
「厄介」
リックがそう呟いて射線から身を隠す、狩人職の冒険者は目利きが多い。
暗殺職の技能で身を隠そうにも見破られてしまう、それ故に厄介だ。
「いたぞー!!!」
そんな狩人職の冒険者の声にリックの溜息が漏れる。
駆け出したリックの目の前に蒼い髪の男が現れ、リックは立ち止まった。
「想定外のことが起きた」
蒼い髪の男はそう言って、リックの後を追う冒険者たちの気配を探る。
リックは一言も話さない、驚きで何も話せない、冒険者達に追い付かれれば囲まれてしまう。
「リック、俺が足止めする」
「でも」
蒼い髪の男が平然とリックを見やる。
以前とは異なる蒼い髪の男の様子に、リックは右腕を見つめて異変に気付く。
「いきなり出て行って悪かった」
「その腕・・・」
蒼い男の右腕は黒く、何かが蠢いている。
「簡潔に話す。これは黒化病という特別な冒険者にだけ罹るこの世界の異常だ。こればかりは死なないと治らないし、完全に進行が進むと狂化してしまう」
「お父さ」
「狂化してしまえばその冒険者はこの世界の脅威に成り得る。どいつもこいつも強すぎたから殺さなければ止まらない」
狼狽えるリックに蒼い髪の冒険者はじっと見つめて言う。
「ここは俺が止める。この森の奥に湖があるから、そこまで走れ!」
「嫌・・・・お父さん・・・!」
そう言ったリックに蒼い髪の冒険者は微笑んで言う。
「俺はお前の本当の父親ではない、記憶も戻りつつあるだろう。しばらくすれば頭痛もなくなる、リック」
泣きじゃくるリックへと向かう弓矢を蒼い男の冒険者はその装備であるカタールで容易に捌いて続けて言う。
「なに、有象無象を止めるだけで簡単に死ぬわけではない。湖で口笛を吹け、そうすればそいつがお前を助けてくれる、また会えるさ」
切り替えたリックが涙を拭って走り出す、後ろを振り返ることはない。
森の中、こちらに迫り来る冒険者の集団を見て蒼い髪の冒険者はより高度に姿を霧のように消した。
レイラが鼻歌交じりに集団を背後から剣を片手に掻っ捌いて行く、蒼い髪の男が狩人職の冒険者の腹をカタールで突き刺し、赤い髪の少女が杖を振って広範囲魔法で森ごと焼き尽くしていく。
盾を持つ女性が詠唱するマミを守り、マミはそれに応えるよう見えない盾をレイラや蒼い髪の冒険者、赤い髪の少女、盾を持つ女性、そして猫を飾る杖を振るう魔術職の男へと伝える。
「みんな、すまない」
蒼い髪の冒険者がそう呟くと、それを聞いたマミが赤い髪の少女と目を合わせて言う。
「リックのためだったら問題ないわよ」
「ありがとうです」
赤い髪の少女が杖をぶんぶん振って冒険者を殴打しながら言った。
「毎度のことだしな」
そう言った男の猫を象った杖先から異常なほどの水魔術による津波がが焼けた森を押し流していく。
「骨のある冒険者はいないかな」
レイラがそう言いつつ鼻歌交じりにバッサリと冒険者を斬り分ける。
ふと、蒼い髪の冒険者を手伝う皆々が蒼い髪の冒険者と顔を合わせた。
「ま、まあ、何とかなるだろ」
蒼い髪の冒険者は先ほどリックに見せていた平静を保てなくなっていく、リックを追う冒険者をすべて壊滅させた状況を見て蒼い髪の冒険者はその場から姿を消した。
「相変わらず抜けてるね」
猫を象った杖を持った男が呆れながらそう言うと、皆が笑った。
▼
森の中を駆けていくリックは木々の影を捉えて双剣を抜く。
スパン、と音を立てて豆腐のように大木が切れてリックに目掛けて倒れていく、リックはそれを避けて咄嗟に防御の姿勢で構えた。
倒れた大木の影からリックに馬に乗った騎士がそのまま斬り込む。
あまりの威力に受けきれず、リックは十数メートル後方に弾き飛ばされてしまった。
「・・・・・・」
無言で受け身をとってすぐさまリックは立ち上がる。
レイラとの訓練で受けた攻撃よりも弱い、そのためにリックは驚かない。
「ふむ、美しい」
馬に乗った騎士がそう言い放ち、リックは目を細くして問う。
「あなたが依頼主?」
問われて騎士は剣を掲げた。
「如何にも!私が南方に領地を構える領主だ【幸運のリック】よ!」
「なんか腹が立ってきた」
リックがそう言って双剣を馬上の騎士に振りかざすと剣先で軽くいなされた。
「無礼であるぞ!」
そう言った騎士に対してリックは距離を取り、飽きれ顔で騎士を指差す。
「あなたモテないでしょ」
どうやらリックには納得がいったような顔だ。
「その騎士みたいな口癖は何なの、気持ち悪い」
元冒険者の領主、という依頼主の情報からリックはその騎士の男を見て吐き捨てる。
「女が調子に乗りやがって!」
騎士の皮の面が剥げてリックは手持ちのクナイを騎士に投げた。
それを騎士は剣で振り払う。
リックは投げた瞬間に、木の影に隠れて騎士の目の前から姿を消す。
「ぬおっ!」
騎士が消えたリックを探して狼狽えていると、頭上から落ちてくる一つのクナイが馬の尻に刺さり、驚いた馬があらぬ方向に走り出した。
リックはそのまま湖を目指して走る。
その瞬間、背後を何者からか斬りつけられたが、リックは止まらない。
直後、後方から剣戟が聞こえる。
何者かが戦っている音だ、救援に駆け付けた誰かだろう、リックは胸を撫でおろして走る。
手足が痺れて上手く走れないことに気づくと、リックは毒消しの丸薬を取り出し、それを嚙み潰した。
苦い。
ドロっと背中が生温かく感じる、湖には辿り着いたが呼吸が次第に荒くなってくる。
出血がひどい、と何も喋らずに湖を見つめる。
「そうだ、口笛、口笛を吹かなきゃ・・・」
そう言ったリックの口先が痺れていく。
遠くで激しい金切り音が鳴り響くが、背中から尻にかけて流れる生温い血が多すぎる。
「・・・・・・」
これは手遅れかもしれない、とそう見切りをつけたリックが溢れ出る自身の血がついた手を見て溜息を吐く。
蒼い髪の冒険者には会えたし、旅もそこまで悪いものではなかった。
回復魔法で傷は治るが、溢れ出た血までは戻ることはない。
鳥達が森の中で鳴く。
リックの視界が次第に眩しくなっていく。
それは瞳孔が開いていく感覚だ、リックは次第に眠くなっていく。
▼
「イグドラシルフィールド」
広範囲に渡って展開されるそれは、人間の村々まで飲み込んだ。
死に絶えたが身体の欠損が修復される者、かろうじて息のある者、逃げ惑う者、絶望に頭を抱える者、彼らは神と魔が争う際の犠牲だ。
人間は神よりも強靭ではないし、魔よりも狡猾ではない。
彼らが争いに巻き込まれれば死ぬ以外にない、死んでも勝手に増えるので神も魔も然したる問題ではない。
「エウリュアレ!」
赤子を庇う少女にとっても同じだ。
「エウリュアレを連れて逃げなさい」
赤い髪の男が少女と、魔の間に立って言う。
「お父さん!」
「早く行きなさい!」
瞬間に、男の血が爆散する。
魔はケタケタと笑って爆散した衝撃で倒れる赤い髪の少女と泣いている赤子に近づいて行く。
次の瞬間、ゴシャと鈍い音が鳴り響いて少女はやっとの思いで振り返る。
黄金の羽を持つ鳥が、先ほどの魔を踏みつぶしてこちらを見降ろしている。
「待ってて」
黄金の鳥がそう言うと、何処かに向かって跳躍して行った。
赤い髪の少女が背中から受けた衝撃で頭部が損傷し、頭の皮と頭蓋、左腕と右足が吹き飛んでいたがまるで時間を戻すように損傷が無くなっていく。
少女が抱きしめていた赤子はずっと泣いていた。
泣いていたので少女は安心して眠ることが出来た。
少女は気付けば見知らぬ森の中にいた。
神と魔の及ぼす影響が時空の断裂をもたらし、そこに介入した黄金の鳥が展開する黄金の波が少女を時空の狭間へと吹き飛ばしたのだ。
少女は何も知らぬまま立ち尽くして無言のまま、自分自身が誰か分からない。
「やあ」
蒼い髪の男が赤い髪の少女に声をかけた。
「名前は?」
「リック」
少女はそう言うと、頭が酷く痛んでその場に倒れてしまった。
目覚めると、ベッドの上に居た。
「イグドラシルフィールドは時間を戻して起きた事象を戻す技だ、あの子はそれを受けていても記憶が戻らない」
蒼い髪の男の声がその少女に聞こえる。
「頭に強い衝撃を受けて時空に飛ばされたのだから仕方ないわ、後は時間が彼女の記憶を呼び起こすと思う、それがいつになるのかは分からないけど」
マミの声だ、懐かしく感じたのはそのせいか。
「面倒を観る」
蒼い髪の男がそう言うと、マミは溜息を吐いて言う。
「私達に残された時間は少ないわよ、もはや世界は閉じてしまった」
「あの鳥の影響を受けた人間はそこまで黒化の進行が早くない、まだ時間はあるはずだ」
蒼い髪の冒険者は目覚めた少女に気付いて、マミを目を合わせて頷いた。
「どうするの?」
奥から小さくマミの声が聞こえる。
「あの子に暗殺術を叩き込んで黒化した冒険者狩りを、あいつとやって貰う」
赤い髪の少女は眠くなったのか、そこで目を閉じてしまった。
▼
「ここで何をしてるの?」
声を掛けられ、目を覚ましたリックが目を見開いた。
金色の羽を持つ大きな鳥が、リックの目の前で頭を下げて話しかけている。
「あ」
リックは自分の怪我を確認する、何処にも傷がないことに気付いて立ち上がった。
「あなたは・・・?」
「ボクはリ」
そう言いかけた黄金の鳥は、咳ばらいをして続きを言う。
「ボクはエイリー」
「私はリック、あなたが私の怪我を治してくれたの?」
問うリックに対してエイリーは人間のように頷いた。
「こんなところに人間が踏み入るなんて珍しいね」
エイリーがそう言うと、リックは気付いたように口笛を吹く。
よく通る高い口笛の音が辺りに響く、吹き終わった後にリックは周囲を見渡すが何も起こらない。
「呼んだ?」
エイリーが得意げにそう言って足で地面を蹴ると、爪の先から鋼の爪、鞍、そして兜を装備して手綱を咥えてリックに差し出した。
「リック、キミがボクの次の乗り手だ」
エイリーはそう言って手綱を嘴に咥えてリックに渡し、姿勢を低くする。
「君をずっと待ってたんだ」
「え、あなたが?」
リックがよく分からないまま、エイリーに乗るとエイリーは立ち上がって剣戟の音が聞こえる先を見据える。
「あの音はシックだね、相変わらず弱いクセに逃げることを知らないんだから」
「お父さんを知ってるの?」
リックがエイリーにそう聞くと、エイリーは頷き応答する。
「前の乗り手なんだ、色んな所を旅したんだ」
とりあえず、とエイリーは呟いて初速から全速力で走り出す。
エイリーが地面を蹴ると、リックは自分達が今まで居た湖のほとりを見下ろしている。
更にエイリーが空を蹴ると、リックとエイリーの目下に蒼い髪の男と馬上に乗る騎士、暗殺職の冒険者が戦闘している場面が広がる。
三度、エイリーは蹴ってその戦闘における中央に降り立った。
「さて、リック。君はどうしたい?」
そのエイリーの言葉を聞いた蒼い髪の男は、同じく見ていた暗殺職の冒険者に強襲をかける。
馬上で剣を振るう騎士がリックとエイリーを見て、手綱を握りしめた。
「あいつは敵、敵はみんな殺す」
それを聞いたエイリーが地面を蹴る。それと同時に剣を構えてこちらを見ていた騎士も蹴る。
蹴られて反応も出来ない騎士はそのまま後ろの木に頭をぶつけて気絶してしまった。強く頭を打ったためにそのまま死亡して霧へと還っていく。
「ぐ、が」
リックとエイリーがその声を聞いて振り返ると、蒼い髪の男が暗殺職の冒険者をカタールで串刺しにしていた。
「よく見ろ、リック」
そうして声を掛ける蒼い髪の男、その右手のカタールで突き刺した暗殺職の冒険者を投げるように斬り捨てる。
「黒化した冒険者は一度死んだ後に狂化する。狂人となって目に見える者や近づく者に異常なまでの反応を見せて襲い掛かってくる。これに仲間の冒険者たちは大半殺された」
「アア・・・・・ア・・アアアアアアァァァァアアア!」
カタールに突き刺された心臓を覆い隠すように肩から黒く蠢く何かが傷口を覆う。
「黒化した冒険者は、違う世界から生み出されて傀儡となっていた冒険者、俗に言う『メインアカウント』ってやつだ」
蒼い髪の男は、冒険者が狂化されて動き出した瞬間にカタールで何度も切り伏せ、斬り倒して踏みつけて黒化の中心にある心臓をカタールで貫き潰した。
「俺もその『メインアカウント』だ」
霧となって霧散するはずの肉体が燃え始めて黒い霧となって消えていく。
「冒険者と呼ばれる人間は違う世界によって作られたデータに過ぎない、だから殺せば霧となって消えるし、二度と復活することはない」
エイリーから降りたリックが駆け寄って、蒼い髪の男にしがみついて言う。
「なんでいなくなったの・・・!」
「えぇ」
蒼い髪の男は「今結構大事な話をしてたのに」と言うが、リックは泣きながら蒼い髪の男をポカポカ叩いている。
「ずっと寂しかった・・・!」
無口で感情を見せないリックが声を上げて大声で泣いている。
蒼い髪の男が困ってエイリーを見やると、エイリー顔を逸らしては騎士が乗っていた馬の装備を全て解いている。
こうなったら仕方がないので蒼い髪の男は泣くリックをエイリーに乗せて、焼けた自分の家に帰る他なかった。
▼
「黒化した冒険者を倒さなけば、この世界に安寧はない。だから」
「私、冒険者やめる」
とんでもない発言がリックから飛び出て、蒼い髪の男は開いた口が塞がらない。
「お父さんはここに居て、私も住む」
「リック、俺はお前のお父さんじゃない」
「お父さんじゃなければなんて呼べばいいの?シック?」
誰だ名前教えたの、と言って蒼い髪の冒険者がマミやレイラ達を見やると、レイラが目を逸らした。
「ろい・・・・レイラか」
「いいだろ、減るもんじゃなし」
レイラがそう言って、口笛を吹いている。
頭を抱える蒼い髪の男にリックは「それより」と指差した。
リックが指を差すその先に、木陰に隠れているエイリーと赤い髪の少女がこちらをチラチラと見ている。
「あの子は私の妹?」
そう言ったリックに対して、蒼い髪の男は気まずそうに頷いて言う。
「記憶が戻ったんだな」
赤い髪の少女はリックの目線に気付きながらも近づこうとはしない、おそらく照れているのだろう。
「エウリュアレ」
リックがそう言うと、赤い髪の少女がビクッと反応し、木陰に完全に隠れてしまった。
「おいで」
リックがそう言うと、木陰の向こうからは何も反応がないがエイリーが何やら嘴でつついている。
「姉妹二人して同じ人に育てられるなんて運がいいのか悪いのか」
呟いたリックの様子を木陰から赤い髪の少女が覗く。
「ですぅ」
そんな声が小さく聞こえる。
「おししょーはおししょーなのです、お姉ちゃん・・・リックはシックのことが好き過ぎるです」
赤い髪の少女からそんな言葉が聞こえる。
「なっ・・・ちょっとこっちに来なさい」
リックがそう言うと、赤い髪の少女は木陰に隠れてしまった。
「弱いクセに偉そうです」
赤い髪の少女からそんな声が聞こえて、リックはプライドに触ったのか近づいて行く。
「本当のお父さんは私とエウリュアレを庇って死んじゃったけど、いつまでもシックに我儘を言って甘えてもしょうがないじゃない」
う、と声を詰まらせる赤い髪の少女。
「ちょっと甘やかしたかなー」
エイリーがそう言ってあははと笑っていると、リックは溜息を吐いた。
そうして赤い髪の少女に対してぽつりと言う。
「エウリュアレ、あなたが生きてて良かった」
「お姉ちゃ」
エウリュアレが木陰から出てきて、リックに抱き着いて大泣きしている。
蒼い髪の男はそれを見てエイリーと顔を見合わせ、安堵の溜息を吐いた。
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