63.新しい扉
季節はあっという間に過ぎ、冬には私とアロイス先生の家が完成した。
ステファニーさんの引っ越しもお手伝いし、無事に3人が年内に入居を済ませた。
アロイス先生のダンジョン魔法で、室内の奥に特別な部屋が設けられた。ここの部屋のドアにそれぞれ渡された鍵を差してドアを開けると、皆別々の行き先に繋がった。ステファニーさんはお店の倉庫に、私は学校の寮に、アロイス先生は········日によって行き先が違ってたので、なんか特別仕様なのだろう。
実はこれがアロイス先生の新たに行う予定の仕事でもある。地域を簡単に行き来出来るドアを設置し、使用料をとるというものだ。
このダンジョン魔法そのものに特許をとっているアロイス先生は、当面は国と魔法団を相手に常設のドア設置や、国の高官のための臨時のドア設置など、今から色々とお偉いさんとお話をしているらしい。
ちなみに私のお願いにより、不承不承ではあるが、ユーリにも鍵が渡された。でもユーリの鍵は、何故か裏庭の納屋からでないと出入りが出来ない仕様になっていた。
今年の年越し休みも4人で過ごす約束をしている。いまからとても楽しみだ。
そしてあと数ヶ月で、私は卒業する。
魔法学校での生活を回顧する。
ただただキツかった1年生も大変だったけと、アロイス先生と出会ってから、何もかもが変わっていった。
たくさんの人にも出会った。
辛いこともあった。
泣いたこともあった。
でも、いつも傍にはアロイス先生がいた。
それが全て。私の幸せの全てだ。
胸元のネックレスを握りしめて、私は歩き出した。




