4.鬼教師
闇魔法の実技の授業は今日が初めてだ。にも関わらず私は始まってから終わるまで散々怒られ、貶された。
「これぐらい出来ないんですか」
「一年間何を学んだのですか」
「ああ、貴女の学年順位からするに、よっぽど楽しく毎日遊び回ってたのでしょうね」
「貴女の脳は、ゴミ以下ですよ」
「貴女、闇魔法向いてないです。早く辞めてください」
一度も反論も出来ず、大量の宿題と魔法発動の練習を言い渡され、2日後の次の授業まで完璧にこなせと言われてしまった。
なんだか急に光魔法のコーネイン先生に弟子入りしたくなった。だか、私だって後がない。元々は、魔法士の資格が取れればラッキーぐらいな気持ちで入学したが、気が付けば丸1年在学し、奨学金も時間も使ってここまで頑張って勉強したのだ。
魔法使い、とまで行かなくても、ここの卒業証書が手に入ればかなり厚待遇な魔法士の仕事につける。
今、学校を辞める訳には行かないし、ましてこんな貶されたぐらいで逃げるのは癪にさわる。悪口も鬼の様な勉強量も、既に1年間毎日経験しているのだ。
絶対辞めてなんかやらない、と心を強く持ち、私は大量の宿題をこなした。
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2日後の授業、私は5分前に教室に到着した。
「失礼します」
「遅い」
また怒られた。5分前でも足りないのか。
「宿題の提出を」と言われ、鞄いっぱいのノートを出し、先生に手渡した。
「フン、一応全部やってきたようですね」
当たり前だ。逃げてたまるか。
「じゃあ、理論は理解したはずです。さあ、的に撃ち込んでみなさい」
「はい、クラウスヴェイク先生」
私は新調されていた的に向かって手を翳し、1度深呼吸をしながら集中し、力を込めて闇魔法を発動した。
突貫工事ではあるが、あれだけ練習したお陰で、闇魔法はスムーズに発動し的にバシっと当たった。
「あ、当たりました!先生!!」
「当たり前です。あれだけ勉強して当てられなかったら、貴女本当にゴミ以下です」
ゴミ発言はともかく、私は僅か3日でこんなに正確に闇魔法の発動が出来るようになっていた。
当たった的を見つめながら、ちょっと嬉しくなって私は笑った。
そもそも闇魔法はこの学年には私しか属性を持ってないのだから、習得方法が無様でも他の生徒から揶揄されることもない。
確かに先生には死ぬほど嫌味を言われるが、それも今回みたいに早いスピードで結果に繋がるのであれば、ある意味お得とも言える。
「クラウスヴェイク先生!私頑張ります!」
「頑張らなくていいですから、早く辞めてください。私の研究時間が勿体無い」
先生はまるで興味無さそうであったが、私はメラメラとやる気に燃え、闇魔法の勉強に勤しんだ。