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24.恋する教師 3

 


「はぁ······ニーナ······ニーナ······っ」


 先生の声にゆっくりと瞼を開けた。


 先生の顔は上気していて、瞳は潤み涙が零れそうな程で、吐息を漏らして微かに震えた。


「うそだろ······前とは比べ物にならない····っ」


「先生········?」


 あ、そうか。しまった忘れてた。私の魔力はえげつない程気持ち悪いんだっけ。


 人並みの親切心で、魔力の譲渡を申し出たが、これは所謂(いわゆる)ありがた迷惑というやつだ。


 私は繋いでいた手を離し、先生から距離をとるべく起き上がると、私の上に跨がるようにしていた先生はバランスを崩しドサッとベッドに倒れる。


「先生、ごめんなさい。気持ち悪かったですよね?」


 先生は浅く呼吸を繰り返していた。


 私はベッドを出てキッチンにお水をとりに行った。





 ・・・・・・・・・・





「もう動いて大丈夫なんですか?」

「いや、別に動けますよ。精神的にやられてただけです」

「すみません。私の魔力が気持ち悪いばかりに」

「それは違うんですって」


 帰り支度を始めた私に、先生も着替えをして外出の準備をした。


「先生、じゃあ私帰ります」

「ちゃんと送ります。それに」


 ひょいと屈んで私と目線を合わせる。


「名前で呼んでください。さっきは呼んでくれたのに」


 急に近くに顔を寄せられて、かぁっと体温が上がるのを感じた。


「で······でも学校で呼び捨てなんかに出来ません····っ」


「ああ······なるほど」


 唇をきゅっと結んで、恥ずかしさを誤魔化した。


「では、語尾に『先生』はつけたままでいいですから」

「それなら今までどおり『クラウスヴェイク先生』でよいのでは?」

「よくありません。必ず名前で呼んでください」

「········はい」

「じゃ、帰る前に練習です。さん、ハイ!」

「······アロイス······せんせぇ」


 恥ずかしさの中、小さな声で言ったらガバッと抱きつかれた。


「······ほんっと、最高です。貴女、どうしたのっていうぐらい可愛いですね」


 どうした、は先生のほうだ。



 私は、クラウスヴェイクもといアロイス先生に見送られ自宅に帰った。


 自宅到着後まもなく大量の衣服が届き、荷物の整理で一日使うことになった。



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