23.私の先生へ
トクン、トクンと魔力の脈打つ音を聞いていた。
先生、いつも有り難う、と心の中で呟く。
2年生になってからの数ヶ月、最初こそ大変だったけど、先生が私に闇魔法を教えてくれたから、毎日楽しくなっていった。
一緒にごはんを食べて、ステファニーさんとも会えた。
先生、ねぇ先生。
私ね、ずっと一人だったの。
勉強も大事だし、学校に通う幸運にも恵まれた。
だから、せっかく手に入れたものを逃がさないようにずっと頑張ってきた。
でもね、先生。 私、ずっと寂しかった。
一人で食べるごはんは美味しくないの。
楽しくないの。
ずっとずっと言えなかった。
聞いてもらえる相手もいなかった。
怒ってもいい。馬鹿にしてもいい。
先生が反応を返してくれるのが堪らなく嬉しかったの。
今は先生が笑いかけてくれる。
私を必要としてくれる。
私の魔力は小さいけれど、気持ち悪いかもしれないけれど。
先生が望むなら、全部あげるよ
先生が喜ぶなら、何だってするよ
だからね、先生
こんな子どもじゃ大変かもしれないけど
もう少しだけ傍にいさせて
もうちょっとだけ甘えさせて
この感情が今は何かはわからないけれど
きっとあなたの為に私は頑張る
きっとあなたの為に命も削れる
だからもう少しだけ笑いかけて
私があなたの役に立てるその日まで




