2.間違いだらけの授業選び
魔法の種類は7つある。
火、水、氷、土、風、光、闇、あとは無属性といわれる全ての共通魔法も存在する。
1年生のうちは基本全て座学で、8つ全てを知識として学び、無属性のみ実地の練習がある。ただ無属性の使用は『魔法士』資格取得の際に必要なことから私以外の生徒はほぼ最初から使えていた。
授業としてはこの他さらに、魔法体系学や魔法薬学、一般教養科目に体育などもたっぷりと用意されていて、これに帰ってからの宿題も含めると1日の勉強時間数は相当なものになった。
2年生からは魔法の使用を実際にしていくのだか、これは体質が属性と合わないとそもそも使用出来ない。
8つのうち、大概の生徒は5属性に全員共通の無属性が使えるが、私は『魔法属性変化者』という変わった体質のため、勉強さえすれば7つ全て使うことが出来るお買得な体をしていた。
しかし、日々の生活と毎日の授業にあっぷあっぷしている私が、優雅に7属性を修める程の時間的余裕はなく、結局皆と同じ5属性と無属性魔法を学ぶことに決めた。
時間割を決めるため担任教師と話をし、さあこれで決定かなと思ったとき、思わぬ事実が語られた。
「あ、ごめんごめんフランテールさん、君奨学生だったよね?奨学生は無属性の他に必修6属性だった。1個足りないから、もう1つきめて」
私は衝撃で固まった。
なにそれ、聞いてないんですけど········。
そんなお菓子もう1個買うから早く決めてみたいな、軽いノリで話されても、私の勉強スケジュールは既にパンパンなのだ。
「残っているのは、光と闇だね。普通6属性だとみんな光魔法にいくんだよね。闇属性の体質の人まずいないから。君なら選べるけどどうする?」
「え······ええっと········」
スケジュールと共に頭の中もパンパンな私は、すぐに答えが出ず口ごもってしまった。
「ちなみに光魔法はイケメンで女子に人気のコーネイン先生だよ?ほら、金髪碧眼で、いっつもニコニコしてる先生。女の子は彼好きなんじゃない?」
コーネイン先生とは、女子学生から絶大な支持を得るモテモテの男性教師だ。
彼の使う光魔法は「天使のよう」だと持て囃されているが、私は女子生徒を侍らす癖のある彼が苦手だった。
「闇でお願いします」
「えっ、光じゃないの?」
「闇がいいです。絶対闇で」
こうして私は闇魔法を勉強することが決まった。これが全ての元凶だった。