18.魔法実技指導
異界と呼ばれた扉の向こうは、私とクラウスヴェイク先生がいつも使う教室によく似ていた。ただ、壁があるはずのところが触るとボヨンボヨンとゼリーの様に揺れて弾む。
先生の指導のもと、順繰り魔法を発動していった。教え方が上手なクラウスヴェイク先生のおかげで、ニ時間もしないうちに5属性全部の宿題部分の実技は完璧に発動できるようになった。
そこからさらに予習分の実技を教えてもらう。先生の教え方は凄くて、テキストでは書いていない手首の返し方や、手順の踏み方で、あっという間に発動することが出来た。
「この発動方法って、先生は誰かに教えてもらったんですか?」と聞くと「自己流です」と答えた。
恐るべき魔法センスである。
さっきのダンジョン魔法(属性がわからないので私はそう呼んでいる)もそうだか、クラウスヴェイク先生は一流の魔法使いで、魔法士ごときの私が本来は教えを乞えるようなそんな軽い人ではないのだ。
時間も忘れて夢中で発動を繰り返していた時だった。
突然、視界がぐにゃりと歪み、足腰立たなくなり私はその場に膝をついた。
「あ······あれ········?」
「ニーナ!!」
最後に視界に入った先生の端正な顔がぼやける。
そのまま私は意識を失った。




