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17.教師と生徒の楽しい休日

 


 先生とデパートに言ったあと、二人でフルーツパーラーに向かった。クラウスヴェイク先生とはあんまり結びつかない爽やかな店内で、フルーツを使ったパスタと小さめのパフェをご馳走になる。


「美味しいですか?」

「おいひぃでふぅぅ~っ」


 さすがフルーツパーラー。新鮮な果物を使った料理とパフェは絶品である。


「貴女は何でも美味しそうに食べますね」

「だって美味しいですよ、コレ。先生はこちらによく来るのですか?」

「いえ、初めてです。貴女が好きそうだと思ったので」

「調べてくださったんですか?有り難うございます」


 クラウスヴェイク先生の優しさに胸を打たれつつ、私は桃のパフェを口にした。


「美味しいぃ~」


 あまりの美味しさに、はふぅと吐息を漏らすと、先生が真っ黒な手袋を脱いで、人差し指で私のほっぺたを突っついた。


「貴女のほっぺたの方が桃みたいです」

「も、桃じゃないです」

「とっても美味しそうですよ。今度食べさせてください」


 クラウスヴェイク先生は、最近嘘か本当かわからない冗談を言うことがある。さすがに人を喰らうとか、魔物みたいなことは冗談の範囲と受け取り、新手のフルーツジョークとしてその場を流した。




 ・・・・・・・・・・




 クラウスヴェイク先生のおうちに戻り、今度は各科目の宿題に取り組んだ。


 先生は、テキストとノートをバラバラと捲りながら「遅い」と呟き眉間に皺を寄せる。


 私の宿題の速度の話かと思ったら、授業の進行についての話だった。


「そもそも実技を学ぶ2年生で、これだけ無駄にノートを取らせているなんて時間の無駄だ。ニーナ、これ貴女が自分で取ったメモじゃなく板書(ばんしょ)でしょう?」

「そうですが」

「書いてる時間があればいくらでも魔法発動できるものを。全く、私と違って正規の教師の癖に、これだけ無駄なことをしているのなら魔法全体の質が低下する」


 ブツブツと怒りだすクラウスヴェイク先生は、「とっとと実技を覚えましょう」と言って私の手を引いて席を立った。


「部屋を異界に繋げます。いくら魔法の練習しても大丈夫ですよ」


 先生が片手をあげるとドアが現れ、銀色の鍵が床に落ちていた。


「新しいダンジョンだ!」


 興奮気味に私は言う。


「ダンジョンではありません」


 2人で鍵を開けて扉の中に入った。




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