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プレゼントの夢

作者: ひな

 夢を見た。

 私の大好きな人たちが私にプレゼントをする。

 部屋は私が今住んでいる一〇畳の部屋の、半分の半分、田舎の物置小屋くらいの広さで、私の後ろの壁には「ハッピーバースデー」と一文字ずつ書かれた色紙が吊るされて、床に二、三、赤か黄だか明るい色の風船が転がっている。心持ち風景が白っぽい。

 目の前に私を祝う人が十数人いる。といっても私にはそんなにたくさんの友達はない。狭い部屋にぎゅうぎゅう詰めにされた中には、亡くなった祖父母を含む家族親戚、大学時代に付き合って別れた恋人、小学校時代に仲良くしていて急に引っ越していってしまった女の子がいる。当然、数少ない友達もいる。

 皆が私にプレゼントを差し出している。差し出された無数の両手の上にはどれも、リボンでとめられた箱が乗っている。リボンはどれも赤いが、箱は茶色や黒などくすんだ暗い色。皆これ以上ないくらいの笑顔だが、どの手がどの顔と繋がっているのか、だれがどのプレゼントを差し出しているのかは分からない。

 私もこれ以上ない笑顔で返す。「ありがとう」と。

「これ全部、あなたたちにぴったりね」

途端に目の前の人たちの眼から上が暗くなる。笑顔は残ったまま。皆の視界を奪ったように、今度は私の笑顔が見える。

言うべきじゃなかった。言うつもりはなかったのに隠せなかった。光景が暗くなっていく。笑顔の中に並んだ歯だけが暗闇に浮いていた。



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