碧と夏鈴3
私と陽菜ちゃんは、二人で買い物に行く約束をしていたので、恋空君に教えて貰った珈琲店で待ち合わせをしていた。私は、珈琲店に来たので、恋空君が飲んでいるブラックコーヒーに挑戦してみる事にした。
「やっぱり、苦い...これって本当に美味しいのかな?」
私は、途中でミルクと砂糖を入れたくなったけれど、我慢してゆっくりコーヒーをちょこちょこと飲んでいると、陽菜ちゃんがやって来たので手を挙げてここに居るよと合図した。
「夏鈴ちゃん、おはよう」
「陽菜ちゃん、おはよう。珈琲でも飲む?」
「そうですね。せっかくなので飲みましょうか」
陽菜ちゃんも私と同じオリジナルブランドを頼んで、ミルクと砂糖を入れずに普通に飲んでいた。ミルクと砂糖って普通入れないのが正解なのかな?と思っていた。
「夏鈴ちゃん、もしかしてブラック苦手なんじゃないですか?」
「そうなのだけど、恋空君もブラックで飲んでたから私も負けたくないと思って...」
「ミルクと砂糖入れるのに勝ち負けなんて無いですよ。美味しく飲めるのが一番だと思います」
私は、陽菜ちゃんにそう言われて結局、ミルクと砂糖を大量に入れてしまっていた。陽菜ちゃんは、ミルクと砂糖を大量に入れる私の姿を見て若干引いていた。
「夏鈴ちゃん、そんなことしてると病気になりますよ」
「いずれは、ブラックで飲めるようになるから」
「普通に紅茶とかもあるんで、紅茶とかでも良いかもですよ」
「一応、頭に入れておこうかしら」
甘すぎる珈琲を飲んだ後、私は、陽菜ちゃんと一緒に服を見に行っていた。お互いに似合いそうな服を選んだり、見たりして結局買ったのは、お互いが選び合った服だった。
お互いに気に入ったので、結果的に良かったのかもしれない。気付けば夕方になっていたので、近くのファミレスでご飯を食べる事にした。そしてお互いに確信を突くような話し合いになっていた。
「夏鈴ちゃん、単刀直入に言います。私は、碧先輩の事が好きです」
正直そうだとは、思っていたので、そこまでは、驚かなかった…
「陽菜ちゃんが恋空君を好きな事は、知ってたけど、私も恋空君が好きだから」
「私も夏鈴ちゃんが碧先輩の事を好きだって気付いてました。それでも、夏鈴ちゃんの事は、大好きだから...碧先輩がどちらかを選ぶかは、選ばないかは、分からないけど恨みっこ無しで」
「そうね。もし陽菜ちゃんが選ばれたら私に手伝えることは、するから」
これで私も陽菜ちゃんの事を気にせずに正々堂々と恋空君に想いを伝えられるから...
▲◆▼★■
陽菜ちゃんと別れた後に私は、恋空君にLionで連絡をしていた。
『ねえ、恋空君、今から外に出て来れないかな?』
『別に良いけど、何処で待ち合わせにする?』
『学校から近い公園でどうかな?』
『良いよ、着替えたら出るから、ちょっと待ってて』
恋空君は、来てくれるみたいなので、取り敢えず、一安心かな。恋空君が来るまでの間は、暇な時間が続くので私は、ブランコを漕いでた。十分ほどブランコを漕いでいると恋空君が来たのが見えて、私の隣のブランコに座っていた。
「神楽さん、急にどうしたの?」
「恋空君に言いたい事があったから来てもらったの」
私は、緊張してしばらく話す事が出来なかったけど、恋空君は、待ってくれていた。私は、話す決心が出来たので口を動かした。
「私が今からいう事は、何も言わずに聞いて欲しい」
「分かった、何も言わないって約束するよ」
ねえ、碧、三回も会いに来てくれたのにあの時会えなくてごめんなさい。碧に会えなかったのが気まずくて手紙も送るのをやめてごめんなさい...別に言い訳するつもりは、無いけど本当にごめんなさい。
許して欲しいとは、言わないけどいっぱい傷つけちゃってごめんなさい。何処かのタイミングで謝りに行きたかったけど、私自身が碧と会うのを避けててこんなに遅くなっちゃった。もっと早く碧の元に来れたら良かったのにね。
それでも、昔から碧の事がずっと好きです。昔、交わした約束の言葉も覚えてる。私達、いつまでも…このまま一緒に居られたら良いね。この言葉を今日は、伝えたかったの...後、花火が上がってる時に私が言った言葉をもう一度言います。私は、碧と結婚して幸せになりたい
返事は、急いで無いから決心が決まったら教えて欲しい。どんな結果になっても受け止めるから。
俺は、一人公園のブランコに取り残されていた。やっぱり、神楽さんは、夏鈴だったんだ。正直確信は、今まで無かったから多分違うと勝手に自分に言い聞かせて来たけれど、夏鈴に告白されて気付くなんて、どんだけ遅いんだよ俺は...好きなら気付くべきだろ!! どんなに雰囲気が変わったって夏鈴は、夏鈴なんだから...それでも、すぐには、答えを出せないと思い心にしまうことにした。
家までの帰り道は、やけに遠く感じた。
▲◆▼★■
翌日の昼休みになり、夏鈴ちゃんが来てない事から、昨日の時点でさっそく行動に移ったのだと察した。
「碧先輩、私も少し話があるんですけど良いですか?」
「良いよ」
「遠回りは、苦手なんでストレートに言います。碧先輩の事が好きです。付き合ってください。返事は、今度で良いですから」
私が告白してくるとは、思っていなかったのか、碧先輩は、混乱しているようだった。昨日、夏鈴ちゃんに告白されて、今日は、私に告白されての二連続で、頭がショートしている様子だった。
「陽菜、一応確認するけど、冗談じゃないよね?」
「私は、告白する時に冗談何て言いません」
「それが聞けただけでも、ありがたい。陽菜の言った通り少し考えさせてくれ」
私は、何となく結末は、分かっているけど、一パーセントの可能性に夢を見ることくらいは、許して欲しい。だって初めてこんなに好きになった相手だから。
私が告白して碧先輩との会話は、無くなっていたけど、今は、私達二人のことを考えて苦しんで欲しいとも思った。
▲◆▼★■
俺は、夏鈴と陽菜に告白されて、悩んでいたけど、自分の中では、答えは、決まっていた。それなら、どちらを傷つけてしまう覚悟を俺は、しなければいけない。平和的に解決なんて虫の良い話なんて、どこにも無いから、俺は、傷つける覚悟を決めるのだった。
翌日の昼休みになり、いつものように陽菜が来ていたので想いの丈を伝える事にした。
「昨日の答えだけど、俺は、陽菜とは、付き合う事が出来ない...」
「やっぱり、そうですよね。一パーセントの可能性は、無かったんですね。それだったら私の分まで、夏鈴ちゃんをちゃんと幸せにしてあげないと私、怒りますから。ちゃんと今すぐ気持ちを伝えに言ってください!」
俺は、陽菜の一言に強く頷いて、夏鈴を呼び出している公園に走って向かっていた。
強がっていた私も涙がボロボロと溢れ出して止まらなかった。こんなに人を好きになるのが苦しいだなんて思わなかった。私の何がいけなかったのかな…過ごした時間の差かな、それとも単純に私の魅力が無いとか...そんな事を考えていると永遠に涙は、止まりそうになかった。
▲◆▼★■
夏鈴は、待ち合わせの公園で先に待ってくれていた。どことなく俺も緊張していて、夏鈴の緊張も俺に伝わって来ていた。
昔は、良く夏鈴と二人でキャッチボールしたよな。俺は、何故か外に出るのが怖くて仕方が無かったのに夏鈴が外の世界は、怖くないって引っ張りだしてくれて、それから俺の中の世界が少しずつ変わり始めたんだ。
夏鈴によって、だから夏鈴には、感謝してもしきれないくらいの恩がある。そして、今も昔も俺は、夏鈴が好きな気持ちは、変わらない。それでも、転校してきた時は、昔と雰囲気が変わり過ぎて、夏鈴に告白されてから気付く位に夏鈴は、美人で可愛くなっていた。それでも、夏鈴は、夏鈴だった。
だから改めて俺から言います。俺と付き合ってください。正直頼りなくて足らないところばかりだけど、夏鈴を幸せにしたい気持ちは、誰にも負けないからこんな俺でよければ宜しくお願いします。
「私は、どんな碧でも好きなままでいる自信があります。だから碧と私が望んでいた。幸せを見せてください」