表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

碧と夏鈴

 ふと夢の中で再生される。幼い頃に交わした約束…「私達、いつまでも…このまま一緒に居られたら良いね」

 

 夢の中での君は、笑顔いっぱいで僕を見つめていた。僕もその笑顔に吊られて笑顔で言葉を返していた


 「きっと僕達は、ずっと一緒だよ」


 その一言を僕が告げると、その先は、もう見せないと言わんばかりに目覚まし時計は、騒がしくチリリリーンと鳴り響いていた。


 俺は、少し遠い場所に置いてある。目覚まし時計に内心怒りながらも、ベットから勢いよく起きて目覚まし時計のスイッチを押して目覚まし時計を静かにして一言つぶやいていた。


 「夢のその先は、絶対見せてくれないよな…と言ってもあれ以来あの子とも会えて無いんだけど…でも、夢だから夢くらい見せてくれても良いんだぞ」


 目指し時計に愚痴を溢していると、母から電話が鳴り響いて俺は、現実に戻されてから、制服に着替えて家族みんなで朝ご飯を食べていた。


 「碧、今日もあの子の夢を見てたの?」


 「見たけど、いつも通りと同じだよ」


 「こんな事言うのは、あれかもしれないけど...もうあの子の事は、忘れて前に進んだ方が良いわよ。あの子だって他の場所で元気にしてるはずなんだから…もう碧も高校生なんだし」


 母の言う通りだった...その子別れたのは、八年前だった…


▲◆▼★■


 僕は、幼い時に外に出るのが何故か怖かった。それでも、学校には、行かなくては、駄目なので我慢すれば行けるぐらいだったけど、休み時間や休日の日は、校舎の外や家の外からは、出る事は、無かったので、友達と言える子も居ないまま小学二年生になっていた。


 父と母、必要な時以外は、外に出ようとしない俺をずっと心配していた。父と母は、ぼくが自分から少しでも外の世界を怖がらずに出られるように色々してくれては、居たけど...結局、僕は、出られないままだった。


 ある日の休日に母の親友の人が子供を連れて家に遊びに来ていた。親同氏は、積もる話があるので、おのずと子供同士は、一緒に遊ぶことになる。


「ねぇ、一緒に遊ぼう」


声を掛けてくれた子、見るかにやんちゃそうな女の子だったので、僕は、その子を警戒していた


 「別に良いけど何をするの?」


 「外でキャッチボールをしよ?」


 思っていた通りの嫌な予感が的中していた。外に出るのは、嫌だったので断ろうと思っていると、女の子は、僕の返事を聞かないまま腕を引っ張って行き、公園まで引っ張って行かれていた。


 公園に着いた所で、その子は、僕には、眩しすぎる無邪気な笑顔で「キャッチボールしよう。絶対に楽しいから」

 

 そんな楽しいそうな顔をして言われると断るにも断れないじゃないかと思い、渋々キャッチボールに付き合っていた。僕は、外に出るのが怖かったので、外の遊びは、全くと言って良いほどしていなかったので、キャッチボールをしていても、その子の方までは僕が投げたボールは、全然届いては、居なかったけど...その子は、それでも楽しそうに僕とキャッチボールをしてくれていた。


 しばらく、その子とキャッチボールをした、後にベンチで休憩をすることにした。


 「ねぇ、全然、外は、怖く無いでしょ?」


 「君は、知っていたの?僕が外が怖い事を...」


 「お母さんから話は、聞いてたもん...自分でも分からないんでしょ?何で外が怖いのか」


 君の瞳は、僕の心の中まで見通しているような気がして、少し目を逸らしそうになってしまったけど、それでも、僕は、君の目を見つめ続けてしまっていた。


 「うん...何で怖いかは、分からないけど、君が一緒だと不思議だけど何か大丈夫なんだ」


 「私は、君って言う名前じゃないよ...皐月 夏鈴(さつき かりん)っていう名前があるもん」


 「じゃあ、夏鈴よろしくね。僕は、恋空 碧(こいぞら あおい)


 その後は、ベンチで少し休憩しながら夏鈴と話した後、キャッチボールを再開していた。夏鈴と話ながらするキャッチボール心地良くて気が付けば夕方になり、母に声を掛けられてから家に帰ることになった。


 「私の家、碧の近くに引っ越ししてるから、これからも宜しくね。バイバイ」


 「こちらこそ、宜しくね夏鈴。バイバイ」



 夏鈴は、元気に手を振って帰って行った。僕と夏鈴の家が近いという事実を知り少し嬉しかった。これからも一緒に居られると思い喜んでいた。


 「ねぇ、碧、外に居ても怖くない?大丈夫?」


 「不思議とあんまり怖くないよ...夏鈴のおかげだと思う」


自分でも不思議だと思うくらいに外があんまり怖く無くなっていた。治るきっかけは、本当に些細な事なのだと思った。


 「そっか、安心した。へぇ...碧、夏鈴ちゃんの事を、もう呼び捨てなんだ...お母さん嬉しいような悲しいような気がする」


 「別にそんなんじゃないと思う。単純に仲良くなれるって思っただけだもん」


 「まあ、でも大切にしなさいよ。夏鈴ちゃんの事を大丈夫だと思ってたら...大切だと気付いた時には、もう手遅れって事もあるから後悔は、しないようにね。今は、分からなくても良いから胸の内に大切な事だと思って秘めといて欲しいかな」


 「僕は、夏鈴の事を大切にするよ...お母さんの言ってることは、まだ良く分からないけど」



▲◆▼★■


 それからは、毎日のように夏鈴と遊ぶようになっていた。キャッチボールをしたり一緒にゲームをしたりと、二人でいる時間がどんどん増えていった。


 「今度、夏祭りがあるから夏鈴と僕と二人で行こうよ」


 「良いね。私も碧と一緒に行きたいと思ってた。当日は、浴衣来ていくね」


 「うん」


 夏祭りの当日になり僕は、夏鈴を迎えに行っていた。浴衣の着付けに時間がかかるみたいで、僕は、ボーーっと窓の外を眺めていると着付けした夏鈴が部屋から出てきていた。僕は、その夏鈴の可愛さに言葉を失っていた。


 「ねぇ、碧…もしかして私って浴衣似合わない?」


 不安そうな表情を夏鈴は、見せてくる夏鈴は、また一段と可愛かった。


 「凄く似合ってて可愛いから、言葉を失ってただけだよ」


 すると夏鈴は、顔を真っ赤にしてから、よほど恥ずかしかったのか、お母さんに抱き付いて顔を隠していた。


 「ほら、夏鈴いつまでもお母さんに隠れてると花火が終わっちゃうでしょ」


 「うん…碧もお母さんも、もう少しだけ待ってくれる」


 五分程経ってから夏鈴は、お母さんから離れた後、深呼吸をしてから、一緒に夏祭りの会場に向かっていた。


 やっぱり祭りなので人が多いので、はぐれては、駄目だと思い、僕は、夏鈴の手を握りながら移動することにした。


 「碧、て…て……手を繋ぐの?」


 「もしかして、嫌だった?」


 「ううん、全然嫌じゃないけど…私、手汗が凄いかも」


 「僕は、手汗何か気にしないよ、手汗で繋いだ手が解けない様にしないと」


 僕は、夏鈴と手を絡ませるようにして手を繋いでいた。すると周りの人から色々な声が聞こえてきていた。


 「あの子達、まじ可愛いんだけど、恋人繋ぎしてる」


 「あ…本当だ、微笑ましいね」


「若いってええの…」


 僕は、恋人繋ぎって何だろうって思いながら、ふと夏鈴の方を見てみると、顔がまた真っ赤になって沸騰したような状態になっていたので、人気の少ない所まで行って夏鈴と僕は、休憩をしていた。


 「夏鈴大丈夫?体調悪くない?」


 「ほ…本当に大丈夫だよ…元気だもん」


 「そっか、なら良かった……僕、何か食べられる物を買ってくるから少しここで待ってて」


 私にそう言い残した碧は、走ってお店の方に行ってしまった。私は、一人になって下を向いたまなブツブツと小声で愚痴を言っていた。


 しばらく時間が経った後で、ちょっぴりの本音が溢れていた


 「碧は、何で私の気持ちに気付いてくれないのかな…出会った時は、別に好きになる何て思っても居なかったのに…一緒にいる内に気付けば自然と目で追うようになってるもん……それでも、碧は、相変わらずに気付いて無いし…何か好きになったら負けみたいな気がしちゃうな」


 「夏鈴、好きになったら負けって何の事?」


 「あ...別に何の事でも無いけど...ほら碧が買ってきてくれた物を食べようよ」


 私は、咄嗟に話を逸らして碧が買ってきた物を一緒に食べる事にした。碧が買ってきたのは、焼きそばとイカ焼きとじゃがバターと飲み物だった。


 「気になるけど…そうだね少しでも冷める前に食べないとね...夏鈴は、浴衣を着てるから気を付けて食べてね」


 私は、浴衣を汚さないようにゆっくりと食べていた。食べている間は、あまりお互いにあまり話さないので、鈴虫の鳴き声が程よく心地良い物に聞こえた。


 碧は、私が食べ終わるまで、隣で静かに待ってくれていた。変に声を掛けてこないのも碧のなりの優しさなのかなと思った。しばらくして、私も食べ終わると、また二人で他愛も無い話をしていた。


 「碧って将来何がしたいとかあるの?」


 「僕は、明確にこれがしたいとかは、無いけど...このまま夏鈴と仲良く一緒に居られる時間が続けば良いなとは、思ってるよ。逆に夏鈴は、将来何がしたいとかあるの?」


 いつも碧の発言には、ドキッとさせられる事が多い、碧自身は、無自覚にそういう事を言っていると思うけど...


 「私は...」


 夏鈴が話してくれた瞬間と同時に花火が上がったので、僕は、夏鈴の言ったことを聞きとる事が出来なかった。


 「綺麗な花火だね。私もあんな風に綺麗に輝ける日が来るのかな...」


夏鈴の花火を眺める表情は、少し悲しさが溢れてるような気がしたけど、僕は、触れる事は、しなかった


 「本当に綺麗な花火だと、思う。夏鈴にあの日無理やり引っ張られて外に連れて行って貰わなかったら、この景色を見る事は、絶対に無かったから本当にありがとう」


 僕の一言も花火の音に搔き消されて、きっと夏鈴には、届いていないんだと思うけど...今は、それで良い。静かに花火を眺めて花火が終わり僕達は、手を繋いで家に帰ることになった。帰り道は、特に会話も無かったけど、会話が無い静寂な時間も心地が良い物だった。


 「ねえ、碧、もしもの話だけど、近い内に私が傍に居なくなっても...大丈夫?」


 「夏鈴、変な冗談は、やめてよ...僕たちは、これからもずっと一緒でしょ?」


しばらく、夏鈴の沈黙が続いていた。数分ぐらいの事だったけど、僕にとっては、一時間ぐらい待った気分だった。


 「もしもの話って言ったじゃん...変な話をしちゃったね。忘れて良いよ」


夏鈴がもしもの話をした後の足取りは、僕を置いていくようなスピードで速かった。僕は、夏鈴を追い越しては、いけないような気がして後ろをずっと付いて歩いていた。


▲◆▼★■


 それから数か月は、あの日の出来事が無かったかのように夏鈴は、僕と普通に接してくれていたので、あの時の事は、ただの冗談だと思えていたけど。そんなことは、無かった。


 「ごめんね...碧、お父さんの転勤で引っ越ししなくちゃいけないんだ。花火大会の時に言おうと思ってたけど、言えなくて本当にごめん」


 夏鈴から急な別れを告げられた瞬間に僕の頭は、真っ白になっていた。僕は、夏鈴から逃げるように自分の部屋に閉じこもってしまった。別に閉じこもった所で、夏鈴は、どこかに行かない訳では、無いのに...無意味な事をしているのは、一番自分が良く分かっていた。


▲◆▼★■


 結局、最後まで、碧は、私を見送りに来てくれなかった。それもそうだ。私が逆に碧の立場だったら、しばらく立ち直れる気がしないから、私も碧のことを責める事は、出来ないから。私は、現状を受け入れて、お父さんの運転する車に乗り込む前に一言だけ小声で届かない碧に向けて言った。


 「碧、大好きだよ。きっと届かないと思うけど、ずっと好きだから、私に会いに来て欲しい」

 

 私は、車に乗り込んで、私と碧が居た思い出の街にから出発した。


▲◆▼★■

 

 夏鈴が出発して何時間か経った後、僕の部屋の前にお母さんが来ていた。


 「碧、別れが辛いのは、分かるけど、前を向いて進まなきゃ駄目。夏鈴ちゃん離れてても手紙を書くからって言ってたよ」


 「僕は、手紙より夏鈴が傍に居て欲しかった」


僕は、やるせない気持ちをベットでバタバタして暴れていた。


 「じゃあ、何でその気持ちを伝えなかったの?」


 「僕だって半信半疑だったんだ。この気持ちが好きっていう気持ちだって分からなかったけど、夏鈴が居なくなるって聞いてからはっきりしたんだ。でも、もうどうしようも出来ないじゃないか」


 「少し離れたくらいで碧は、自分の気持ちを抑える事が出来るの?本当に好きなら、今度会いに行きなさい。お母さんは、碧のことを応援するから」


▲◆▼★■

 

 僕と夏鈴は、それから、週一回の文通をしていた。日々の出来事や色んな事を報告しあっていた。それだけでも、僕は、幸せだった。今度、僕は、夏鈴に会いに行こうと約束をして会いに行ったけど…急な予定が入ったと言われて会う事が出来ずに僕は、ただ帰るという事が三回ほど続いてから、夏鈴から手紙が送られる事は、無くなっていた。


 それで、僕からも手紙を送ることをやめてしまっていた。多分、嫌われてしまったのだと思ったから、いつまでも送り続けるのは、迷惑だと僕は、判断したからだった。


 手紙を送る事をやめてから、夏鈴との幼い時の夢を見るようになったのは...夢を見るようになり余計と夏鈴の事を忘れたくても忘れらないようになっていた。

 

 自分の中でも本当は、忘れたくないと思っているからなんだろうけど。お母さんには、もう前に進みなよと言われ続けているけど、忘れらない物は、仕方が無い。


 

▲◆▼★■

 

俺は、いつものように高校に行った。今日は転校生が来るとか噂をしているけど、正直、俺には、どうでも良い事だった。一人増えたぐらいで高校生活が劇的変わる訳でも無いのに皆は、何の期待をしているのだろう。窓の外を見ながら思っていた。


 担任の先生が入って来て転校生の紹介をすると言われて、このクラスに入るのかと思ったぐらいだった。


 「神楽さん入ってきて」


 「皆さん初めまして、神楽 夏鈴(かぐら かりん)と言います。これからよろしくお願いします」


 落ち着いているし、いかにもモテそうな可愛らしい子が転入生だった。


 「神楽さんは、恋空君の隣の席に行って貰えるかな」


 「良いな恋空君の隣は、みんなが座りたいのに」


周りの女子は、俺の事が何か良いらしいけど、正直何が良いのかすら自分でも分からないけど。


 「恋空君、初めまして宜しくね」


 「神楽さんだっけ...よろしく」


 神楽さんは、あの時の夏鈴では、無いはずなのに何故か懐かしいと思ったけど、あまり気にしないことにした。


 授業になり、神楽さんは、やたら俺に話しかけてきていた。


 「ねぇ恋空君、下の名前を教えてよ」


 「別に教える必要無いでしょ...好きに呼べば」


 「ふーん、今は、そんな感じなんだ」


 神楽さんは、そんな感じって何の事を言っているのかさっぱり分からなかったけど、ただ授業中にやたら話しかけてくるのは、やめて欲しいとは、思った。


▲◆▼★■


 休み時間になり神楽さんは、クラスメイトに囲まれていた。美人な事もあり、当然なのだろうけど、俺は、その空気耐えられなかったので、学校の屋上に避難して、屋上から空を見ていた。


 どうにもあの騒がしい空気感には、苦手で仕方が無い…慣れようとも思わないけど、そんなつまらないことを考えていると、後ろに気配がしたので振り返ると一つ下の学年の悪い噂が広がっている美月 陽菜が居た。


 「あ...碧先輩じゃん、いつもここに居ますよね。もしかしてクラスに居場所無いんですか?」


 「ここに居たら悪いかよ...騒がしいのが苦手なんだから仕方無いだろ。そういう陽菜は、何しに来たんだ」


 「碧先輩がいると思って来たんですけど、ちょっと話聞いてくださいよ」


 陽菜とは、屋上で会う仲間だった。最初に会った時から人懐っこいのか俺にすぐ話しかけて来て今では、お互いの愚痴を聞くくらいの仲になっていた。


 陽菜の悪い噂は、良く耳のするけど、大半は、嘘だと思うくらいには、陽菜は、真面目な子だと思う。見た目が完全にギャルなので見た目で判断されてるとしたら、かなり損をしている気もするけど。


 「昨日、めっちゃ最悪な事があって、バイト先でお客のおじさんに急にお尻を触られたんですよ!!どう思いますか」


 「陽菜は、可愛いし、おじさんの気持ちも分からないと言えば嘘になるけど実際触るのは、駄目だよな」


 「碧先輩ってもしかして、私のお尻触りたい感じですか?」


陽菜はニヤニヤしながら俺の顔を見て来ていた。


 「何でそうなる...俺は、一般的な男性の意見を言ってるだけだと思うけど」


 俺は、少し照れながら答えていた。


 「碧先輩なら触っても良いですよ」


陽菜は、俺の方にお尻を向けてきていた。思わず触りたいって思うからやめて欲しい


 「だから何でそうなるんだ」


 陽菜の冗談にもいつも振り回されてばかりだけど、クラスの中に居るよりは、よほど気分が楽で良い。


 「で、碧先輩は、何かあったんですか?」


 「今日突然転校生が来て、そこまでは、良かったんだけど、昔好きになった幼馴染と、どうも雰囲気が似てて何か困惑中かな」


 「碧先輩に好きな人が居たなんて意外ですね。ずっとボッチだと思ってました」


陽菜は、自分の髪の毛を指でクルクルと巻きながら俺の話を聞いていた。


 「おちょくってんのか…まあ良いけどさ」


 「ちなみにその転校生ってどんな子だったんです」


 「昔の幼馴染に雰囲気は、似てるけど、凄く落ち着いてる綺麗で美人な子だね。幼馴染と正反対の性格かな」


「じゃあ…碧先輩、ちなみにその人と私ってどっちが可愛いですか?」


陽菜は、目をキラキラに光らせながら期待するような目付きだった


「どっちが可愛いって言われても全然ジャンルが違うわけだし、一概に言えないけど…二人とも可愛いと思うよ」


ここは、無難に逃げた方が当たり障りが無いのでそうしていた。


「碧先輩、今逃げましたね…まぁ良いですけど…休憩終わるんで戻りましょ」


陽菜と過ごす時間は、あっという間に過ぎて教室に戻っていた。戻ると神楽さんにはなしかけられていた。


「恋空君は、何処に行ってたの?」


「まあ、屋上かな…落ち着くし」


「ふーん、今度の休み時間は、一緒に屋上に行きましょう」


「まあ、別に良いけど、面白い事なんて無いからな」


「私は、別に屋上に面白さ何て求めていないもの」


神楽さんは、本当にやたら俺に絡んでくると思ったけど、最初の内だけだと思い我慢することにした。



▲◆▼★■


昼休みになり、俺は、神楽さんと一緒に弁当を持って屋上に向かっていた。


「ねえ、恋空君、連絡先を教えて貰えないかしら?」


「別に良いけど俺から連絡する事は、多分無いぞ…やり方が分からないからやってくれるとありがたい」


俺は、制服のポケットからスマホを取り出して神楽さんに渡していた。


「迷いなく他人にスマホを渡すのどうかと思うけれど…」


「別に見られて困るような物何て無いからな」


「そ…そうなのね…私が使い方を教えてあげるから」


神楽さんは、俺のスマホの待ち受け画面を見て…一瞬ハッとしたような気がした…


屋上に行き二人で弁当を食べていると、やたら神楽さんが見てくるような気がするので、聞いてみることした。


「神楽さん、さっきからどうしたの?やたら顔見つめられる気がするんだけど」


「さっきの待ち受けの子が可愛かったと思って……」


「あ…あれね…昔から好きな幼馴染でさ…居なくなってから自分の気持ちに気付いてしまって…今では、手遅れだけど…好きな気持ちは、変わらないよ……一方的な片想いだけどね」


(そっかー碧は、私があんなだったのに変わらないまま居てくれたんだ…)


「神楽さん何か言った?」


「別に何でも無いわ…弁当食べましょう」


「碧先輩、私も一緒に食べまーす」


陽菜がいつものように合流していたけど…陽菜と神楽さんの間に謎の火花が飛んでいるように見えた


「恋空君、いかにも不真面目そうなこの子は、誰なの?」


 神楽さんは、腕を組んで俺を一睨みしてから、陽菜の方を鋭い眼光で睨みつけていた。


「今までは、碧先輩と私の二人で弁当を食べてたのに他の女は、連れて来ないで欲しいです」


「別に気にせず仲良く食べれば良いと思うけどな。俺に何か矛先が飛んでるんだけど」


 神楽さんと陽菜は、終始睨みあっていたので、その場に居るのがきつかったけど、数分掛けてやっと二人ともを落ち着かせる事が出来た。俺は、二人から少し離れた所で弁当を食べていると、神楽さんと陽菜の居る方から楽しいそうな話し声が聞こえて来た。


 さっきは、二人とも喧嘩腰だったのに何かすぐに打ち解け合っていたみたいだったので安心できた。休み時間の終わるギリギリまで、神楽さんと陽菜は、話していたので、俺は、離れて横になって空をずっと眺めていた。


 「恋空君、教室にもう帰らないと行けない時間よ」


 神楽さんは、立った状態で俺に近付いて来るので、チラっとパンツが見えたけど、心の中でお礼を言ってから俺は、起き上がった。


 「じゃあ、帰ろっか」


 「碧先輩、明日からも夏鈴ちゃんと一緒に屋上に来てくださいね」


 「俺は、いつも通り来るつもりだったけど、陽菜があー言ってるけど、神楽さんは、来てくれるの?」


 「もちろん私も来るわ。だって陽菜ちゃん良い子で可愛いから...後は......」


 俺たちは、急いで教室の方へ向いて早歩きで戻って行った。神楽さんが屋上で言った。最後の言葉は、声が小さくて聞き取れなかったけど、別に気にするほど事でも無いと思ったので気にしないことにした。


▲◆▼★■


 それから、放課後になり、帰ろうと思っていると神楽さんに声を掛けられていた。


 「ねぇ、恋空君...ここには、()()()()()()()()分からないことも多いから色々と案内してくれないかしら?」


 「まあ良いけど、久々って事は、前は、この周辺の地域に住んでたの?」


 「まあ、そんな感じね。私にとっては、一番大切な場所だから」


 「そっか、俺の分かる範囲で良ければ案内するよ」


 予定が決まり神楽さんを色々と案内することになったけど。取り敢えず俺がお気に入りの珈琲店に神楽さんをまず連れて行くことにした。珈琲店の良い所は、お店に入った瞬間に珈琲の匂いが花に広がる所とこの落ち着いた空気感が好きなんだよな。


 「あ、神楽さんに聞くの忘れてたけど、珈琲飲める?」


 「私も珈琲くらいは、飲めるわよ」


 俺と神楽さんは、同じオリジナルブランド珈琲を頼んで、しばらくして珈琲が来たので、飲むことにした。俺は、ミルクも砂糖も入れないので、そのまま飲んでいると、神楽さんが俺をじっと見ていた。


 「神楽さんどうしたの?もしかして、俺のミルクと砂糖が欲しいの?」


 神楽さんは、コクリと頷いて、俺のお盆に乗っているミルクと砂糖をこれでもかと言うくらいに入れていた。


 「今更、こんな事言うのもあれだけど...珈琲苦手だったら無理しなくて別の頼んでも良かったんだよ?」


 「何か恋空君に負けた気がするのは、嫌だったの」


 珈琲を飲むか飲まないのかの勝ち負け何てあるのだろうかと思っていたけど、本人がそれで良いならいいけど、あれだけ砂糖を入れたら体には、悪いのは、確かな事だけは、分かった。


 「珈琲美味しいわね」


 何故か若干勝ち誇った顔で神楽さんは、珈琲を飲んでいた。


 「言ったら悪いけど、ほぼ砂糖水みたいなもんだと思うよ」


 「私は、珈琲だと思ってるから良いの...私だっていつかは、ミルクと砂糖無しで珈琲を飲めるようになるから」


 「それなら、また一緒に来ても良いかもね」


 「ええ、そうね」

 

 珈琲を飲んで、落ち着いた後、俺たちは、ゲームセンターに向かう事にした。単純に俺が遊びたかったのもあるけど。


 「あの、猫のぬいぐるみが欲しい」


神楽さんが指で示したUFOキャッチャーの猫は、有名な猫の先生だった。俺も可愛いとは、思ってたけど…神楽さんが欲しいならたまには、頑張るかと思い俺は、UFOキャッチャーを始めた。


 「恋空君、取れるの?」


 「あんまり得意では、無いけど頑張ってみるよ」


最初は、コツを掴むのに時間がかかったけど、二千円ほどで取れたのでかなり運が良い方だと思った。猫の先生が取れたので神楽さんに渡すと大喜びで猫の先生を抱きしめていた。その眩しすぎる笑顔を俺は、見覚えがあったけど、多分俺の勘違いかもしれないと思って心にフタをしていた。


 「恋空君、本当にありがとうずっと大切にするね。」


 「神楽さんが、そんなに喜んでくれるなら頑張った甲斐があったよ」


 猫の先生を取った後は、エアホッケーやシューティングゲームや車のゲーム、最後にプリクラを撮っていた。


 「結局、案内するとか言ってゲームセンターでほぼ遊んでただけになったね。ごめん」


 「私も久々に楽しかったし。また別の日にデートしてくれても良いんだよ?」


 「それも、そうだね」


 素っ気ない感じで返事をしたけど、デートと言われて少しドキっとして目を逸らしてしまっていた。


 「恋空君、デートって言われてドキっとしたでしょ?そんな顔もするんだね。可愛い」


 それから、俺と神楽さんは、解散して俺は、今日の余韻に浸りながら家に帰るのだった。





 





 








 


 


 



 




 

 


 






 




 







 


 


自分の妄想を詰め込んでいるの小説というより文章です。願望を詰め込んでいるので、これ変じゃないとかあるかもしれないですがあまり気にしないでください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ