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駿河 真一の怪異譚   作者: 緋色火花
2/2

第1話 赤いコートの女 関西編 前編

お疲れ様です。


「駿河真一の怪異譚」第1話となります。


実際にあった話かどうかは置いておいて、

面白く読んでもらえたら嬉しく思います^^


ブックマークや感想など宜しくお願いします^^


それでは、赤いコートの女をお楽しみ下さい。

俺の名は駿河 真一・・・30歳独身だ。


今回から始まる俺の怪異譚・・・。


俺が今回話すのは・・・。

当時21歳の冬で確か2月頃から始まった・・・。

まずはこの話からしていこうと思う。


何故かと言うと・・・。

ごく最近まで続いていた話だったからなんだ。

だから印象深くて・・・そう思い俺はこの話をする事に決めた。


では・・・聞いてくれ・・・。


その頃は、兵庫県某市在住だったんだが、

当時俺は足となる車がなかったので、ある中古車屋で車を購入した。

別に走り屋仕様と言うのではなく、極々一般的な普通車だ。



そんなある日の夜中の事だった。


俺は気分が(すぐ)れない為、車でドライブに出掛けた。

まぁ~いい行いとは言えないが、車を飛ばしストレス解消がしたかった。


そしてあの日はぐずついた天気で、

小雨が降っていたのを今でもよく覚えている。


そんな中、俺は某バイパスを走りモヤモヤした気分を解消しようと、

車を飛ばしていたんだ。

料金所を抜けるとすぐに右へ曲がる急カーブがあるんだが・・・。


・・・そこで俺は女を見た。


そう・・・急に道の真ん中に居たんだ。

危ないっ!っと、俺は咄嗟にブレーキを踏んだんだけど、

この雨でスリップし慌てた瞬間、耳元で女の声がした。


一言・・・「・・・来るな」・・・と。


そこからの記憶は俺にはないし、今もまだその頃の事は思い出せない。

気がついた時には俺は病院のベッドの中に居た。

医者の話を聞く限り、俺は打撲のみの軽症だったんだ。


少しすると2人の警察官が話を聞きに来たのだが、

どうやら俺は咄嗟にサイドブレーキを引いて、

正面からの壁面衝突は避けられ車体も、

左側のミラーやフェンダー、それにドアが壊れた程度で済んでいた。


修理代は高くつくが、生命があっただけでも・・・

そう思って納得する事にした。

すると、一人の警察官が俺に近づくと、

耳元で他の人達には聞こえないような声で話しかけてきた。


「君は何か見たんか?」


その言葉に俺の心臓は跳ね上がり自分の鼓動が聞こえるくらい驚いていた。

俺は上手く言葉にする事が出来ず、ただ頷くだけしか出来なかった。


俺の表情を見た警察官は何かを察したのか軽く愛想笑いを浮かべると、

ベッドの上で体を起こした俺の肩を叩いた。


そして俺にこう言った。


「・・・あんたはもうあの道は走らんほうがええよ?」


俺は再び鼓動が高鳴ると、警察官が何を言いたいのかを察し、

絞り出すようにこう答えた。


「・・・はい」っと。


医者は今日1日様子を見る・・・そう言って、看護師と部屋を出て行った。

一人の警察官がその後を追って出て行ったのだが、

俺に話しかけてきた警察官はドアの外に出た警察官に・・・。


「俺はもう少しここに()るから、後、宜しくな?」


「またですか~?」


病室に残った警察官の後輩なのだろうか?

それは分からないけど、後輩らしき警察官は(なか)ば呆れていた。


扉が締められると、再び俺を見て話しかけてきた。


「すまんな~?みんな()ったら話されへんやろ?」


気さくに笑ってそう言ったその警察官に、

俺もただ苦笑するしかなかった。


「あっ、そうや?俺の名前は、石垣 浩って言うねん。

 駿河君もう少し話聞かせてもらってええかな?」


俺は少し唖然としながらも石垣さんに聞いてみた。

これって職務の一環なんですか?・・・と。


すると帽子を取りながら控えめに笑うと・・・。


「ちゃう、ちゃう。これはまぁ~・・・俺の趣味みたいなもんや。

 あそこではたま~に事故があるんやけどな?

 それが何か妙なんや?」


俺は石垣さんの言葉に首を少し捻っていると、

静かに事情を話始めた。


「あの料金所のカーブにはな?

 赤いトレンチコートを着た髪の長い女が出るそうなんや。

 でな?そこで事故った連中はみんな言いよる・・・・

 耳元で・・・「おいで」って言うてな?

 その後、みんな事故しとるんやけど、一応全員助かっとる。

 まぁ~あんたみたいに軽症やなかったけどな?

 生命があっただけ(もう)けもんやからな~」


俺はその話を聞いた時、あのカーブで見た赤いコートの女とその声に、

思わず体中に寒気が走った。

そんな俺の様子を見た石垣さんは察すると・・・。


「ごめんやで?別にビビらすつもりはないんや。

 ただな?何で駿河君だけが軽症なんかな~って思うてな?

 めっちゃ興味湧いてもうて、こうして話を聞かせてもうてんねん。

 まだ職務中やからほんまはこんなん・・・あかんねんけどな♪」


俺はこの石垣さんの印象は、調子のいい人だな?って思ったんだけど、

この時ある種の引っかかりみたいなモノを感じた。


それから少し話すと、後輩らしき人が部屋を訪れ、

文句をぶつぶつと漏らしていた。

仕方がなく石垣さんは立ち上がり病室を出ようとしたのだが、

慌てて俺の元へ戻ってくると、

名刺の裏に電話番号を書いて渡してくれた。


「何かあったら電話してな?

 あ~でもな?職務中は出られへんから、その時はごめんやで?

 まぁ~でも後で必ず折り返すから・・・そん時は待っといてな?」


そう言うと、苦笑いを浮かべながら、

後輩に連れられ病室を後にしたのだった。


俺は1日病院に泊まると、翌朝問題なしとされ家路に着いた。

そして自宅のマンションに戻った時だった。


自宅のドアが閉まるタイミングがとても遅く感じた。

普段そんな事を気にした事もないのだが、明らかに遅い・・・。


あの時感じたドアへの違和感を今でも忘れはしない。

それほど異様な雰囲気だったと言えば、わかってもらえると思う。


その日は何故か疲れていて、夜も早いうちに眠りに着いた・・・。



そしてその夜中の事だった・・・。


俺は喉の乾きを覚え真夜中に起きてしまった。

ふと時間を見ると・・・am2:00を過ぎたところだったんだ。


少し身体が気だるく感じたが、喉の乾きには勝てず、

俺は起き上がった。


寝室からリビングヘ向かい冷蔵庫を開けて、

ペットボトルの麦茶を取り出した。


俺はそのまま麦茶を飲みだした時だった。

丁度視界の一番端に・・・ふと気配と違和感を感じたんだ。

俺は咄嗟に振り向き気配がした方を見た・・・。


だがそこには何もなく、ただ観葉植物が在るだけだった。

俺はその緊張感から深く息をを吐くと、

電気を着けにスイッチのある場所まで移動した。


「パチッ!」っと、リビングに明かりが灯る。

その瞬間、先程気配を感じた場所に・・・誰か・・・居た。

まるで金縛りにあったかのように、俺はペットボトルを持ったまま、

動けなくなってしまったんだ。


身体は動かないが、眼球は動くようだった。

俺はその時確実に見たんだ・・・観葉植物と重なるように・・・


「赤いコートの女」がその場に立っているところを・・・。


俺は「ドキッ!」っとして大声で叫んだ・・・。


「うわぁぁぁっ!」っと・・・。


そしたらどう言う訳か、

俺はベッドから飛び起きるような形になっていた。


夢・・・?

俺はそう思い安心すると、

自分が寝汗でぐっしょりと濡れている事に気付いた。


俺は風呂場へと向かう為ベッドから起き上がると、

時間を確認した・・・確かam7:00前だったと思う。


俺は頭を掻きながらリビングを抜けて風呂場へと行こうとした時だった。


「ポコン」と、俺のつま先に何かが当たった。

俺は床に視線を移した時・・・驚きのあまり言葉を失ってしまった。


何故か床には・・・カラになった麦茶のペットボトルがあったからだった。

俺はこの時恐らく頭の中が真っ白だったんだと思う。


我に返ると何故か時間がam8:00近くまで経っていた。

俺はもう一度床に視線を移すと・・・

こぼれた麦茶とカラのペットボトルがそこにはあった。


俺は誰かに見られているかのように感じつつも、

仕事に行く為に慌てて掃除をし、風呂へと入り仕事場へ向かった。


俺の仕事は当時探偵業の助手をしており、

先輩と一緒に依頼をこなし、ヘトヘトになるまで仕事をしていた。

この仕事中の時はいつも通り何事もなく時間は過ぎて行った。


実はその日から暫くの間、その赤いコートの女は出なかったし、

その独特な気配もなかったんだ・・・。



そう・・・あの日が来るまでは・・・。


ある日の事だ。

俺は戻ってきた愛車を転がして友人宅へと出掛けていた。

いつもバカな話をして部屋でただ飲むだけの・・・

そんな悪友達(あくゆうたち)と居た。

そんな連中が集まったいつもの飲み会・・・

そしていつも通り、友人の部屋には俺を合わせて4人が居た。


因みにだが俺は下戸(げこ)だ・・・。

それこそコップ一杯飲んだだけでぐっすりと眠ってしまうくらいだ。

俺はいつも通り炭酸を飲んでタバコを吸いながらバカな話をしていると、

ある一人の友人が変な話をし始めた。


「あんな?最近めっちゃ変わった友達が出来たんや」


こいつの名前は・・・達臣(たつとみ)、小学校時代からの親友だ。

いつも一緒にバカな話をしたり、喧嘩をしたり遊び歩いたりしていた。

スポーツをこよなく愛し、自分の飼っているハムスターを()でる、

そんなヤツなんだが・・・。


その達臣がちょっと妙な表情を浮かべながら、

みんなに話をし始めた。


「あんな?今務めとる会社にな?

 小阪ちゅーヤツが入ったんやけどな?

 そいつって幽霊とか見れるらしいねんっ!

 まじですごくねっ!?」


そう言った時だった。

友人達が一斉に俺の顔を見た。


何故俺を見たかと言うと・・・。

俺はこの前の事故の話をみんなに話したからだった。


「そんでな?お前の事を小阪に話してん。

 そしたらな?今度一度会わせてって言うからな、

 おっしゃっ!一度会わせたろっちゅー事になったからよろしこ♪」


「なんじゃそりゃ~・・・達臣~?お前は勝手なやっちゃの~

 アポなしとか意味わからへんわ」


この時みんなは達臣の物言いに爆笑していた。

そして達臣は小阪と言う人に電話をして一度話しみーな?

と、言う事になり電話をかけた。


少ししてその小阪という人が電話に出ると・・・。


「もしもし~?俺や、達臣や・・・」

その後、達臣と小坂と言う人は少し話していると、

達臣の視線が俺の顔を見て止まった。


「あんな?今、真一のヤツも一緒に()るんやけどな?

 あ~、そうそうっ!この前お化けの話をしたヤツなんやけど・・・」


そう話した時に、達臣の視線が・・・

いや、俺の顔を見たまま・・・まるで驚いたように目を見開いた。

まるで何かに怖がっているかのように・・・。


周りの連中はそんな達臣を見て笑っていたのだが、

その本人の額には、汗が滲んでいた。


「・・・ほ、ほんまにっ!?

 い、今かっ!?ほ、ほんまに聞こえるんかっ!?」


その達臣の様子に、今まで茶化していた連中も黙ってしまった。


すると友人の一人が、達臣の肩を何度か叩くと・・・。


「なぁ、なぁ、なぁっ!どないしてんっ!

 えらいまじっぽいんやけど・・・真一になんかあるんかっ!?」


「あほっ!ちょっと待っとけっ!

 最初に言うとくけど・・・茶化していい話やないらしいで?」


達臣の言葉に肩を何度も叩いたその友人・・・


その友人の名前は、輝基(てるき)

こいつも小学生の時からの悪友で同じ野球部だった。

こいつは基本調子に乗りやすいタイプだが、友達思いのいいヤツだ。

だが微妙に・・・気が弱い。


輝基が不安そうに俺を見ていた。

すると達臣が俺にこう言ったんだ・・・。


「な、なんかな?電話越しに・・・女の声が聞こえるって・・・」


「「「!?」」」


この時みんなの表情は・・・ただただ、引きつっていた。

俺はそんな空気の中、達臣に声をかけた。


「なぁ、達臣・・・悪いんやけど、その小阪って言う人に、

 その女の声が何て言うてるか聞いてもらわれへんか?」


俺の声が聞こえたのか、その小阪と言う人は達臣にこう言ったらしい。


「一言だけはっきり聞こえた事があって、

 それ以外は全然聞き取れなかったんだけど・・・」


「そ、そうなん?そ、それで・・・?

 そんで・・・聞こえた言葉って何やっ!?」


「えっと・・・俺が聞こえたのは・・・「離れない」って言葉だけ。

 それだけはっきりと聞こえた」


達臣は小阪と言う人からそう聞くと、少しの間言葉を失っていた。


それから少しして、達臣は小阪と言う人の言葉を俺達に伝えた。


俺はこの時・・・。

(俺がここに居たら、友人達に何か被害があるんじゃ・・・)

そう思っていた。


俺は咄嗟に達臣から電話を奪い取ると、

小阪と言う人に話を聞いてみる事にした。


「は、初めまして、俺が真一なんやけど・・・

 こ、小坂君・・・あんな?」


そう言うと、その小阪君は気さくに、「小阪でいいよ?」と、話してくれた。


その言葉に甘えて俺は小阪と呼ばせて貰う事になり、

俺の事も真一と、この時から呼ぶようになった。


「・・・で、で・・・あ、あんな?」


俺はしどろもどろになりながらも何とか気を落ち着かせ話すと、

その小阪からこう言われた。


「真一・・・。とりあえずだけど今は大丈夫だと思う」


「・・・えっ!?」


「真一が気にしてるのは、友達の事だろ?」


「あ、ああ・・・そ、そうなんやけど・・・」


「今もな?時々やけど・・・「フフフ」って笑い声が聞こえるから、

 みんなは大丈夫だと思うよ?」


そう小阪は言ってくれた。


俺は半信半疑になりながらも、今の話をみんなに伝えると、

安堵の息を漏らし俺を茶化してきた。


すると小坂が俺にこう言った。


「真一・・・真一だったら何とか出来るんじゃないのか?」


「いやいや、無理っ!無理っ!何とも出来ひんってっ!」


「そうかな~?真一くらい力があったら、

 何とか出来そうな気がするんだけど?」


俺は咄嗟にその部屋を出て台所がある場所まで移動すると、

小声で小阪にこう言ったんだ。


「悪いんやけど、達臣にはその話せんといてな?」


すると小坂は苦笑でもしているのか、少し笑っていた気がした。


「まぁ~いいけど・・・力があるのに勿体ない話だね?」


「いやいや、俺にはそんなんないからっ!」


「そっか・・・まぁ~それならそれでいいんだけどね?」



少し小阪とそんな話をしていると、突然ドアが開き・・・。


「ちょ、ちょっとその電話俺に貸してーや?」


そう言って来たのは、正俊(まさとし)だった。

こいつは中学時代からの友人で、最初は喧嘩から知り合う事になった。

元・バレー部で身長188cmあり、怒ると人の事をすぐに、

「チビがしゃべんなっ!」っと、必ず言う変なヤツ。


俺は正俊に電話を渡すと、何やら立ち上がりベランダの外に出て行った。

暫くして戻ってくると、小坂との電話は切ったとの事だった。


何を話していたかと聞くと、「また今度話すわ」

そう言って、その日はしゃべろうとはしなかった。


そして日付もてっぺんを回ったくらいの時刻になると、

いつも通り、俺は輝基と正俊を車に乗せ、

みんなを送って行く事になった。



そしてこの後・・・。

再び俺は、その赤いコートの女の声を聞く事になったんだ。




緋色火花です。


月1となるこのシリーズですが、

今後とも宜しくお願いします。


次回は5月となります。


それではまた次回お会い致しましょう^^


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] うおー、続きがめっちゃ気になりますね! 月1は待ち遠し過ぎます! 余裕できたら週1くらいでお願いしまーす♪
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