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ニンゲンスレイヤー  作者: 弐屋 丑二


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意図

鍵を嬉しそうなヤマモトが開けると、紺のジャケットを着た感じの良い雰囲気のジンカンが立っていた。

彼はヤマモトに微笑みかけた後すぐ室内の様子を見回す。

そして苦笑しながら

「うわーとんでもない作戦だな。ヤマモト、あの二人、遠回しに俺とユタカさんを殺すための刺客だよいや、駒の一つっていうか……とにかく精密な意図がある……」

ベッドの上でポカンと自分を眺めている

ハーツとグランディーヌを見つめる。

ヤマモトがハッと二人に鋭い視線を向け、そしてすぐに脱力すると

「んなわけねぇだろ。悪いやつらじゃねぇよ。入れよ。立ち話させるのも悪い」

とジンカンを部屋の中に誘い入れようとする。

彼はサッと背後に下がって

「いや、ここで話させてくれ。今は無用な争いは避けたいし恐らく、室内に俺が入ると、あの二人に予めかけられた何らかの呪文的な装置が発動する」

ヤマモトは目を細めながら

「"理解"か?」

ジンカンは薄く笑いながら黙って頷き

「ごめんなぁ。ミノリちゃんとお前らにこれ以上辛いことさせないためにオースタニア任せたのに、あんなことになって」

とても哀しそうに謝ってきた。ヤマモトは苦笑いしながら

「いいって。俺たちもやり方が間違ってたよ。どんなことでも、軽んじたらいけないってことをよく学んだ。例え、軍人でも戦争関係者でも、敵でもな」

ジンカンは申し訳なさそうに

「俺が傍についていれば、もう少し上手く三人を退避させられたんだけどユタカさんと"例のもの"を集めるのに忙しくて」

ヤマモトはニカッと笑うと

「気にすんなよ。もういいんだよ。で、何で来たんだ?俺たちを救助しにか?」

ジンカンは申し訳なさそうに首を横に振り

「悪いけど、二人はしばらくこの近辺に居てくれ。この辺りには、大悪魔たちも近寄らないだろう。あいつらは今は、オースタニアと帝都に張り付いてる。それに、あの二人も同行させてていい。俺とユタカさんが近寄らなければ無害だ」

「そうか……そこからでいいから、寝てるタナベを見てくれないか?」

ヤマモトがサッと横に退くと、ジンカンは部屋の中でスヤスヤと寝ているタナベを見つめる。

「……ひどい傷だったが、後遺症はない。ビムス?とかいう竜の唾液で、身体が多少強化されていたようだな」

ジンカンは

「あのレインボージジイドラゴンやるじゃねぇか……。毒効かなくなるだけとか言ってたのに」

ジンカンはスッと背後に引いていきなり真剣な顔になり

「お前ら、不可侵条約とか休戦協定みたいなものを悪魔たちと結んだか?」

と尋ねてくる。ヤマモトが軽く首を横に振るとジンカンは舌打ちして

「……次のターゲットはお前らじゃないな。恐らく、竜騎国だ。協定のないお前ら二人にさらに刺客をつけて注意を向けさせておいてあっちの三人を協定外の悪魔以外で狙う気か……」

「クソどもは、もう助けなくてよくないか?特に、スズナカにはウンザリなんだが……」

ヤマモトが真面目な顔で言うとジンカンは驚いた表情で

「八人しか仲間が居ないんだぞ?一人でも欠けたら大損害だろ?……俺はこれから、ユタカさんに言って二人で竜騎国に向かう。五人揃えば、悪魔たちも手が出せないはずだ」

ヤマモトは微妙な顔で一応頷いた。ジンカンはその肩を軽く二回叩き

「少なくともこの国から動くなよ。委員長もそろそろ傷が癒える」

「ああ、助かる」

彼はヤマモトに爽やかに笑うと足早に去って行った。

ヤマモトが部屋に戻り鍵を閉めるとハーツが

「あの……今のが、ジンカン・アキノリですか?」

不思議そうな顔で尋ねてくる。

ヤマモトは面倒そうな顔をハーツに向けつつ、再び寝袋に入りながら

「ああ、そうだよ。超いいやつだ。いつもみんなのこと考えてる。俺たちの参謀みたいなやつだよ」

ハーツは唖然とした表情をした後

「そ、そうですね。いい人っぽかったです」

半ば無理やり笑顔を作って言った。


十数分後にヤマモトが寝袋の中で深く寝入ったのをハーツはベッドの上から確認すると、黙りこくっていたグランディーヌに小声で

「……あんな邪悪な人間が居たとは……」

グランディーヌも戸惑った顔で

「……雰囲気は王様によく似ていた。深くどこまでも欠落した中身を温かい顔で包んでる……」

「いっ、いや、王様もっと優しいでしょ。あっ、あんな、性格超悪そうなのは、大悪魔でも……」

「……やっぱり二人で逃げない?きっと、この後大変なことになる」

自らに心配した顔を向けてくるグランディーヌにハーツは必死に首を横に振り

「だっ、ダメ!少なくともタナベさんと添い遂げるまでは!」

グランディーヌは呆れた顔で

「……ハーツちゃん、そんなに男の子と付き合いたいの?」

ハーツは必死に頷く。

「仕方ないなぁ……そろそろ寝ようか」

「そうだね……」

小柄な二人は部屋の明かりを消すと並んで一つのベッドに入り、シーツを被り、スヤスヤ寝始めた。

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