ヌーグルマップ
ブラウニーはフードを取り去って顔を赤毛の男に晒す。
俺はブラウニーを赤毛の男から隠すように腰を下げ、いつでも戦えるように腹を据えた。
「……おっさんたち、悪いけどバレバレなんだよ。漫画とかアニメでよくあるだろ?本当の悪人ってのは、味方の振りしてるってな。あっ……この例えじゃ、あんたらには分かんないか」
赤毛の若い男は余裕たっぷりの笑みで銀の大剣をゆっくりと両手持ちして、こちらへと構えてきた。
「……聞け。煉獄の子供たちよ。我らは、お前らの支配をうけぬ!」
ブラウニーはそう言うと、俺を押しのけ前面へと出て、赤毛の男の方へと開いた両手から猛烈な業火を放った。
数十秒の間、ブラウニーが放った炎は猛り狂い赤毛の男を焼き尽くす。
唖然として、その様を見ていると炎の中から赤毛の男の笑い声が聞こえてきた。
ブラウニーは大きく舌打ちして、
「ターズ、逃げろ。あちらの壁に隠し通路がある。一度入れば、誰も開けぬ!私のことは心配するな。行けっ!」
俺は後ろを振り返りながらブラウニーが指し示した壁に駆け、力を入れ前へと押すと、壁がクルッと回転して、俺は反対側の暗闇に突っ込んだ。
壁の向こうでは、赤毛の男の笑い声とブラウニーの断末魔が聞こえ俺は必死に暗闇の中、壁に何度もぶち当たってボロボロになりながら走る。
そのうち、突き当りの壁を触ると梯子のようなものがあり、それを必死に登って、暗闇の中上を目指していった。
どれだけ登ったか分からないほど登ると
頭の上に何かが当たり、それを力で押しのけると、青空が頭上に見えた。
金属の円形の蓋を押しのけ外へ出ると、俺は絶望感に包まれる。
先ほどの赤毛の男が、紫の体液塗れの銀の大剣を片手に持ち、陰気な少年と共に、すぐ近くに立っていた。
「……うん。やっぱりね。ヌーグルマップの隠し通路の通りだ。ここが出口だった」
赤毛の男はため息を吐いて
「そのスマホ、ネットでエロいのとかもやっぱ見れんの?」
「分からない。まだやる暇が無いから」
「帰ったら、試してみようぜ」
「……そうだね」
二人は一斉に俺を見つめて赤毛の男が、申し訳なさそうな顔で
「悪いな、おっさん。ミノリが一人も逃すなって言ってたからな」
赤毛の男が銀の大剣を一閃すると俺の上半身と下半身はあっさり離れて、意識を失った。




