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ニンゲンスレイヤー  作者: 弐屋 丑二


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連携技

ワタナベは近くの小川に飛び込むと、その中にしゃがみこみ

「がぼぼぽっ……ぼぼぼっ……」

口から音を立てながら猛烈な勢いで川の水を飲み始めた。瞬く間に流れる水の水位が下がっていく。さらにワタナベは川の中へと寝そべり、一時的に、川の水が枯れるまで吸ってしまってから

「よ、よし!」

決意した表情で立ち上がった。

相当な量の水を吸い込んだにもかかわらず

彼の小太りな体系はまったく変わっていない。

同時に彼のずぶ濡れの迷彩服の水がまるで身体に吸われるように急速に水気を失って乾いていく。

「……材料と認識されてるな……や、やれるみたいだ。急ごう」

ワタナベは急いで、近くの獣道から山を下り始めた。


平原では、ニヤニヤ笑いながら少しずつ距離を詰めてくる体長二十メートルほどの巨大化け物たちの激しい魔法攻撃を狂ったように笑っているユウジが完全に吸収しながら受け止め続けていた。

「あははははっ!楽しかった……」

彼はピタッと笑いを止めて

「じゃあ、お前らそろそろ死ぬか?」

パチパチと体中に、激しい雷光を纏いだしグルッと化け物たちを睨み上げる。

それと合わせるように、化け物たちは全員同時に後方へと距離を取る。

「チッ……知ってやがるのか。一発で片が付かないと面倒だな……」

彼が一瞬、戸惑ったのと同時に遠くから

「ユウジ君!こっち来て!」

ワタナベの声が響いた。

彼はニヤリと笑うと全速力で声の方角にある山中へと駆けだした。

数秒でそちらの方向に立ちふさがる化け物一体の股ぐらをすり抜け、人並外れた速度で駆けていく。

その先の山中には、長さ十メートルほどの、

真っ黒なスナイパーライフルを巨大化して横向きにしたような砲台が木々に隠れるように設置されていた。

近くでその砲台から伸びている何本もの黒いチューブの先を纏めて抱えているワタナベが

「こっちー!!」

と言っている横へとすぐにユウジが到達するとワタナベは

「これ、身体のいろんなところに付けて!」

チューブを彼に渡しつつ、自分もユウジの背中や太ももに素早くつけていく。

遠くからは、五体の化け物たちが集合して

ゆっくりとこちらへと進んでくるのが見える。

ユウジは時折小さなスパークを発する自らの身体にチューブを素早く接続しながら

「これはどんな、大量殺戮兵器なんだ?」

完全に楽しんでいる顔で尋ねる。ワタナベはまったく余裕のなさそうな顔で

「荷電粒子砲だよ。えっと要するに……今回打ち出すのは水で、電子を利用した超早い水鉄砲!ユウジ君の発散する雷のエネルギーと僕の吸収した水であの化け物たちを消滅させられる……と思う」

「……言っている意味は分からんが、やってみろ。面白そうだ」

ユウジは十五本ほどのチューブを全身につけ終えるとさらに体中の雷光をパチパチと激しくさせだした。

ワタナベは、砲台の最後部に設置された座席に座るとレバーに設置されたトリガーに指を引っかけ

「ユウジ君!あいつらは、ここから見てまっすぐに進んできてるね!?急いでて兵器デザインのイメージが間に合わなくて、照準が抜けてるんだこれ!どこにいるか教えてほしい!」

数メートル先の砲身横でチューブに繋がれているユウジに向けてそう尋ねた。

「ああ、間抜けにも縦一列に並んできてる!そのままぶち込め!」

ユウジは楽しげにそう言いながら口元に雷光を迸らせた。

ワタナベは一度大きく息を吐いて

「ユウジ君!僕や砲台にかまわずにその場で雷のエネルギーを発散して!」

ユウジはニヤリと笑うと全身が真っ白に発光するほどスパークしはじめた。

ワタナベは冷や汗をかきながら、トリガーを引く。


次の瞬間には、砲台の先端から遠くへとまっすぐに猛烈な速度で発光する太いレーザーの様なものが照射され、平原に居た五体の巨大生物はまるで蒸発するようにそのレーザーに巻き込まれ瞬く間に消え失せた。

遠くまで伸びていったレーザーが減衰して、消えた後には、砲台やチューブもまるで空気に混ざってフェードアウトするようにスッと消えていき雷光が完全に消えたユウジとガリガリにやせ細って倒れているワタナベが残っていた。

ユウジが駆け寄って、ワタナベを抱き上げると

「だ、だいじょうぶ……で、でも水分がちょっと足りなかったみたいで……身体のも持ってかれたみたい……だ」

ユウジはニヤニヤしながら

「お前、やっぱり、うちの部のクソフォワードどもよりよっぽど役に立つよ。いい連携技だった。さあ、帰ろうか」

軽々とワタナベを抱き上げ山中を駆けだした。



ほぼ同時刻、竜騎国首都、グラムリス城内



スズナカが暇そうに城内の大浴場に入っている。

その近くには、何名かのメイド服を着た侍女が控えていてそれぞれバスタオルや洗剤などを持っている。

「あー暇だわー。つっまんないわー」

スズナカは大理石の広い湯船からつま先を出しながら

「……なんで、こんなつまんない能力なんだろ。人を操って言うこと聞かせたってぜーんぜん、面白くないのにねー。飽きたわーあーあ」

などと、完全に気の抜けた顔で顔を半分まで湯船に漬からせた。

次の瞬間、侍女の一人が、バスタオルに潜ませていた短刀を右手に持ち

「悪鬼滅すべしいいいいいいいいいい!!」

湯船にいきなり飛び込み、あっさりと首根っこを掴まれたスズナカの喉元が掻っ切られ

湯船は瞬く間に血の海と化す。

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