仲秋の名月
本日は仲秋の名月です。
仲秋というのは、季節を三分割した時の真ん中という意味で、初秋、仲秋または孟秋、晩秋という具合に季節の移ろいを表現します。
その仲秋の名月は、芋名月とも呼ばれ、秋に収穫した芋類(里芋や薩摩芋)を供える風習が江戸時代ぐらいから発生しています。
また「後の月」として、十三夜を観る風習もあり、どちらかのみを観ることは「片月見」と称して忌むものでした。
この「後の月」は「豆名月」或いは「栗名月」と呼ばれ、それぞれ収穫した作物を供えます。
観月方法は、古くは水面に映る月を楽しみ、特に酒杯に満たした酒に月を映しながら飲むのが風流とされました。時代が下るにつれて、直接に月を観るようになります。
宗教的な意味は当初はなかったようですが、徐々に願掛けなどが行われるようになるのは、人類の欲望の為せる業と言えましょう。
月は古来、様々な伝承があります。
多くの歌の題材にもなっていますが、規約の問題で何一つとして紹介できないのが残念でなりません。歌手の皆さんの機会損失ですね。
そうした著作権に抵触しないのが百人一首でしょう。
阿部仲麻呂が唐に留学していた頃、故郷を偲ぶ歌を遺しております。仲麻呂は唐で客死しておりますので望郷の念は強かったかもしれません。
世界中の誰もが同じ月を見上げております。日本で見る月も、外国で見る月も同じ月です。
北朝鮮に拉致された日本人被害者も、同じ月を眺めて望郷の念を強く抱いているに違いないのです。
「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」 阿部仲麻呂