第8話 会話
2人は食堂へ。
魔法についてかなり詳しくなったところで、図書館を出る。すっかり暗くなっている。
「もうこんな暗いのかー。"我が力に依りて、時をその目に示せ"ータイムルー」
目の前にぼんやり時計が浮かぶ。幻想でできたものである。
「23:00かー。飯どうしよう?」
「確かにお腹すきましたね、向こうに食堂があったはずです。行きましょう。」
「まだやってるのか?もうこんな時間だぞ?」
「元の世界では時間によって店などが閉まるのですか?」
「ああそっか、常識が違うんだったな。…そうだよ、向こうじゃ時間で開いたり閉まったりするんだ。」
「なるほどー。こちらでは日によって違うんです。覚えといてくださいね。」
なるほど。どの店も24hか、コンビニ的なのはないのか。
「あ、例外もありますけどね?まあとにかく行きましょう。」
「ああ、そうだな。」
食堂に着くなりナイフが横を掠めていった。
「喧嘩なら外でやんな!ここで暴れんならあたしが骨ごと真っ二つに折るよ!!」
「「「「…。」」」」
喧嘩していた3人と、コレットが黙る。
「えーと…。」
沈黙しなかったのは俺だ。
「食堂って聴いてきたんだけど…。間違えてコロシアムにでも来たかな?」
「いらっしゃい、食堂で合ってるよ。バカが騒がしいのはいつもの事だから気にしないでおくれ。」
「「おうおう、バカとはさすがに言い過ぎじゃねえかい、ゴリラウェバよ?」」
「ぶち殺されたくなけりゃお黙り!!」
「「「「…。」」」」
喧嘩していた内の1人以外が黙る。
「あんちゃん、シェファ様より魔力量が多いんだって?」
「自覚してねえし、制御もまだまだだ。」
「そうかいそうかい、俺はレオン、よろしくな。」
「なんだいなんだい、抜け駆けなんかズリぃぞ、俺ァストラースェ、よろしかぁな。」
「カリメル。よろしく。」
1人目はひょろ長のイケメン。2人目はロシア出身と言われれば納得するスキンヘッドの白人。3人目はなんと女性で、フードの付いたローブを来ている。男2人と喧嘩していた筈なのにローブにはシワすら見当たらない。チラッと見えた髪は純白、ロング。
「それで、注文はなんだい?」
「おう、今夜は俺が奢ろう。好きなもん頼め。」
「おお、レオンてめぇそれは許さんぞ、俺が奢る。」
「奢る人もメニューも、好きに決めて。」
「メニュー知らねえんだよなぁ…。ここのオススメで頼むよ。」
「私はクナフィッシュのシチューで。」
「あいよ、オムとクナシチュー一丁!」
「攻撃魔法はなんか使えっか?どれくらいなのか見てみてぇ。」
「ストラースェ、ダメ。」
「なんでダメなんだよ。いいだろ別にこれくらい。」
「食事前。汚れるの、良くない。」
確かに食事前に汚れるのは気になるが、気にはなる。
「えーと、食堂のおば…
「ウェバ。」
「ウェバさん、飯はどれくらいで出来るんだ?」
「ウェバでいいよ、そうだね、ざっと5ミニくらいで出来るよ。」
5ミニ…どれくらいだ?詠唱を付けると殺されそうなので、無言で念を入れ、呟く。
「ータイムルー」
「「「「っ!」」」」
「?」
魔法の発動に身構える3人、及びウェバ。疑問符を浮かべているのはコレットだ。
「うん、5ミニってのは5分とほぼ等価か。...ああ悪い、時間の単位が向こうと違うもんで、どんなもんか測ってたんだ。」
「「「「…。」」」」4人が警戒を解く。
「!」コレットはそうか!的な動作をしている。
「えーと、ストラーチェ、だったか?どれくらいかかるんだ?」
「ストラースェだ。今から3ミニくらいだな。」
「分かった。俺も丁度魔法を試してみたかったところだ。」
「よし、それじゃあカリメル、頼むぜっ。」
次回、ようやく初戦闘!