第3話 発露
武器を貰いに武器屋を訪ねる颼彌とコレット。なんとそこでまたまた颼彌の力が露わに!?
「なんだいなんだい、何かあったのかい?」
「何でもシェファ様がいらっしゃるとのことだよ。」
「はぁ!?そりゃ一体何でまた…?」
「新しい冒険者を連れてきたんだとさ。何でも大層な魔力器なんだそうだよ。」
「へー、そりゃ一体どんなか知らないけど、あの兄ちゃんがそうかい?悪さしたらあのほっそい身体真っ二つに折っちゃるわい。」
「流石にゴリラウェバでも無理だろう。現役のシェファ様を凌ぐくらいの魔力らしいぞ??」
「お黙りキィオラ、粉々にされたくなければね!!んなこた知らないよ。いくら魔力があったって、身体が弱けりゃ怖かないね。」
先ほどの高魔力騒ぎで人だかりが出来てしまった。
これでは街に入ろうにも入れやしない。
「シッシッ!!たかるんじゃないよ!!あんたらは蝿かい??さっさと帰った帰った!!帰らないんなら、其は光の源、其は生命の源…」
シェファ婆が蝿を追い払う仕草をした後、呪文を詠唱しだしたのを見て、群衆は蜘蛛の子を散らすように逃げ帰って行った。
「ありがとう、シェファ婆。」
「これくらいなんでもないわい。…ところで、シェファと呼んでくれと言わんかったかの?」
「あ、ありがとうシェファ。」
「ま、いいがの。それじゃまずは武器屋か鍛冶屋に行ってキィオラと言う人物に会ってきな、シェファに言われたって言えば武器をくれるはずさ。」
「分かった、そっから先はどうすればいいんだ?」
「そこは冒険者なんだから自分で考えな、儂は疲れたから帰るとするよ…魔王を討伐するまで死ぬんじゃないよ!!」
「おう、ありがとな、シェファ。」
「それじゃ達者でな。」
こうして俺らは手始めに武器を譲ってもらうことになった。
「それでは、まず武器屋へ行きましょうか。そちらの方が鍛冶屋より近いですし。」
「おう、地図が分からねえから道は任せた。」
「鍛冶屋へはここからまっすぐ、道を3度交わえるところまで行き右へ、その後突き当たりを左へ2度曲がったところです。」
カランコロン♪
扉をあけると心地よく端に付けてあるベルがなった。
「よぉ兄ちゃん、お初顔だな。さっきそこで人だかり起こしてたのは兄ちゃんだろ?」
気のいい感じの店主と思われる男が言う。
「あ、ああそうだが。シェファの婆さんに言われてきたんだ。あんたがキィオラってのか??」
「ったく、んなこと言われなくても分かってるよ!!っと、キィオラは俺さ、店主兼従業員だな。」
「あ、怒らせたんなら悪いな。」
「あ、いや、気にしなくていい、こっちこそすまねえ。さっきのはシェファ婆さんにだ。」
そういってキィオラははにかむ。
「バレたら怒られるぞ?」
「まあまあ、武器はなにがいい?そこらにあるのを適当に触ってみていいから、確かめてみてくれ。」
「って言われてもよく分からないな。」
「持ってみたら分かるから。」
一通り持ってみるが、どれもしっくりこない。
「おや、どれも反応しないかい?」
「反応?」
「うちの武器は全て軽い魔法がかけてあってな、」
キィオラが持つと鉄剣が輝きだす。
「適した武器ならこうやって光りだす筈なんだ。」
「奥のその剣と杖はどうなんだ?」
「これか…これはだな、ちぃと癖があってな。」
「邪呪がかかってるんだ。」
「邪呪?」
「詠唱が決まっている、特殊呪文のうち他人に多大な害を及ぼすことを目的とされた呪文のことです。」
横からコレットが教えてくれる。
「どんなのがかかってるんだ?」
「よいしょっと!指先で一瞬だけ触ってみな、激痛が奔るはずさ。」
キィオラは鉄の棒を使ってカウンターの上に巧みに剣と杖を運び出しながら言った。
「そりゃまた物騒な…。」
言いながら指を伸ばす。
ちょん。何も起こらない。
「ん?」
今度はちょっと長めに。つー。
「あれ?」「あら?」「おや?」
痛みが奔らない。手にしてみる。
「「「うわ!!?」」」
右手の剣も、左手の杖も激しく光を放つ。赤黒く、しかし七色に輝く光は、3人から言葉を失わせる。
「なんてこった…。」「なんてこと…。」
3分ほどしてようやく、キィオラとコレットが同時に言葉を吐いた。
「「受け継ぎし者…。」」
「しかも双極、だと…?」
「あんた一体何者なんだ?この武器どもは認めた者にしか力を貸さない。勇者の力を受け継いだ者にしか貸さないって伝説だ。」
読者がいるか分かりませんが一応もう一度。不定期更新です。定期にもできると思うので、面白いから毎日読ませろ!!という神様がおられましたら是非感想欄へ。