第2話 話題
この世界で生き延びる術を学ぶため、知識都市ナレグロットを目指す颼彌。しかし門番に身分を証明しなければいけないと言われ…?
……「ところで颼彌さん」
「ん?」
「その、身分証みたいな物ってありますか??」
「え、何で?」
「大抵の都市では門番が設置されていて、身分証もしくはそれに準ずる物がないと入れないんです。」
「え、それ困るんだけど…。」
「ないですか…それでは仕方がありません、お婆様に付き合って頂きましょう。」
「はぁ…。」
何故シェファ婆さんを呼ぶのか分からないが、とにかく曖昧に返事をしておく。正直面倒くさい。
「ギルドで登録しないと冒険者としてやっていけませんからね。」
そんなこんなで知識都市ナレグロットの冒険者ギルドへ向かうことになった俺とシェファ婆さんと少女コレットは、当然門番に止められる。
「身分証もしくはそれに準ずる物のご提示を。」
「持ってないです。」
「私も持っておりません。」
「儂も持っておらん。」
「それではこの先にお通しすることは出来ません。
何か身分を表す者をお持ちください。」
「うるさいね、秩序管理長官をお呼び!!」
「いや、ですがこのような小さな事ではお動きになられないかと…。」
「いいからお呼び!!シェファのばばあが呼んでると言えば来るよ!!」
「は、はぃ…!」
(おいおい、大丈夫かぁ?)
俺の心配を他所に、秩序管理長官と呼ばれた男がすぐに慌てた様子でやって来た。
「大賢者シェファ様、一体どのようなご用件で!?」
「この婆さんそんなに偉いのか?」
「何を申すか!シェファ様はこの都市の創設者が一人で、その知識と魔法の力は上回るものが魔王ですらいないというお方ぞ!!」
「なっ!?そんなに強えなら自分で魔王討伐すりゃいいじゃねえか!!」
「昔の話じゃ。それはさておいて本題に入るぞ。今回儂がここへ来た理由じゃが。」
「そこの弱そうな男の身元の保証でしょうか。」
「分かっとるなら何故すぐにやらん。」
「申し訳ありません。すぐに身分証をお作りいたします。」
自己紹介の時のコレットの発言はそういうことだったのか…
「ここにお名前と出身世界名を書いて希望ギルドをご選択ください。」
「えーっと、空間颼彌、地球の…冒険者ギルドでいいんだよな?」
「それでよい。」
「じゃあここにチェックを付けてっと、よし、お願いしまーす。」
「ところで、あなたは何か武術等は心得があるのですか?」
「いや、特にないですけど…。」
「強力な魔法が使えるとか?」
「いや、ないです。」
「シェファ様一体何故にこんな奴を冒険者として推薦なさるのです?」
「こやつは自覚しとらんだけで強大な魔力を持っておる。それこそ現役の儂をも凌ぐくらいのな。」
「「「ええー!?」」」
会話回です。つまらなかった、と思われましたら申し訳ありません。言及していない部分については伏線...のはずだと思ってください、はい。