第14話 予感
「折り入って頼みがある。知識都市ナレグロットは冒険者のレベルが低い。それ故にここの冒険者ギルドは矮小で、クエストも塩漬けばかりだ。だが少し前、少々趣旨の異なるものがあってな、<ゴブリンの喉笛の調達>というものなんだが。」
レオン曰く、ゴブリンの喉笛はレアドロップで、大量発生するゴブリンの群れであっても10潰してやっと1つ落ちるかどうかという代物らしい。それを20も集めるというのだから大変だ。
「報酬が馬鹿でかいもんだったから請けたんだが、急用が出来ちまったんで代わりにやってくれないか?」
「その提案に乗るとして、俺たちの利益は何だ?そこだけ聞くと、面倒な仕事を俺たちにやらせて、報酬は持ってくっていう話に聞こえるんだが。」
「いやいや、そんな巫山戯たこた言わないよ。そりゃちょびっとは欲しいけど、成功報酬は全部颼彌達のものでいい。」
「それは一体…公認クエストって、ギルドで以外はやり取りしちゃダメなんだろ?」
「ああ、だからこの後予定が空いてるなら一緒にギルドに行きたいと思うんだ。」
「分かった。飯食い終えたら行く。コレット、それでいいか?」
「大丈夫です。」
「じゃ、決まりだな。」
とうまい具合に話がまとまったところで、頼んでた料理が来た。
「失礼します、クナシチュー2つとジェノナーラ2つです。熱いので気を付けてどうぞ。」
「どうも。」
クナシチューはその名の通りシチューだ。元の世界にはなかった木の実を使ってある。香り高く、芯から温まるようなシチューなので冬に注文が殺到するそうだ。
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「やぁっぱぁり、美味ぁかったなぁ。」
「「だな。」」
レオンとハモり、顔を合わせて笑う。
ーーー
「さて、それじゃあ冒険者ギルドへ行きますか。」
ひとしきり談笑した後、クエストの譲渡のためにギルドへ。
途中ふと、気になっていたことを訪ねる。
「そういえば、カリメルはどうしたんだ?」
「あいつは図書館に行くって言ってたぞ?」
「あいつぁ図書館にぃ行くってぇ言ってたぞぉ。」
綺麗なハモり。
「図書館に?魔術には相当長けてるように見えるが。」
「読書が趣味だからよく行くんだとさ。俺らには何が面白いんだかわかんねえけどな。」
「ふーん…。」
いつも三人一緒ってわけじゃないんだな。まあ、シェアハウスで生活する親友、とかでもない限り、そうそうずっと一緒なんてのもありえないか。
それ以降は特に会話もなく、平和だなーと、レンガ造りの建物が集まり出来た迷宮のような構造に見とれながら歩く。折り返し地点まできただろうかという時、ふいにどこからともなく木箱や樽などが弾けるような音と、何かが壁に激しく衝突したような音が聞こえてきた。
小説家になろうってアクセス数が見れるんですけど、徐々に増えるのがうれしくて最近はずっとこれ書くことばっか考えてるんですよ…なので友人等に進めていただけると幸いです。