第12話 時間
コレットとのちょっとした余暇の時間。
コレットと合流し、時間把握の魔法ータイムルーを詠唱すると、まだ9時頃だったので、コレットが行きたいと言っていた魔法練習場に行くことになった。
「そう言えばコレット。」
「はい、何ですか?」
「住んでたの、この近くの村なんだろ?街について、詳しくないのか?地図見てるし、どこ行っても初めて、みたいな反応するし。」
「お祖母様と一緒にいる時にしか家の外には出ませんでしたので…。」
「ふーん、そうなのか。」
つまり箱入り。うん、納得。
「魔法はどれくらい使えるんだ?」
「実はあまり把握できてないんです…」
「ん?大賢者の孫なんだからさぞかし得意、じゃないのか?」
「それがですね、お婆様は少し過保護なきらいがありまして、魔力測定もさせて頂けなかったんです。」
「なるほど…。」
そんなやりとりをしてるうちに魔法練習場に着いた。
「これが魔法練習場…。」
「着いたな。」
構造はいたってシンプル。円形の広間にいくつか線が引いてあって、その奥にターゲットがあるだけ。監視はなく、練習場の外に兵士が数人いるだけ。
「随分粗末なんだな。」
「そうですね、まあとにかく試しに魔法を打ってみますね。」
そう言ってラインに立つコレット。
「"賢者の孫たる我が魔力にて彼の者を焼き尽くす火球を放て"ーフィラールー」
ゴオオオオ。
小型の炎龍が出た。
「何でだよ!?」
「私に聞かれても分かりません!!」
ターゲットが燃えた。兵士が飛んできた。
「初級魔法を打たせたらこうなりました。」
「初級、ですか…?先程炎龍が見えた気がしたのですが…。」
「詠唱は【フィラール】のものだった筈なんですけど…。」
「的は壊れにくく出来てるはずなんですけど、焦げていたので火力には気をつけてください。」
「はい、すみませんでした。」
去ってゆく兵士。
「何か変な物でも使ったか?」
「いえ、そんなことは…。」
「まあ、考えてても仕方ないし、もっかい試してみてくれ。」
「分かりました。"賢者の孫たる我が魔力を以て彼の者を焼き尽くす火球を放て"ーフィラールー」
ヒュンッ。バシュッ。
ああよかった。今度は普通だ。
手のひらサイズの火球が的へ吸い込まれる。
シュウゥ…
的は無傷でそこに佇んでいる。
考えてても仕方がないと思ったので、俺も的へ魔法を放ってみる。
「"我が魔力を以て火球を放て"ーフィラールー」