出発
あれから2日、出発の日がやってきた。依頼に出るのは、俺とリエラの二人だけ、野営が心配だがなんとかするしかないだろう。
出発の時間になると、爺さんが呼びに来た。
「ダスト様、出発の時間が来ました」
「わかった」
この爺さん、様付をやめさせようとしたんだが全然やめてくれなかったな。敬語も使おうとしたら止められた。矜持がなんとやらとか言って。
城の玄関まで行くとすでに、リエラとシモンがいた。どうやら俺が最後のようだ。
「遅くなって、申し訳ありません。それと、改めてよろしく
、リエラ」
「ええ、よろしくね」
取り敢えず、遅くなったことを謝罪しつつ、リエラに挨拶をする。そして、馬車に向かおうとしたら、シモンが話しかけてきた。
「ダスト君、少し追加で依頼があるんだが、いいかい?」
「内容によります」
俺としては構わないが、あんまり無茶な奴だと困るからな。
「それはそうだろうね。こっちの方はついでに出来ればでいいよ。危急の事態というわけではないからね。で、内容の方なんだが。もし、ブルーカーバンクルがいたら、水源石を採ってきてくれ」
カーバンクルか。確か、壊獣の持つペルピアスに影響されて変化した動物である変異魔獣のうち、額に宝石みたいなのがあるやつだったな。んで持って、姿形は決まってない。倒すのも大変なんだが、まず見つけるのが一番大変だ。
そのかわり、倒せたら額の宝石の色に応じて、いろんな恩恵があるんだが。
「それなら、大丈夫そうですね。見つけられれば、お持ちします」
この程度なら構わないので受けることにした。シモンは、俺のその答えにどこか安心したような表情をしていた。
危急の依頼じゃないって言ってたけど、実はヤバかったりするんだろうか。とは言え、俺は俺の依頼をこなすだけか。そうして、俺は外の馬車に乗り込んだ。
馬車に揺られながら、外層の壁に近づくにつれリエラの顔がこわばってきた。
「緊張するわね」
そういや、前に外に出たときに、壊獣に仲間を全員殺されたんだったな。そりゃこうなるわ。安心させてやりたいが、外に出る以上、何が起こるかわからんからな。確約はできない、出来ないが何も言わないというのもな。
「安心しろ、とは言わん。ただ、人型でも来ん限りは大丈夫だ」
取り敢えずそう言うと、リエラは不思議そうな顔でこちらを見てきた。
「壊獣のタイプに強さの違いなんてあるの?」
あれ、知らないのか。全然違うんだが。特に人型あれはヤバい。二度と戦いたくない。
「一応ある。タイプの中での強さもあるから、一概には言えないんだけどな」
「嘘でしょ。そんなの国家の研究資料にもにも乗ってないわよ」
驚いたように呟くリエラ。こんなの常識じゃなかったのか?
「ね、ねぇ。じゃあ、タイプの強さの順番とか分かるってことよね」
わかるというか、知ってるてだけなんだが。俺の大嫌いな糞野郎に叩き込まれてな。
「わかるが、これそんなにすごいことか?」
「当たり前よ!今まで、壊獣自体が強すぎて、戦った人はみんな壊獣は強いっていう認識しかないから、強さの違いを感じる余裕なんてないのよ!」
ものすごい勢いでまくし立ててくるリエラ。ちょっと怖い。だがその勢いは収まらない。
「それに、獣兵だって奥の手として、都市にいることがほとんどだから。壊獣の強さを調べるために戦ったことなんてないのよ!?」
「あー、強さの基準がわからないことはよくわかった。教えるから取り敢えず落ち着いてくれ」
興奮するリエラを何とかなだめ、座らせる。そして、壊獣の強さのについて教えることにした。これ知らないと依頼にも関わってくるしな。主に命の問題で。
「まず一番強いのは人型、次に飛竜、そして鳥型、蟲型、爬虫類型、最後に、獣型だ」
リエラは、俺の話をを真剣に聞いてる。だが、これだけじゃないんだ。むしろ、こっからのほうが重要だ。
「出た、タイプの強さは今言ったやつでいいんだが、それ以上に知っとかないと行けないことがある」
「これ以上?」
「そうだ、壊獣は強くなればなる程、知能を持つようになる。俺がこの前倒した獣型を大したことないといったのはこれが理由だ。知能どころか、ちゃんとした咆哮すらできてなかったからな」
「じゃあ、最高まで強くなったらどうなるのよ」
「言葉を話し始める」
「は?」
まあ、知らないならそうなるよな。でも事実だ。どんなタイプでも、強くなると言葉を話す。もう、普通に会話してくる。殺気もすごいが。
「だから、喋る壊獣にあったら……。リエラは死ぬから、見つけたら、気づかれないように逃げろ。あれはヤバい」
「てことは、ダストは戦ったことあるの?」
「ある。一対一なら、なんとかなるが、誰かを守りながらは無理だからな。いたら逃げろ。わかったな?」
「ほんとに、ほんとになんとかなるのよね?あの時みたいに、私を生かすために、なんてこと言わないのよね?」
ああ、そういうことか。はあ、こういう事はあんまししたく無いんだが。
「なる、何なら誓ってやる。何があっても必ず勝って、生き残るってな」
全力で笑いかけながら言ってやる。戦いに絶対なんてないからこんな事、普段は絶対しないんだかな。なんでだろうな、コイツを見てると何とかしないといけない気がしてくる。
「っ!そ、そう?な、ならいいのよ!」
なんか急に慌てだしたな。どうしたんだ?顔も赤いし。まあ、納得したならいいか。
仲間が死んだのに直ぐに外に行くなんて凄えなとか思ってたけど。我慢して抑え込んでたただけなんだな。こりゃ、ほんとに死ねないな。まあ、そんなつもりは一切ないが。
そんな事を考えていると、いつの間にか外層の壁についていた。いよいよ出発だ。荷物を背負い馬車から降りる。馬車は貴重だからな、ここからは歩きだ。
「さて、行こうか」
「ええ」
こうして、俺はリエラと荒野に踏み出した。




