リエラの家
リエラと共に荒野を歩く。暇なので、家はどこにあるのか聞いてみた。
「なぁ、あんたの家って何処にあるんだ?」
「そうね、この先にある都市リベラよ」
リベラか、この辺からは一番近いところだ。まあ当然といえば当然だな。今の時代、遠出をするのは命懸け、だから殆どの人間は都市に籠もるか、外に出ても日帰りだ。
2時間ほど歩けば都市の入り口に着いた。相変わらずデカイ。このあたりじゃ一番だな。
「じゃあ、入りましょうか」
「ん、検問は?」
都市に入るには必ず検問があるはず。その都市の身分が高いやつだけが専用の入り口で、検問なしで入れる。
「私は必要ないもの。貴方のことも私が保証してあげるから、さっさと入りましょ」
で、それが出来るコイツはかなりの地位にいるやつって事になるんだけど。はぁ、急に憂鬱になってきたな。上にいる奴らは、俺らみたいなのを、とことん見下すやつばっかだからな。
「はあ、分かったよ」
ため息が止まらない。貰うもん貰ったらさっさと退散するとしますかね。
そうきめて、リエラの後をついていく。専用入り口につくと案の定だ。
「止まれ!此処は貴様のような薄汚れたゴミが来ていい場所ではない」
門番さんが物凄い汚物を見るような目で、俺を睨んでくる。
「黙りなさい、クラーク。この人は私の恩人よ。大丈夫なのは保証するわ。それと、そうやって人を見下すのはやめろって、何回言ったらわかるの」
リエラが門番さんをたしなめる。だが、それを聞いも門番さんは引き下がらない。さっきの何倍も怖い顔で俺を睨んでくる。
「ですが、リエラ様。あいつはどう見ても傭兵ですよ。こんなゴミ―――」
「クラーク!」
言い募る門番さんをリエラが遮った。今日初めてあっただけだけど分かる。うん、物凄く怒ってるな、リエラ。
「私は、問題ない、といったの」
ものすごい迫力だ。門番さんはめちゃくちゃビビってる。いいぞ、もっとやれ。ゴミとか言われたしな。
「っ。も、もう、し訳、ございません」
「はぁ、謝るのはわたしじゃないでしょ。まあいいわ、時間の無駄ね。行きましょうダスト」
「ああ」
リエラに促されて、専用の門をくぐる。しかし、時間の無駄と言われて、ものすごく絶望的な顔してたなあの門番さん。いい気味だ。
門をくぐれば、外の景色からは想像つかないくらいの活気に満ち溢れている。街の規模的に、中層に行くにはかなりの距離になるから馬車に乗る。
「ごめんなさいね。あいつは何度言ってもああだから。一番問題が起きにくい門番に押しこんでたの。忘れてたわ」
別に気にしてないんだけどな。確かにムカつきはするが、よく言われるし。いちいち気にしてたら見が持たない。
「別に、構わんさ。俺としては貰うもんさえ貰えるならね」
「それでもよ」
ふむ、どうやらリエラと言う少女は、他の都市にいるような奴とは違うらしい。大抵の都市は、門番さんみたいな反応が普通なんだが。
そんな事を考えていると、いつの間にか都市の中層の壁に着いていた。ほぼすべての都市は外層、中層、中心層、の3つに分かれている。もちろん内側に行けば行くほど身分は高い。専用入り口を使えるのは中心よりの中層民からだ。
「でだ、リエラの家はどこだ?」
「なにいってるの。私の家はまだ先、中央層よ」
「は?」
驚きのあまり呆然としてしまった。そういや、門番さんを押し込んだとか言ってたな。それができるのは中央の人間だけだった。
というわけで中央層にやってきた。流石にここまで来るのは始めだ。そういえば、中央の奴らは基本外に出ることは絶対にないはずなんだが。なんでリエラは外にいたんだろう。
「おいおい、どこまで行くんだ」
中央層と言っても外壁よりかなと思ってたんだけど。どんどん奥へ進んでいく。
「もう少しよ」
いやそのセリフ何回目かな。もう5回くらい聞いたけど。ていうか、この先ってもうあのデカイ城みたいなのしかないんだけど。流石に都市のトップと合うのは嫌だよ?
「ついたわよ。人を呼んでくるからちょっと待っててくれるかしら」
「ああ」
俺の願いも虚しく、たどり着いたのは都市の中心にある城の前だった。はぁ、こんな事なら報酬なんて求めなかったら良かった。俺は憂鬱な気分でリエラを待つ。
しばらくするとリエラが戻ってきた。隣には、なんか高そうな服を着た爺さんがいる。
「待たせたわね」
「いや別に」
リエラの言葉に返事をしていると、隣の爺さんから声が掛かった。
「これはこれは、お待たせして申し訳ございません。事情は伺っておりますので、中へどうぞ。旦那様がお礼をなさりたいとお待ちです」
うわ、すっごく断りたい。けど、ここで断ったらあとが怖いしな。仕方ないか。俺は漏れそうになるため息をこらえながら、この爺さんについていくことにした。
「ああ、わかった」
城の中は思ったよりも質素だった。高そうな壺とか、無駄にキンキラキンとかしてそうなイメージだったが。
「以外でしたかな?」
俺の表情を読んだのか、爺さんが話しかけてくる。
「え、ああ。まあイメージとは違うなと」
「そうでしょう、他の都市ではありえませんからな。他は貴方も想像しているでしょうが、豪華絢爛と言っても差し支えないものですから」
どこか自慢げな表情で、爺さんが教えてくれた。なる程、質素なのはここだけらしい。なら、なんでここは質素なんだ?
「ふふ。それは旦那様に逢えばわかりますよ」
……心を読むなよ爺さん。




