出会い
―――化け物に女が剣を構えている。
俺が通りかかったのはちょうどその時だった。
「大丈夫か、あいつ」
女は見るからにボロボロだ。あれ相手に戦えるほどの体力はないように思えるが。だが、そんな俺の思いとは反対に女は、化け物に飛びかかる。
「きゃあああああ!」
やっぱりか。案の定、化け物には対してダメージを与えることもできず吹き飛ばされる。女は、ちょうど俺の足元に転がってきた。
「よう、生きてるか?」
取り敢えず、生死の確認をする。
「死んでたら、返事なんてできないでしょ」
確かにそのとおりだ。それに、思ったよりも元気みたいだ。
「それで、何してるんだ」
「何って、見てのとおりよ。戦ってるの」
「それはわかっている。俺が聞いてるのは勝てる見込みもないのに、なんで戦ってんだって聞いてんだ」
俺の質問に、女は泣きそうな顔をする。何かあったのだろうか。そういえば、アイツはどうしたんだ?ああ、俺に警戒して様子を伺ってるのか。
「仲間が、仲間がしんだの。私を逃がすために。それでも追いつかれて。せめて、一太刀って、思ってっ」
女の目から涙があふれる。俺は女の涙が苦手だ。どうすればいいかわからなくなる。だけど、このままってわけにも行かないから、取り敢えずきいてみた。
「で、助けは必要か?それとも、お前が倒すか?」
「無茶よ。10人ががりでも無理だったのよ。倒せるわけないじゃない!」
違う。俺はそんなことを聞きたいんじゃない。
「そんなことは聞いてない。倒したいかどうかきいてるんだ」
「倒せるなら、倒したいわよ!そんなの決まってんじゃない!皆あいつに殺されたんだから!」
感情が爆発した様にまくし立ててくる。だが、聞きたいことは聞けた。なら俺がやることは一つ。と言うか俺にはそれしか出来ないけど。
「そうか、なら俺を雇ってみないか。俺は傭兵だ。報酬さえ払うなら、あの化け物倒してやるぞ」
「倒せるならね。でも無茶よ」
どうやら、俺の実力を疑っているようだ。まぁ、それも仕方ないか。あの程度ならどうとでもなるんだが。
「なら、倒せたら、報酬を頼むよ。どうせ逃げられないんだろう?」
相手もそろそろ痺れを切らしてきている。俺は化け物の方に向いながらそういった。
「っ。ええ。倒せたらね」
女も自分一人じゃ無理なことくらいはわかっているのか、俺の言葉に同意する。ちょっと強引だが、契約完了。
さて問題の化け物だが、うん、やっぱりそうでも無いな。
「6足、獣系の壊獣、ね」
壊獣。500年程前に起きた、文明崩壊のときに現れたらしい化け物の名前だ。まぁ、難しいことは俺には分からない。とりあえず、敵だってことさえわかれば問題ないしな。
「Ghduejudjejdukkkekdj」
わけわからん。奇怪な叫びをあげながら飛びかかってくる。とりあえず横に避けて、武器を展開する。
「―――起動しろ。クラースルィーク」
俺の言葉に反応して、赤黒い大剣が展開される。戦場に出るようになって以来の俺の相棒だ。ヤツはまだ、こっちを向いていない。
「遅いねぇ」
そう呟きながら、その化け物のわきを走り抜けながら剣を振るう。剣は、狙い通り首に命中した。ザシュッという感覚とともに、ヤツの首が飛んだ。
「嘘でしょ……」
女が物凄く驚いている。そんなに驚くようなことなのかね。
「取り敢えず、倒したぞ。報酬を頼む」
「ッ。ええ、わかったわ。でも今は持ち合わせがないの。だから、私の家にきてくれる?」
だろうな、ボロボロだったし。まぁ、俺としては報酬さえ払ってくれるなら何でもいい。取り敢えず、明日の路銀がないと飢える。
「わかった」
「ありがとう。そういえばまだ、名乗ってなかったわね。私はリエラよ。よろしくね」
「俺はダストだ」
取り敢えず俺も名乗っておく。しかし、リエラか。どこかで聞いたような気がするが。まあいい、飯には代えられん。
と言う事で俺は女、もといリエラの家に向かうことになった。
これが俺とリエラの出会いだった。




