賊そして帰還
目の前の男がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「それは、どういう意味だ?」
取り敢えず、質問。相手の出方を探ってみるとする。リエラもここは任せてくれるようだ。
「決まってるだろぉ。そのカバンにはいってる結界石を持って帰られたら、依頼の仕事が果たせなくなっちまうからなぁ」
依頼、ね。つまりこいつ等は雇われているのか。
「へぇ、そりゃどんな内容なんだ?」
「さてねぇ、そいつは言えないなぁ。ああ、それとその赤い髪の女もおいていけよ?その便利そうなものといい、見た目といい役に立ちそうだしよぉ」
まあ、教えてはくれないよな。それと、女をおいて行けときたか。単純に襲うのが目的か、それとも後ろのやつが狙ってるのか。
まあ奴の顔を見る限りは前者だろうな。リエラ、美人だし。まあ、指一本たりとも触れさせるつもりはないが。
「それは無理な相談だな。それに、置いていったとして俺を無事に返すつもりなんてないだろう?」
「たっはぁ、やっぱバレてる?」
むしろ気づかないほうがおかしいと思うが。バレているのがわかったせいか、ぞろぞろと男達が姿をあらわし始めた。ふむ、見えているのは全部で15人か?
「当たり前だろ。そのへんに隠れてる奴らといい、お前等といい、殺気がただ漏れだ。これじゃここにいますよー襲いますよーって言ってんのと変わらんぞ?」
俺はブラウハイトを展開しながら男達に向かって、バカにするように言ってやる。効果てきめん、口調こそ変わってないが、殺気が膨れ上がり顔も無表情になった。
「そうかぁ、バレてんなら仕方ないなぁ。それじゃ殺れ」
男のその言葉と同時に俺は右手の剣を後ろに振り抜いた。
「なっ!?」
ザシュッ、という手応えとともに、後ろから襲いかかってきた男の首が飛ぶ。コイツは一応気配を消して迫ってきてたからな。気づかれてないと思ってたんだろう。俺からすればバレバレだったが。
「フッ」
驚いて固まっている目の前の男に接近、そして両手両足をの健を切り裂く。
「がああああああ!!」
男が絶叫しながら崩れ落ちる。殺さなかったのは情報源としてだ。
やはり、この男がリーダーだったのだろう。周りにいた奴らが固まっている。やる気あんのかね?これじゃカカシと同じだぞ。
そう思ったが、手加減はしない。一人ひとり接近して、首を刎ねる。奴等がようやく我に返ったころには俺は既に4人も殺していた。
「クソッ、何なんだコイツは!」
「女だ!女を使え!!」
奴らのうちの一人がリエラに向かっていく。何処へ言ってもこういう奴らはやる事変わんないねぇ。他の奴らは、俺の妨害か。
今ののままだと間に合わないな。それを確認した俺はギアを一段上げる。
「なっ!?」
いきなり速くなった俺に奴らは全く反応できず、俺はあっさりとリエラのもとにたどり着く。
「シッ」
「きゃあ」
そして、リエラに向かってきていた男の首を刎ねた。少し遅れて、噴水のように血が吹き出してくる。俺はリエラを抱えてそれを避けながら、周りを見渡す。
まだ10人くらいいる。うん、ちょっと面倒くさいな。一気にやるか。
「薙払え――ウェイブ」
そう思った俺は、双剣にエネルギーを充填させ扇状に飛ばした。
「「「うわぁああああああ!!」」」
エネルギーの奔流は、俺の言葉の通り光の波となって奴らを呑み込んでいく。
光が収まったあとに残っていたのは健を切り裂いた男と、その近くにいた一人だけだった。それもさっさと無力化する。
「さて、終わったが。これからどうするよ。先にしぼりとるか?」
「ふぇ!え、あ、そ、そうね。聞きたいのはやまやまなんだけど…。上手くできないでしょうし、帰って専門家に任せましょう」
なぜか顔を赤くして慌てているが、言ってることは間違いないのでうなずいておく。
「確かにそうだな。じゃ、さっさと連れいくか」
「え、ええ」
どこかホッとしたようにうなずくリエラ。本当にどうしただろうか。
リエラの態度に少し疑問が残るが、やることは決まったので、生き残った奴らを縛りあげる。そんでもって引きずっていくことにした。
石に頭がゴンゴンいってるが、まあ自業自得だ。我慢してもらおうか。
そういや、目的だった壊獣探しほとんどできなかったな。
それから一日野営し、リベラの外壁へたどり着いた。途移動中に出会った変異獣共を狩り尽くしたこと以外は、大した問題は起こらなかった。
強いて言うなら、また徹夜した俺にリエラがえらく怒ったことぐらいか。起きてからリベラにつくまで、全く口を聞いてくれなかったぞ。




