俺と猫
「ドンッ」
彼女が壁際に1人になった所で宮本武は右手をつきだし彼女の顔すれすれの所で壁に手を強くあてた。決して彼女のストーカーではないが彼女、佳山茜の事が前から気になっていた。
「なぁー俺、お前が好きだ。付き合ってくれねぇー」
そんな佳山は一瞬ビクッとしたがすぐに俺の右肩を掴み俺を壁につけた。その瞬間、俺と彼女の位置が反対になる。
「ドシッ」
俺の腰にあたるぐらいの高さの壁が音を立てる。
彼女の足が壁にぶつかった音であった。
「あたしーの事、好きっていわれてもねぇー」
彼女はギャルに見えるが髪も染めてなく顔が小さくお人形さんのようだ。
そんな彼女、佳山が壁に左足を壁につけ言った。
「あたしーギャルじゃないし…それにいきなり言われても…」
俺の心を読むようにいう。俺は高校二年になってから身長が170センチになった。そんな俺を下から覗きこむような佳山は身長160センチぐらいの俺とタメである。そんな佳山が言葉を口にする。
「あたしーのどこが好きなわけ?」
少しだけ佳山の顔が赤い。
「えっと猫が好きな所かな?」
「えっ!?」
一瞬だが彼女の顔が驚いていた。
俺だけが知る彼女の秘密。それは学校帰りによく野良猫に餌をあげているの事だ。
(俺だけの秘密である)
「なっ、なんで知ってるの?ふっふん…まぁー知ってても問題なしだしー」
佳山は少し動揺しているようだ。彼女の左足が降りる。
「あぁー、そうだ。あたしーの事好きならオケで二人っきりでも大丈夫だよね。もちろん、あんたのおごりだからね」
(オケとはなんだ?オケ…オケ……オケ…カラオケの事か!)
「えっ…いいの?」
「あたしーの、どこか好きか熱唱してよね。じゃあ、早速いこっ」
「おっおう!」
今は、もう授業が終わり帰る時間である。こうして俺と佳山は学校の帰り二人でカラオケに行く事になった。それにしてもこんなに早い展開でいいのだろうか?
胸をワクワクさせカラオケ店へと向かった。
途中まで歩くと、いつも佳山が猫に餌をあげている場所を通る。
「ちょっと宮本待っててくれる?あんた知ってるんでしょ。でも皆には内緒だからね」
佳山の秘密を共有できるし何より、この姿を独占したい。
彼女は制服のスカートが汚れないように地面に膝をつけポケットから猫の缶詰をだした。その姿が可愛いのだが俺はある事に気づく。
「おいっおいっいつも、そんな物持ち歩いてるのか?」
「うんっ、そだよ。知っているんでしょ。だったら、この缶詰開けるの手伝って」
そういうと更に猫の缶詰をポケットから取り出す。俺は一緒になり膝をつき彼女の隣にしゃがんだ。
「おっ、おう!」
「えっへへ、いいな。こういうの…」
いつのまにか俺と佳山の周りに猫が沢山いた。
「ねぇーあたしーと猫ちゃん、どっちが好き?」
この問いに俺は考えた。この質問によって、どうなるか。
「ねっ猫ちゃんかな!?」
「トンッ」
俺の額に彼女の額があたる音がする。
「もう、そう言う時はあたしーでしょ!!」
彼女は頬を膨らませ、そう言ったのだった。
読んでいただきありがとうございます。
ちょうど恋愛の短編を書きたいと思い企画ものに参加してみました。
タグは、壁ドン、額ドン、足ドン、でれでれ、ギャル、学園、クールなどです。
この物語は一応、雨のち晴れの短編と関わりが少しありますがご了承ください。