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麗爛新聞 十月号 編集後記
木々の葉も赤く染まり、すっかり秋めいた日々がやって来ました。
秋の夜長に見えた満月に思いを馳せると、月影が涼やかな地表を照らします。
このまま紅葉が進めば、いずれ葉は散り、少しだけ物悲しい雰囲気になってしまうのでしょう。
けれど、一度見た彩りは心に焼き付き、思い出として刻まれます。
空気が冷えても、枯葉が舞い踊っても。
包み込む様な燃える赤は燻り続け、再び灯る日を待ち続けるのです。
季節は必ず巡ります。けれど、全く同じ時は流れる事はありません。
何も変わっていない様で、必ず何かが変わっている。
何も変わらないと諦めていても、何かを変えてくれる存在がきっとあります。
私達は、そんな世界で生きています。
無意味な人生なんてありません。
無価値な人生なんてありません。
私達は、そんな――美しい世界で、確かに生きているのです。
麗爛新聞 十月号 終
勅使河原華蓮の編集後記 終
勅使河原華蓮の編集後記 -Imaginate frower-
に続きます。




