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ネカマの弟に親友が恋しました  作者: 奈倉小町
彼はモテ期を愚考する
3/8

第2話 「変人の友達は初恋する」

今回は、時間軸がごっちゃになってます。

申し訳ないです。

途中の話は、昔話として読んでください。

『ねぇ、おいで』

一面、真っ白な世界。

『おいで、こちらは楽しいところよ』

目の前にいる天使だと思われる羽をもつ美しき女性。

『いいじゃないですか、怠惰でぐうたらな生活も楽しいものですよ』

彼女の周りに美しき花が咲き乱れる。

『楽しいものよ、流れるままに生きることは』

彼女の周りには美しき花が咲き乱れているが。

『さぁおいで、こちらへ』

彼女の周り以外には赤い血、白い骸骨、腐臭。

『さぁおいで』

真っ白な世界に赤、白、腐臭が広がっていく。

『さぁおいで』

彼女が歩いてくる。

『さぁおいで』

彼女の周りに花が咲き乱れながら。

『さぁおいで』

「い……」

『さぁ』

「い……」

『さぁ』

「い……嫌だ……嫌だ」

『さぁ』

「嫌だ嫌だ嫌だ」

嫌な予感がする。彼女についていくと何かが変わってしまう、そう体が言っている。

『さぁ』

「い――」

『さぁ』

「い――」

『さぁ』

「あああああああああああああああ」

場面は急に変わり、目の前からトラックが走ってくる。尻餅をつくと、地面は固いアスファルトだとわかった。

隣には白い線。道路。

後、100メートル程。

50。

30。

10。

8。

5。

3。

2。


「キーーーーーーーー」

遅かったブレーキ音が聞こえる。

目の前に見えるつぶれた足。自分の足元は無かった。

呼吸の度に頭が痛む。足も痛い。というより熱い。


熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。

「ああああああアアアアアアアアアアアアアアア」


「はぁ……はぁ……」

時計を見る。午前2時34分。

まただ。また同じ夢を見た。

始まったのは1週間ほど前。

天使のような女性に誘われ、僕は何がなんだか嫌な予感がしてこの誘いを拒否する。

すると、場所が変わり、自分の死を体験する。

あの天使も性格の悪いことだ。すべてシチュレーション、死に方が異なる。

しかし、記憶は断片的にしか残らない。しかも、殆どが死ぬ間際の恐怖、痛み、熱さ。

ここ最近は寝不足だ。

「はぁ……」

部屋に虚しく響いた。


***********


時:現在より少し後


「そうだな。俺とけんけんの出会ったときの話からした方がいいな」

目の前の尊厳者アウグストゥスに向かって言った。



ダン ダン ダン ダン

バスケットボールの跳ねる音が響く。

俺は今までずっと部活一直線だった。ずっと、ずっと。

それで楽しかった。それが生きがいだった。

中学ではずっとそうやって過ごしていた。

いや、休み時間は友達とも接していた。

なのに、なのに。

俺の周りから、友達と呼べる存在が一人、また一人と減っていった。

ある男子は俺にこう言った。

「お前にはバスケしか見えてないよな」

と。

ある女子からはこう言われた。

「こちらを振り向かせようと頑張ったけど、あなたはそれを望んでいない」

と。

そして、高校1年目。もぅ俺はぼっち入りかと思っていた。

でも、どうしてもなりたくなかった。独りになんてなりたくなかった。

だから探した。ぼっちで友達ほしそうなやつを。

見つけた。前髪は目を隠し、一人で本を読んでいる。

まさしく、俺の求める獲物ともだちだと。


――あれ、俺こんなかんじだったかな――


「よぉ。俺は山崎和也。お前名前は?」

「……佐藤……健人」

「健人か。よろしくな」

「――え?」

「俺と友達になろうじゃないか」

「……」

「な?お前、友達ほしいだろ?」

「いらない……というよりはき……君とは友達になりたくない」

「なぜか、聞いてもいいかい?」

「君は友達が本当にほしいのかい?」

「あぁ」

「それなのに君は『友達ほしいだろ』なんて言い方なんだね」

「それが?」

「君は友達を欲しそうな人を選んで声をかけているのかい?」

「っ……」

本を片手に自分は何でも知っているように話す。それなのに弱者のような言い方だからもぅ……いらつく。

「何かあったのかい?」

彼はそう言って俺に手を差し伸べてくれた。

「僕が聞かないと君はまたそんなことをしそうだから」


***********


時:現在より少し前


「けんけん、聞いてくれよ」

「――何を?」

「俺、今まで告ってきた人全員振ってたんだ」

「それで?」

「遂にな!遂にな!」

「……遂に?」

「俺の春が来たんだ!」

「――?」

「だぁかぁら、初恋したんだよ!!」

「お……おぅ」

隣で熱く語っているのは山崎和也。若干の変人で、中1の時は友達はあまりいなかったらしい。今は昔よりはよくなったものの、クラスメイトの中で山崎への印象は好:悪が1:1のような感じだ。

「もう少し話し相手がほしくて、g00gleでチャットルームを検索してたんだ。ヒットしたところにいたんだよ、その子が!」

「名前は?」

「千尋っていうらしい」

「つっっっ!」

僕が驚いたのは言うまでもない。頭の中では弟がパソコンを開いている様子が思い浮かぶ。


***********


時:現在


「ねえねぇ知ってる?白鴉」

「あれだろ。具眼の」

「そうそう。噂だと赤い眼らしいよ」


とあるサイトである記事が投稿された。

『夜の道路に白いカラス!言葉を話した?』

尊厳者については気にしないで下さい。

もう少ししたらわかってきます。

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