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解放

ふと目が覚めた。どの位眠っていたのだろう。


疲れは少し取れている。


横を見ると香がすやすやと私の腕の中で眠っていた。


しばらく起こさないでいてやるか。


天使のような寝顔。


ダメダメ!なにを思っているんだ私は!!


『目が覚めたかい?』


香!?いや、違う。でも周りには誰もいない。空耳か?


『僕の声が聞こえてる?』


空耳じゃない!


「誰っ!!?」


慌てて起き上がる。


「ん~おはよ~♪どしたの~?」


香が私の声で目を覚ました。


「誰かいるんだ!寝起きで悪いけど気を引き締めて!!」


「え~、いきなり~。」


「いいから早く!」


香も起き上がり臨戦態勢に入る。


『そんなに警戒しなくてもいいよ。僕は君たちの敵じゃないんだ。』


どこだ?どこから話しかけている?


「ひゃっっ!何この声~!?」


さすがの香も驚いたようだ。


唾をゴクリと飲み見えない相手に問いかける。


「あなたは誰?どこから話しかけている?敵じゃないなら姿を見せてくれないか?」


『信じてくれるかどうかは君達次第なんだけど僕はこの地に住む神なんだ。今は封印されていて姿は無いんだ。君達が僕の近くにいるからかろうじて話しかける事が出来てるんだ。』


神だと!?そんな夢物語みたいな存在が実在したのか??


「ね~ね~?神様なら私達をここから出す事できるよね~♪」


えっ!いきなり神に頼み事?何言ってんの香!?


『残念ながら今は君達に話しかけるぐらいの力しか残ってないんだ。君達が僕の封印を解いてくれるなら話しは別だけど・・・。』


「いいよ~!解いてあげる~♪」


「ちょっとまって香!そんな簡単に信じちゃっていいの?」


いくらなんでも話しが早すぎる。そもそも神だなんて疑わしいものだ。


「でもさ~、もし本当だったらここから出れるよ~♪今の私達は~、神にでもすがらなきゃ~♪でしょ?」


頭をフル回転させ考えてみた。良い答えが見つからないな。


確かにここにいたっていつ出れるかわからない。ここでくたばるくらいなら話しに乗っかった方がいいかな?


「仕方がない。了解した。」


香はウンウンとうなずいている。


「神様~、どうしたら封印は解けるの~??」


『話しはついたようだね。僕も助かるよ。ここに大きな岩があるだろう?僕の封印を解くにはこの岩を破壊してくれないかい?』


結構でかい岩だな。でもこの岩の破壊など私にとっては朝飯前だな。


「香、下がってて!」


腰袋から炸裂弾を取り出し岩に投げつける。


ドゴーーン!!


「こんなのかんた・・・ん!?」


え!?岩には傷一つついていない。


「うは~、かったい岩だね~♪」


いやいや硬すぎでしょ。。炸裂弾で破壊できないなんて。。


『この岩はね、冬神の封印がかかっているんだよ。爆弾じゃちょっと無理だね。』


「え~、じゃあどうしたらいいの~??」


『君達は冬一族だよね?そもそも知ってて声をかけたんだけどね。冬神の封印を解くには冬の力を叩きつけるのが一番なんだよね。』


冬一族?冬神?冬の力?


聞いた事のない言葉ばかり。


香の方を見てみるとキョトンっとした顔をしていた。


彼女もなんの事だかさっぱりなんだと察した。


とりあえず今の話しで理解できそうなのは冬の力ってのは、私が普段刀身に宿している冷気の事を指すのかな?冷気を纏うのは普通の事だと思っていたし、ましてはそれが特別だなんて考えた事もなかった。私達の日常ではごく当たり前に冷気を使っていたから。使うといっても武器に宿すぐらいしか使い道がないんだよね。だってたたでさえ寒いのに冷気纏ったって更に寒くなって凍死しちゃうだけだし。。


考えても仕方ない。とりあえず目の前の岩を壊そう。


分からないこと事は後からゆっくり神に聞くとしよう。


「やるよ!香!!」


「ほい?やるってなにを~??」


香は首を傾げた。


「岩に全力で一撃叩き込む!私だけの冷気じゃこの岩を完全に破壊出来そうにないから香の冷気も私に注いでくれないかな?」


「そゆこと~!まっかせといて~♪」


理解してくれたようだ。


「冬ノ形」


双剣を構え、刀身に冷気を宿す。


刀身が氷の刃へと変わっていく。


「まだだ、これじゃまだ全然たりない。」


この位の冷気では岩は完全に破壊できない。


「私の冷気もあげる~!かっこいいとこ見せてね♪」


香から冷気が私に流れ込む。


さすがに二人分の冷気は辛いな。気を抜くと身体が一瞬で氷そうだ。


全神経を集中して受け取った冷気も刀身に注ぎ込む。


「ハアアーーーーーー!!」


氷の刃は更に大きくなり、もはや短剣ではなくなっていた。


「よし!いける!!」


「砕け散れ!氷刀雪月花!!」


背後に構えた双剣を大きく降りかぶり交差させ岩に叩きつける!!


「いっけぇ~♪」


ピシ、ピシピシ、パァァァーーン!!!


岩は粉々に砕け散り、中から光が解き放たれる!


『ありがとう。君達のおかげでまた春をつげれそうだよ。』


光の中から神が表れ唖然とする。


「こ、これが神ー!!」

「こ、これが神~♪」


眩い光の中からでてきた神の姿。


それは、綺麗な茶色の毛並みをした猫のような姿。


というか可愛らしい猫だった。


「なにを驚いているんだい?この姿じゃ不満なのかな??」


なんというやら、神と言うからにはもっと威厳のあるおじいちゃんみたいな姿を想像していたんだ。


「かっわいい~♪」


確かに可愛いな。モフモフしたい。


すでに香は神を抱きしめモフモフしていた。


羨ましい限りだ。


「僕は春を司る神、春神。よろしくね!約束通り君達をここから出してあげるよ!そうそう、その前に僕の封印が解けたからにはこの地に春を戻したいんだ。いいよね?」


「春?春ってなんだ?そもそも春神?の話しは分からない事だらけなんだ。順を追って説明してくれない?」


香も同意見のようで首を縦に振っている。


「うーん、何から話せばいいんだろう。とりあえず四季って知ってるかい?」


「しっらな~い♪」「私も聞いた事ないな。」


「四季とはね、一年の間に移り行く春・夏・秋・冬の四つの季節の事なんだけど、今は冬しか存在してないんだ。君達が暮らしてるこの寒い気候、これを冬の季節っていうんだ!四つの季節によって温度や天気などが違ってくるのだよ!ここまでは理解してくれたかな?」


「なるほど。つまり一年間で四つの気候があるという事か。そして今が冬。というか冬しか存在していないという事だな?」


信じられない話しだ。春神が言っている話しが本当ならこの世界は偽りの姿なのだろうか?


「ちょっと気になったんだけど~、どうしてずっと冬なのかな~?」


「もう何百年も前の話しなんだけど、春夏秋冬の神の間で争いが起こったんだよ。簡単にいえば夏と冬の神が喧嘩しちゃったわけさ。僕と秋の神は仲裁に入ったんだけど、怒り狂った冬の神に皆封印されてしまったのさ。」


それで冬しかなかった訳か。ってことはあと二人の神が封印されている事になるな。


「この場所でずっと眠ってたんだけど、たまたま通りかかった君達の内に秘めるすごい冷気で目が覚めちゃった。冷気は冬神の加護を受けた冬一族にしか扱えないからね。これはもしかしたら助かるかもって思って声をかけてみたわけさ。」


私達は冬一族だったのか。この冷気も普通の人じゃ扱えないんだ。


私達は普通じゃなかった。暗い考えが脳裏をよぎる。


そうだよね、普通の人が神の封印なんて解ける訳ないよね。


ただの人として平凡に暮らしたいな。


香がトコトコと近づいてきた。


「ま~た変な事考えてるでしょ~!顔が怖くなってるよ~!スマイルスマイル~♪」


おっといけない、物事を悪く考えてしまうのは私の悪いクセだ。


「ごめんよ、ちょっと考えこんじゃった。もう大丈夫だから。」


そう返事を返すと香はニコニコしながら私を見つめていた。


さて思考を切り替え春神との話しを続けるとしよう。


「話しは理解してもらえたかな?春を呼び起こしてもいいかい?」


「ああ、大体の事は把握した。春は元々この世界に存在していたものなんだろ?それをとやかく言う筋合いは私にはない。香も問題無いでしょ?」


「うん!世界が元の形を取り戻すんだから~、素晴らしい事だよ~♪」


香ならそう言うと思ったよ。彼女がこんな事を否定するわけがない。


「じゃあ今から春を呼び起こすよ。けれど呼び起こすといっても今は僕の力が届く範囲を春にする事しか出来ないけどね。」


そう言って春神は瞑想を始めた。


今から春という季節が蘇る。内心少し心配だったが新しい季節に出会えるという事にワクワクもしていた。


春とはどういった季節なんだろう。どんな世界なんだろう。


冷たくないのかな?心も温まるのかな?悲しくなんてないのかな?


香と手を握り春の訪れを待つ。


「再びこの大地に!!大いなる春の加護を!!!」


春神から光が解き放たれその光に私達は包まれていく。


ん・・・?何か変わったのか??


「この場所じゃよくわかならいよね?僕の手を握ってくれないかい?外までワープするよ!」


私達は春神の手を取る、暖かな風に包まれ心地よい感じだ。


さあ春よどんなものなのか見せておくれ。。

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