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第四話  妖精さんが助けてくれたんです

「うーん、大体スッキリ!あとは、まぁ…クロム、カルミア、分かってる?」

「あ、あぁ、分かってるよ…幾らあいつ等に脅されたり、雇われたりしたからって言うのを言い分けにしても、お前が全て許してくれる訳、普通はないよな…僕も、君の判断に任せる。ウィルティオの様に人質が居て従うしかなかった訳ではないから、より重い罰になるのは、覚悟している」

「私も、ね。親の為って理由があるにはあるけど、許されるとは思ってないよ?さっきの私の言い訳を聞いた後でこれを言っても、説得力は皆無だけどさ、嘘じゃないよ」


まだ続いている『断罪ジャッジメント』の効果で、嘘ではないことは分かっている。


「うん、分かってるよ?さーて、二人とも、デコ出せよデコ」

「あ、あれを受けるのか…い、いや、分かった」

「うぅ…ウィルティオがあれだけ痛がっていたのを見た後だと、怖いなぁ…でも、受けるよ」


デコを出し、眼を瞑り待機する二人。

遠慮なく、ウィルティオにやったやつの3割り増し位でデコピンする。

7~8m程吹き飛んで、デコを押さえ悶える二人。


「あ、頭がわ、割れる…!!」

「視界がグラつくぅ…あ、川が見える…」

「渡るなよーその川。渡ったら最後、二度と戻れないぞ」


痛がっている二人に声をかけるソウマ。

そんなソウマに、カルディアルナ王が声をかけた。


「のうソウマ。魔王を辞めるとは言っていたが…その後、どうするんじゃ?」

「あ、決まってます。旅に出ようかと…そこのおバカ3人は連れて行くよ?財布代わりに」

「え、私達財布代わりなの!?」

「親に薬を買って一文無しの私に期待しないでよ!」

「い、一応僕は持ってるけどさ…」

「うん、カルミアは期待してない。主に金を払うのはウィルティオとクロムだよ」

「じゃあ、なんでカルミアを?」

「んなもん決まってるでしょ?お仕置きだよ。親とこれからのんびり暮らす予定だったカルミアには、親と一緒に居られない事が一番嫌でしょ?」

「うぐっ…拒否権は無いから、受けるけどさ…」


そんなことを話す、国王含めた5人。

そんな中、1人が手を上げた。『大賢者』エルフィン・マルティナである。


「ソウマさん!その旅、私も同行させてください!!」

「え…ちょっと、エルフィン!?貴方がこの旅に同行して、メリットなんてあるの!?」


一番先に反応したのは、長耳族エルフが人口の8割を占める、精霊樹ユグドラシルの根元にある国『ルーファリウム』の女王、リリアナ・ルーファリウムだった。

彼女としては、エルフィンには国の魔術師を育成する為の学校を新設する予定だったので、そこで働いて貰いたいところなのだが…。


「メリットしかありません!それで、ソウマさん…」

「断る理由なんて無いよ、エルフィン…と言うか、付いて来て大丈夫なの?滅茶苦茶反対してるんだけど、女王様…」

「良いんです。女王様自身、私の進みたい道があるならそれを選んで良いと言っていましたから」

「いや、そうは言ったけどね?流石にちょーっとこれは反論言いたいよ?」

「あぁもう!何でこうも許してくれないのか…もう、正直に言います!私は…」


怒りで拳を握りながら、エルフィンは大きく息を吸う。


「…私は、ソウマさんが大好きなんです!それで、魔王討伐の旅で世界中を移動していた時、こ、告白して、皆には内緒で付き合っていたんです!!魔王を倒したら結婚してください、って約束までしました!!」

『…はぁ!?』


会場の、いや、世界中の反応はこれで一致したと言う。


「ちょ、ちょっと!?ソウマ、君はエルフィンと付き合っていたのか!?」

「ん、そうだよ?綺麗で優しくて…そんなエルフィンが大好きさ」

「…さすがの僕も、そこまでは知らなかったな。クロムが仲間になった後くらいから、とても仲良くなったようには感じていたが…」

「え、ユーマそこまで分かってたの?俺、めっちゃ頑張って普段通り接して来たと思ってたんだけど…」

「さすがの俺でも気付いたぞ。てか、俺とユーマ、あとバトリグは気付いてた」

「エルフィンの方をチラチラと見ているのは知っていた」


ユーマ、ダイガン、バトリグの3人。

ソウマが『初期メン』と呼んでいる3人は、誰よりも早くソウマの変化に気付いていた。


「コホン…さて、ソウマとエルフィンの恋愛事情など、後で聞けば良いだろう。私が一番知りたいことは他にある」


わざとらしく咳をして、話を変えるカルディアルナ王。


「何ですか?」

「んなもん決まっておる。どうやってお前は生き返ったのだ?」

「あ、聞き忘れてた…そうだ、ソウマ。あの時、確かに君は…」

「あー、言ってなかったっけか?まぁいいや。確かに、あの時俺は死にかけたよ。意識が朦朧として、力が入らなくて…でも、助けてくれたんだ」


ソウマの表情は、とても明るかった。


「助けてくれた?誰が?辺りに誰も居ない事を確認したのは私だ…200m以内には誰も居なかったと宣言出来るぞ?」

「うん、そりゃ気付かないよ。だって、ログナーが座っていた石の中に封印されていたらしいからさ。あいつ、あの石を踏み台に跳躍して、俺の背中にエルボーかましてきたでしょ?その時に石が割れたから、出てこられたんだって」

「…で、誰なんですか?」

「呼ぶ方が早いかな?アリス、来てくれ」


ソウマの体が、光に包まれる。

彼の胸から、白い光の玉が出てくる。

それが強く光り…そこには。


「んぁ…あぁ、ソウマくんだぁ~、おはよぉ」


手のひらサイズの、妖精がそこに居た。

そして、その妖精を見た瞬間、震える長耳族エルフの重鎮、そしてエルフィン。


『エ、古代妖精エルダーピクシー様!?』

「あ、長耳族のみんな、ただいまぁ。古代妖精の、アリスだよぉ」

「おはようアリス。俺の恩人」

「えへへ、ソウマくんの肩の上は落ち着くなぁ。僕の特等席ぃ」

「こんな肩で良いなら、幾らでも貸すよ…で、アリスが助けてくれたんだ、僕を」

「古代妖精様…ソウマさんを助けてくださりありがとうございます!」

「あ!この人、ソウマくんが言ってた大好きな人?綺麗な人だねぇ…あぁ、土下座なんてしないで良いよ」


古代妖精。

人にとっての神の様な位置づけをされている存在。

そんな存在なのだが…。


「ソウマくん、今日は何して遊ぶ?僕ね、しりとりだっけ?あれやりたいなぁ」

「はいはい、後で遊んであげるから…なんでも、皆が、アリスが俺を助けてくれた時の話が聞きたいんだってさ。だから、頼むよ」

「むぅ…後でおやつにケーキね」

「まったく…後でエルフィンとかと一緒に街で食べようか」

「わぁい!」


完全に、少し我侭な子供にしか見えない、ソウマ以外の全員だった。

この作品はあと数話で終わる予定です。

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