第05話 真の銀《ミスリル》の値段
7月5日、再度修正しました。
DCを置いてある部屋に戻った僕は、アレレッティの帰りを待つ間に、ミスリルについて、いろいろと調べてみることにした。
ダンジョン商会は、普通の物から魔法のかかった物まで、いろいろな武器・防具を扱っているが、やはり魔法のかかっている物は、値段も高いし、在庫の数が少なかったり、品切れだったりしている。もともとがレアな金属である上に、ミスリル製の武器・防具は、軽くて硬く、そして魔力を宿しているために、かなり人気が高いようで、一覧表に載ってはいるが、大概が‘品切中(高価で買い取ります)’という表示になっていて、価格も普通の物の価格の何十倍、何百倍もするような数字が並んでいた。
今回、僕が手に入れたのは鉱石で、これから、精錬をして、作ってという工程を経ないと武器・防具にはならないわけだし、そんなに大量にあるわけではないが、そこそこのお金になるかも…、なんて期待をしながら、dPadをいじっていたら、小一時間ほどしてから、アレレッティが、ひげもじゃで背が低くでもゴツイ感じのおじさんと一緒にスーッと現れた。
「お待たせいたしました。こちらがダンジョン商会の資材仕入部のギムスでございます。詳しいお話はギムスからいたしますので、よろしくお願いします。」
「お初にお目にかかります、魔王ガルドゥーニ様、私は先ほどご紹介がありました通り、ダンジョン商会の資材仕入部のギムスと申します。ご覧のとおりドワーフでございます、主に鉱物関係や武器防具の仕入れなどを担当しております。よろしくお願いいたします。さて、今回は大量のミスリルと銀ということでございますが、まずは物を確認させていただいてもよろしいですか。」
ドワーフの男ギムスは挨拶がてら、そう話しかけてきた。僕は「なるほど、これがドワーフかぁ、ロードオブ○リングスの映画に出てくるドワーフのイメージそのまんまに近いんだなぁ」なんて思いながら、初めて見る本物のドワーフの姿をまじまじと見ていた。自分をじっと見ている僕にギムスが再び口を開く、
「物の確認をさせていただきたいのですが…」
「あぁ、申し訳ないです、魔王ガルドゥーニです、どうぞよろしく。異世界から呼ばれてきたもので、ドワーフに会うのは生まれて初めてだったものですからね、ついつい見とれてしまいました。どうぞ、こちらです。」
とあわてて挨拶を返しながら、隣の部屋の鉱石の小山のところに案内をする。鉱石のところに着くと、腰に下げてたハンマーを手に取ると、その場にしゃがんで手近な鉱石を取り、ガンガン叩いて砕いていく。そして、それを僕の杖の灯りの下で、腰に下げた袋から取り出した虫眼鏡でじっくりと観察する。しばらく観察した後、立ち上がって、僕に話しかけてくる。
「おめでとうございます。
銀もミスリルもどちらもそこそこの上物のようです。銀については、鉱石のままでこちらで引き取らせていただきます。また、もし、今後も採掘されるようでございましたら、銀は鉱石のままで引き取ります。
ミスリルの方ですが、残念ながら、ダンジョン商会でもミスリルの精錬・加工を出来る術を持つ職人は抱えておりません。一部のドワーフとコボルドにだけその秘術が伝わっているとか…。
そこで、このミスリルをどうするか、本部で相談をしてきました。ガルドゥーニ様は、こちらのダンジョンでいろいろなものを生産したいとお考えとうかがっております。今回の銀とミスリルの発見で、ガルドゥーニ様には多くのDPが与えられていると思います。そのDPで、ミスリルの精錬・加工の出来るコボルドの一族を召喚していただき、こちらのダンジョンで、ミスリル製品を生産していただくのが、最上の策ではないかというのが私共の結論です。無論、ただ、コボルドを召喚して、ミスリル製品を作れと申しているわけではございません。私共、ダンジョン商会から、精錬・加工に必要な機材や工具などをご提供させていただきます。いかがでしょうか。」
全部を買い取ってもらえて、まとまった額のお金が入るとばかり思っていた僕には、意外な提案だった。が、もともと運営に余裕が出てきたら、コボルドに採掘や精錬・加工、鍛治なんかをさせられたらいいなと思っていたので、ちょうどいい話だった。
「分かりました。それで、けっこうです。」
と返事をしつつ、dPadで、僕のDPを確認してみると、ビックリするくらい多くのDPが振り込まれて(?)いた。




