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迷宮の魔王  作者: れおれお
第1章 迷宮作成開始
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第10話 師匠を招く(3)

 調理場の設置が終わり、料理人をどうしようか悩みながら、DCルームに戻ると、アレレッティがやって来た。


「牛頭馬頭の召喚と調理場の設置までされていたんですね。お待たせしました。魔術師と錬金術師、人狼の処理が終わりました。」


 どこで、見ているのか、なんで知っているのかは分からないが、なんでアレレッティは僕の作業の状況を把握してるんだろう…。なんて思いながら、


「いろいろ部屋は増えて来たけど、迷宮というよりは、地下の秘密基地みたいな感じで、ほとんどが暮らしていくのに必要な部分なんだけどね。それで、交渉の方はどうだった。」


 と返事をする。


「多くの魔物が住むダンジョン作るには、それを裏で支える部分が大事なのです。その部分が充実していて悪いことはありませんよ。さて、交渉の結果ですが…。」


 交渉結果の内容は、マンティコアの魔術師ヨンボスも、鱗魔族の錬金術師ソフィーナも、コチラが提示した条件で良いとのことで、コチラの準備ができ次第、転送して欲しいというものだった。

 人狼の方は、あくまでも奴隷での購入であるが、奴隷の運命は主次第で大きく変わるので、良い主に恵まれそうだということで、好意的な感触で、購入手続きも完了し、これもコチラの準備ができ次第、転送が可能ということだった。


 魔法使いたちが住むならやはり塔だろう!という勝手な決めつけで、僕は、ダンジョンの中に塔を建てることにした。

 なんといっても、高さが200mもある巨大な空洞を作ってあるのだ、巨大な塔を建てても高さにはぜんぜん余裕がある。無駄に大きいものを作る必要は無いが、これから住人が増える可能性もあるので、余裕を持った作りにすることにする。

 1階と2階はつながっていて1つになっているが、3階から上は2つに別れているツインタワーにして、半分を魔術師用、残りの半分を錬金術使用にする。最上階の6階がそれぞれのマスターの部屋で、3階から5階までは弟子たちの部屋とし、居室、研究室、物置などを配置した。2階は合同の図書館にして、2人の魔法使いの書物の写本を作って、保管していけるようにするため、本棚と閲覧スペース、写本用のスペースを作った。1階は、僕や弟子たちに魔法を教えるための教室と食事をするための食堂とエントランスを作り、地下には、魔法を試すための実験用の部屋、錬金術で薬を作るための工房、などを作った。


 塔が完成したところで、ヨンボス、ソフィーナの順番で、転送をかけ、移り住んで来てもらう。


 まずは、ヨンボスからだ。dPadで転送の処理をすると、大きな獣とその後ろに一人の人影、そして多くの荷物が、ダンジョン内に姿を現す。

 マンティコアは、巨大な獅子の胴体に、老人の顔を持ち、背中には蝙蝠のような羽が生えていて、その尻尾は蠍という姿をした魔物だ。その老人のような顔ゆえか、高い知性を持ち、魔術を研究する者も多い種族である。

 知識では知っていた。だけど実物を見ると、ジャイアントスコーピオンの時と同じように、その姿に恐怖を感じてしまうが、それを隠すように意識しながら、習得したばかりの魔獣語で挨拶をする。


「ヨンボス老師、私の招きに応じていただき、ありがとうございます。ご要望通り、食と住、そして、魔術の研究に必要な物はご用意いたしますので、私への魔術のご指導、よろしくお願いたします。」


「魔王殿よ、無理して、魔獣語で話さずとも、わしは冥界語くらいは話せるわい。世話になる、よろしく頼む。お前さんがどれくらい、魔術の基礎を身につけているかは分からんが、基礎からみっちりと仕込んでやるから、楽しみにしておくがよい。

 さっそく新しい住処に案内してもらえるかの。後ろに控えているは、弟子のブルハンじゃ。ブルハンと話をして、わしらの荷物も運んでもらわねばならんしな。」


「住んでいただくのは、あちらになります。」


 と塔を指し示すと、


「ほっ、ほう。地下迷宮の中に塔を建てるか。お前さん、面白い男じゃの。2つに分かれているようじゃが、わしらの他にも住む者がおるのかな。」


「はい、ヨンボス老師は、魔術の師としてお招きしました。もう一方、鱗魔族の錬金術師の方を錬金術の師として、お招きしております。」


「なるほどの。まぁ、わしは自分の研究さえ好きにさせてもらえれば、それで、十分じゃ。他のことに文句を言うつもりはないわ。」


 そんな話をしながら、ヨンボスとブルハンに塔を案内し、荷物をどこにどう運べば良いかを相談して、一気に転送で運んでしまう。



「荷物の整理をしているから、何かあったら声をかけてくれ」という2人を残して、僕は塔に外に出た。そして、今度は、ソフィーナを転送する。

 鱗魔族、闇の神々の側に属する種族:冥族の中で、鬼族と並ぶ勢力を誇る魔族の中で、全身を蛇のような鱗で覆われた種族である。

 ソフィーナのゆったりとしたローブから出ている手や顔、首などはブルーメタリックな色の鱗に覆われていた。年齢不詳ということだが、かなり長生きをしているはずなのに、ぜんぜん年齢を感じさせない。長く伸ばした真っ赤な髪と、切れ長の目が特徴的なキレイな顔をした女性だった。

 ヨンボスがそうであったように、ソフィーナも冥界語を話せる可能性は高いが、こちらで招いているのだから、相手の言葉で話しかけるべきだろうということで、魔族の住む世界である魔界の言葉、魔界語でヨンボスにしたのとほぼ挨拶をする。


「ソフィーナ導師、ようこそおいでくださいました。お約束通り、食事と住居、研究・実験に必要な物などは、ご提供いたしますので、錬金術をはじめとする導師の知識を私にご教授ください。よろしくお願いします。」


「ガルドゥーニ様でしたね。わざわざ魔族語でお話いただかなくても、冥界語でけっこうですよ。こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。資金稼ぎのために素材を集めて、ポーションを作り、それを販売するなどといった無駄なことに時間を費やすことなく、研究に専念できます。よろしくお願いします。あと、コレは私の弟子でラミアのカミラです、私共々よろしくお願いしますわ。」


 そう言って指差した先には、胸だけを隠す水着のような服を着た下半身が巨大な蛇の妖艶な雰囲気を感じさせる美女がいた。そのセクシーな上半身に少しドキドキしながら、


「ガルドゥーニです。よろしくお願いします。さっそくですがお部屋の方にご案内いたしますので、こちらへ」


 と挨拶もそこそこに、塔へと2人を連れて行く。そして、ヨンボスたちの時と同様に、塔を案内し、書物や実験器具などの荷物を指示された部屋へと転送していく。


「魔術の師として、もうひと方マンティコアの魔術師をお招きしています。また、夕食の時にでも、ご紹介いたしますので。それまでは、どうぞ、荷物の整理などをなさってください。」


 そう言い残して、塔を後にした。

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