道草
なんとか無事にアニメッカから脱出する事が出来たコーヤ達。
思わずリューシャにグチを言う。
「なぁ、次からは一人で頼む」
「私の会員証じゃないよ?」
「・・・」
返事を返さずコーヤは静かに沈黙した。
しかし、リューシャはもう次の事に興味を示したのかコーヤの腕をグイグイと引っ張る。
コーヤは今度は何?と思いつつリューシャの後を追って本屋へと入って行った。
中に入ったリューシャは漫画コーナーに一直線。
コーヤもその後をノロノロとついて行く。
漫画コーナーに着いたリューシャはとある漫画を手に取った。
そして、リューシャはコーヤにこう質問する。
「これって炎のスペードがブラック・ヒゲに負けて囚われた後ってどうなったの?」
コーヤはそれって確か6ヶ月程前の話だったかな?と思いつつ、読んでいたので簡単にその後のあらすじをリューシャに説明した。
「ふーん。その後は盛り下がっちゃったんだ・・・」
リューシャは残念そうな顔でそう言った。
「それじゃぁ、コレは5巻以降どうなったの?」
また別の漫画を指差しコーヤに内容を聞いてきた。
だが、その漫画の事はコーヤは知らなかったので「その漫画は知らない」と言うとリューシャは本屋の店員を呼び、つたない日本語で自分の知ってる範囲の話までを店員に説明し、それ以降の巻を数冊ほど手にした。
「へー、日本の漫画の事、やけに詳しいんだな」
ホクホク顔のリューシャは「うん♪」と答えた。
そしてコーヤはあまり買うと荷物が大変だし、家の近くにもちゃんと本屋がある事をリューシャに伝える。
リューシャは笑顔で了承し、最後にコレの続きを知ってたら教えて!とコーヤに問うた。
「それ、ちょっと前に打ち切りになったよ」
とコーヤが答えるとリューシャは驚き、見るからにシオシオと萎んだ。
「そっか・・・楽しみにしてたんだけどな・・・」
リューシャはガックリと肩を落とした。
それにコーヤが追い討ちをかけるように言う。
「秋芝書店って不評だった漫画はコミックが出ない場合があるみたいだしな」
何気にそうつぶやくとリューシャの顔は一層沈んだ表情になった。
少し不憫に思ったコーヤは後で家に戻ったらそれが載ってた雑誌を探してやるよと答え、レジで会計をしてもらい外に出た。
元気が無いリューシャを見て「相当ショックだったみたいだな」と思ったコーヤは軽く元気を付けてやろうと考えた。
ガラガラと大きな旅行カバンを転がし適当にキョロキョロとしながら駅までの道のりを歩く。
そうすると御洒落なクレープ屋を発見した。
コーヤはリューシャに「奢ってやるからアレ、食べないか?」と促す。
リューシャは「えっ、いいの?」って顔をした後にパァッと明るくなり「うん!」と元気良く答えた。