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人の趣味は人それぞれ

一瞬、何が起こったのか理解出来なかったコーヤはやっと事態を把握する事に成功した。

つまり今日から一緒に暮らす父親の友達の子供と言うのは女性であったのだ。


慌ててコーヤも自分の名を名乗る。

「あっ、えーっとスミマセン。ちょっと驚いてしまって・・・はじめまして廣井孝夜です。よ、宜しくお願いします」


続いてリューシャも改めてコーヤに自己紹介する。

「今日から御世話になりますリューシャです。不束者ですが宜しくお願いします」

そして2人は社交辞令のように握手を取り交わし、以上の会話は全てロシア語で執り行われた。


コーヤはリューシャの手の冷たさにドギマギし、リューシャはコーヤの手の温かさが印象に残った。

そして、コーヤはどうしようかなぁ・・・としばし考えてからこう言った。


「えーっと、リューシャさんは日本語はどのくらい大丈夫なんですか?」

「同い年ですし"さん"は結構ですよ。それに今日から御世話になるんですしリューシャと呼んで下さい。日本語はそこそこ話せます」

「それじゃぁ、リューシャ。荷物はそれだけ?今から電車で家に向かうけど荷物は俺が持ってあげるよ」

「ありがとう。それじゃぁお言葉に甘えてコーヤさんはこっちの大きな方をお願いします」

「了解」

「あっ、でもその前にお願いがあるんですけど・・・」

「何?」


リューシャは急にモジモジしながらポケットから新型のEフォーンを取り出しこう言った。

「家に向かう前に寄りたい所があるんですがコーヤさん(お時間は)大丈夫ですか?」

リューシャはEフォーンで口元を隠しながら頬を染め恥ずかしがっている。


その様子を見てコーヤは不覚にもカワイイなと思いつつ笑顔で了承した。

「うん、構わないよ。場所はどこ?」


彼女がEフォーンを操作し、その場所をコーヤに見せ、先にそこへ向かう事になった。

もちろん、コーヤはリューシャの持つ大きな旅行カバンを持ってやり2人は空港を後にする。



彼と彼女は電車の中でお互いの話をした。


まず、リューシャの父は現役の軍人であり、母の家系は日本人の血が混ざっていると言う事。

そしてコーヤの父親とは階級は違えど友人である事。


コーヤ側は自分の父親は現在ロシア料理店を経営していて自分もそれを手伝っていると言う事。

さらに自分がその店を将来引き継ぐ予定などと言う事。


しかし、リューシャはそれらの事を知っていた。

何故ならコーヤの父親は母親を連れて1年に1度だけロシアに里帰りをするからだ。

その時に向こうで会っていても不思議ではない。

幼い時はコーヤも一緒について行ったようだが、ある時期から急に嫌がったらしくその間のみ母方の家に預けられ、中高生になってからは自分の家で一人留守番するようになった事をコーヤは思い出した。


他にもロシア料理は何が好き?とか好きな歌手は?とか他愛の無い話を2人は繰り返し、

リューシャは日本の歌手で好きなアーティストの名を言ったがコーヤにはそれが分からなかった。


目的地はコーヤの家から3つ先のちょっとした繁華街であった。

リューシャはキョロキョロと物珍しそうに辺りを見回しコーヤにアレは何?これは何?と質問する。

そう言った所は無邪気で歳相応のカワイイ女の子だとコーヤは思った。


しばらくリューシャの質問に受け答えていたが女の子とデートするのってこんな気分なのかな?と、

コーヤは初めて味わう不思議な感覚に魅了された。

あの事件によって異性よりも料理に情熱が傾いてしまった悲しい結果である。


そして数分後、目的地に着いたのであったがそこはコーヤが入った事の無い未知の世界であった。

お店の名前はアニメッカと言う大手のアニメ・ショップであったのだ・・・。

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