学校②
学長室から退室したコーヤは校内の主要施設である職員室・食堂・購買部・特殊教室などを順番に案内し無人に近い校舎を2人で歩く。
と、途中でこの学園の生徒会長の男と副会長の女に出会った。
2人はコーヤ達より1学年上の先輩。
いかにも生徒会と言う感じの美男・美女と言う取り合わせである。
だが、コーヤにとっては自分が問題児扱いされているので正直苦手な相手でもある。
しかし、リューシャがいる手前そう言う訳にもいかなかったのでとりあえず2人に挨拶をする事にした。
「こんにちは、生徒会長に副会長」
コーヤは苦手な相手にわざわざ自分から挨拶しに行った。
生徒会長らも近くに来たコーヤ達の存在に気が付き「あぁ、こんにちは、廣井君」と返す。
そして「そちらの女性は?」と生徒会長が尋ねると、リューシャは先程と同じ要領で自分の名と春休み明けからこちらに通う者ですと説明した。
生徒会長はその事を事前に知っていたのかふむっと頷き、「私はこの学園の生徒会長の赤石と言います。何か分からない事があれば気軽に私を頼って下さい」と挨拶を返した。
続いて副会長も自分の名は百谷であると言う事と自分の役職をリューシャに名乗った。
そして会長がこの学校にまつわる事を長々とリューシャに説明し出す。
一方のリューシャはあまり理解出来なかったがとりあえず頷いていた。
しかしコーヤの方はこの状況に困惑。
居心地が悪かったので会長の話を強引に切り上げ、「これから体育会系が部活動する離れに案内するので」と言って足早にその場を去る事にした。
去り際に会長が言う。
「もし、興味がありましたら生徒会も覗いてみて下さい」
リューシャはペコリと頭を下げコーヤ達はその場から脱出した。
会長は少し話しただけでリューシャの事を気に入った模様。
それを横で見ていた副会長は少し面白くないと言った表情で会長を見つめた。
2人から離れた後にリューシャは言う。
「日本人ってやっぱり親切な人が多いよね」
しかし、コーヤはあの2人が苦手なので「外面だけだ」と返した。
1Fに戻ったリューシャは疑問に思った事をコーヤに尋ねる。
「先生方には挨拶しないの?」
「クラス替えがあるハズだから担任が誰になるのか分からないし、全員にする必要は無いよ」
コーヤは自分が不良扱いされているので極力教職員とは会いたくないようだ。
「それにこの学校でロシア語に訳せるのは俺だけだし、どうせ同じクラスになるから別に問題ない」
と切り捨てた。
そして、学校の玄関に戻った2人は離れにある総合運動施設へと向かった。