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プロローグ+注意文アリ

この作品はコミックマーケット81で配布したものからR18要素を抜いたものになります。


元々この小説を書こうと思ったのは、VIP板のパートスレ「作曲できる奴ちょっとこい」で作られた「RAINBOW GIRL」という曲(『RAINBOW GIRL』でググるとすぐに見つかります)をニコニコ動画で聞きながら、ふと「歌とは逆にヒロインが受肉して三次元化したらどうなるんだろう」と考えたのがきっかけでした。

 RAINBOW GIRLは本当に切なくていい曲です。そして本作品はタイトルからしてそうですが、本文中にもオマージュのつもりでRAINBOW GIRLの歌詞がいくつか引用されています。パクリとオマージュは線引きが難しいもので、一応作詞者のコロ助氏には事後承諾を頂いておりますが、ふと気が変わったと言われればこのレインボーガールはそれまでの作品です。メールの文面からイメージした限りでは心の広い陽気なVIPPERだったのでないとは思いますが。

 私は一人でも多くの人にRAINBOW GIRLを聞いて欲しいと願っています。その助けに少しでもなるのなら、私はこのレインボーガールという作品に対してなんの著作権を主張するつもりはありません。なので改変してどこかの小説の大賞に応募していただいても結構です。ただし同人活動の域を超えるようなことをする場合は、私ではなく作詞者のコロ助氏に許可を頂くようお願いします。

(ありえない)

 目の前の彼女を見て彼が最初に思ったのは、そんなありふれた言葉だった。

「おかえりなさい、雄介さん」

 誰もいるはずがないアパートの一室。引き戸から三歩ほど進んだその場所に、彼女は見慣れた学校の制服姿で、心底嬉しそうな笑顔を浮かべて立っていた。

 声が出ない。そもそもこの状況ではどんな言葉を言うのが適切なのか、それが分からない。

 もし彼女が見ず知らずの誰かだったら、言うべき言葉は簡単だ。「誰だお前は」と大きな声で怒鳴ればいい。押し殺した声で言うのも悪くない。

 しかし彼女は見ず知らずの誰かではない。むしろ彼女のことを、彼は誰よりも知っている自信があった。名前、年齢、通っている学校などは当然として、誕生日や血液型、身長や体重、好きなジュースからスリーサイズまで、なんでも知っている。

 もし彼女が遠距離恋愛中の相手だったら、この場合もあまり悩む必要はないだろう。「いつ来たんだ?」と優しい声で聞けばいい。

 しかし彼女とは恋人同士かもしれないが、遠距離恋愛をしているわけではなかった。いや、ある意味遠距離恋愛といってもいいのかもしれない。彼女の生きる世界は、とても遠い。それこそ日本とブラジルが目と鼻の先に思えるほど。

 もし彼女が過去に付き合っていたことのあるヤンデレ娘だったら、迂闊なことは言えない。慎重に言葉を選ばなければ、背中を見せた瞬間にプスリという可能性もある。

 しかし彼女はヤンデレ娘ではない。復縁を拒絶すれば涙を流すくらいはするかもしれないが、ビルの屋上からゴムなしバンジーをするほどではない……はずだ。

 もし彼女が幽霊だったら――この場合、どんな言葉が適切だろうか。

 これはそこそこに難しい問題だ。見た瞬間、絶句してもおかしくない。ただ、かける言葉がまったく浮かんでこないかといえば、違う。もし自分のせいで死なせてしまったなら「ごめん」と謝罪するしかないし、そうでないなら無難に「ただいま」と言っておけば問題はないだろう。対応はできる。

 ならば――もし彼女が二次元の世界の住人だったとしたら?

 繰り返し、数え切れないほどの回数プレイした恋愛シミュレーションゲーム。そのヒロインだったとしたら?

 突然現れた「元」二次元の女子高生に言うべき言葉など、まったく思いつかない。

 が、それでも出てくる言葉というのはあった。

 ニコニコと笑いながら彼女は小首をかしげる。彼はそんな彼女を鋭いまなざしで見つめたまま机に置いてあるノートパソコンを指差し、叫んだ。

「帰れえええええっ!」

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