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二日が過ぎ、三日目の夜。
工房の中では、カイの拳はもはや真っ赤に腫れ上がり、皮膚は裂け、骨が見えるほどにボロボロになっていた。
意識は朦朧としている。だが、その打撃の音は、一打ごとに鋭さを増していた。
(……もっと。もっと速く、もっと深く。……属性のノイズを捨てろ。世界の理だけを、この拳に乗せろ)
——カォォォォン!!
最後の一撃。
それは音さえも置き去りにした、無色の衝撃。
漆黒の『深淵鉄』が、ついに屈した。
鉄の塊は完璧な「板」へと形を変え、その表面には、カイの拳の紋様が、宇宙の深淵のような輝きと共に刻まれていた。
「……合格だ」
ムラマサが、驚愕を隠せずに呟いた。
「まさか、本当に素手でこいつを従わせるとはな。……おい小僧、お前の魂、確かに受け取ったぜ」
ムラマサが、その板を炉に投げ込む。
「リナ、フェリス! 中へ入れ! 最後はお前たちの『色』が必要だ!」
外で満身創痍となっていた二人が、這うようにして工房へ飛び込んできた。
「カイ……さん……」
リナがカイのボロボロの拳を見て、涙を流しながら彼に寄り添う。
「さあ、お前たちの属性を、この鉄に流し込め! だが、混ぜるんじゃねぇ。カイの『無色』をコーティングするための、潤滑剤にするんだ!」
リナの「水」が急冷を担い、フェリスの「木」が柄の生命を宿す。
そして、ムラマサの槌が、世界の理を叩きつける。




