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一方、工房の外。火口の縁では、リナとフェリスが絶望的な光景を目にしていた。
「……来たわね。火精ギルドの本隊よ」
フェリスの視線の先、陽炎の向こうから、百人を超える重装魔導士の軍勢が押し寄せていた。率いるのは、特務官イグニスに代わって派遣された、火精ギルドの次席幹部。
「無属性のゴミが、伝説の鍛冶師に剣を打たせようとしているだと? 片腹痛い。……ムラマサごと、この工房を溶岩に沈めよ!」
無数の魔法陣が空に浮かび、巨大な火球が降り注ぐ。
「……させない。……絶対に、させないんだから!」
リナが杖を両手で握りしめる。その手は恐怖で震えていたが、足は一歩も引かなかった。
「カイさんが、今頑張ってる。……私たちのリーダーが、新しい剣を手に入れようとしてるの。それを邪魔する奴は、私が……私が許さない!」
「『水神の涙』!!」
リナの魔力が暴走に近い勢いで膨れ上がる。
灼熱の地で、本来なら弱まるはずの水魔法。だが、リナの「カイを守りたい」という執念が、熱を力に変え、巨大な水の防壁を形作った。
「フェリス、お願い!」
「任せなさい! 視界は確保したわ!」
フェリスは、熱風で揺らぐ視界の中、木の属性を極限まで絞り出し、溶岩の中から「冷たい鉄の蔦」を急成長させた。それが敵の足場を崩し、リナの魔法が敵を飲み込む。
二人の、命を削るような共闘が始まった。




