24/30
24
「武器も持たずに、我が焔に挑むか!」
ゴーレムが巨大な溶岩の拳を振り下ろす。落下の衝撃だけで地面が爆ぜ、リナたちが吹き飛ばされそうになる。
だが、カイは動かない。
拳が鼻先に触れる瞬間、カイの体が「霞」のように揺れた。
極限の脱力と、空気抵抗を計算し尽くした最小限の回避。
(無色一刀流——『無』)
カイは剣を持たぬ右手を、そっとゴーレムの腕に添えた。
「属性は、魔力の循環で形を作っている。……なら、その循環の『結び目』を断てばいい」
カイが指先に力を込めた瞬間、目にも止まらぬ速さの「震動」がゴーレムの巨体に伝わった。
物理的な打撃ではない。物体を構成する原子の結びつきに、直接干渉する無色の波動。
——パシュッ。
音もなく、巨大なゴーレムの体が、霧が晴れるように崩壊していった。
溶岩はただの泥に戻り、赤々と燃えていた魔力は虚空へと霧散する。
「な……ななな、何をしたの今!?」
フェリスが目を見開く。
「ただの、マッサージだ」
カイは平然と答え、工房の重い鉄扉を叩いた。




