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「くっはぁぁぁ! 生き返るぅ……!」


 迷宮都市ゼムの繁華街にある老舗酒場『踊る山羊亭』。

 フェリスがジョッキに注がれた果実酒を勢いよく飲み干し、ぷはっと息を吐いた。その隣で、リナも顔を上気させながら、運ばれてきたばかりの「イノシシ肉のハニーロースト」にナイフを入れている。


「カイさん、見てください! 脂が乗ってて最高に美味しそうです!」

「……ああ。好きに食え。今日は俺の奢りだ」


 カイは隅の席で、安エールを一口すすりながら、二人の様子を眺めていた。

 キメラの魔石と、道中でフェリスが見つけた希少な薬草。その売却益は、新人冒険者にとっては破格の額だった。


「リーダー、太っ腹! 無色のくせに、稼ぐことに関しては四聖ギルドの連中よりよっぽど手際がいいんだから」

 フェリスがニヤニヤしながら、カイの皿に勝手に肉を放り込む。


「属性がない分、周囲をよく見る必要があるだけだ」

「またそうやって謙遜する。……ねぇ、カイさん。前から聞きたかったんですけど、その剣術、誰に教わったんですか?」


 リナが身を乗り出して尋ねる。

 その瞳は、純粋な好奇心と、かすかな憧憬に満ちていた。

 カイは一瞬、遠い北の空——師匠と過ごした不毛の村の光景を思い出し、視線を落とした。


「……ただの飲んだくれの老人だ。村の連中からは、ボケた隠居扱いされてたよ」

「そのお師匠さん、きっと凄まじい人だったのね。属性全盛のこの時代に、ただの『物理』だけで世界と渡り合おうなんて……少し、狂ってるわ」


 フェリスが肉を咀嚼しながら、真剣な顔で呟く。

「でも、私は嫌いじゃない。……っていうか、最高にシビれた。あの石ころ一発でキメラを沈めた時、私、尻尾の毛が全部逆立ったんだから」

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