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「カイさん、危ない! それ、物理攻撃は効かないってギルドの資料に……!」
リナの静止を余所に、カイは走った。
最短距離。無駄のない踏み込み。
キメラが咆哮し、琥珀の爪を振り下ろす。その一撃でさえ、カイにとっては止まっているも同然だった。
(……二人の連携を壊さない程度に、削るか)
カイは剣を抜かなかった。
代わりに、落ちていた石ころを一つ拾い上げ、指先で弾いた。
——ドシュッ!!
石礫が音速を超え、キメラの右前脚の関節、その「結晶の継ぎ目」にピンポイントで着弾した。
バキィィィィィィンッ! と、硬質の琥珀が砕け散る。
「え……? 今、何が起きたの?」
フェリスが目を疑う。キメラがバランスを崩し、大きく体勢を崩した。
「リナ、今だ。最大火力で核を狙え。フェリス、逃げ道を塞げ」
「……! は、はいっ!」
カイの指示に、二人の意識が強制的に引き戻される。
リナが全ての魔力を杖に込め、巨大な水の槍を作り出す。フェリスはキメラの弱った四肢に次々と矢を叩き込み、その場に縫い付けた。
「いっけぇぇぇぇ!! 『高圧水弾』!!」
激流の槍が、カイによって剥き出しにされたキメラの核を貫き、内側から爆発させた。
琥珀の巨躯が、静かに崩落していく。




