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松戸愚連隊  作者: ponzi
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第21話江戸川区、市川市の仲間たち

群馬県伊勢崎市でのライブのオファーは、豪志とシャンボの心を大きく揺さぶった。この勢いのまま、彼らの音楽活動をさらに広げたい。その想いは、二人の間で自然とライブツアーへと発展していった。

「伊勢崎市だけじゃなくて、もう少し範囲を広げてライブツアーを敢行したいね」

豪志がそう言うと、シャンボも目を輝かせて頷いた。彼らの「愚連隊」の美学は、特定の場所に留まることを良しとしない。

まず、ライブハウス「ギフテッド」の店長、斎藤さんに相談した。斎藤さんは、彼らの挑戦を心から応援してくれた。

「いいじゃないか!goki君たちの音楽は、もっと多くの人に聞かれるべきだよ。俺もできる限りの協力はするから」

斎藤さんの力強い言葉に、豪志は勇気をもらった。

次に、豪志はスマートフォンを取り出し、LINEの連絡先をスクロールした。彼の頭に浮かんだのは、過去に彼を支えてくれた、大切な仲間たちの顔だった。

まずは、江戸川区に住む、一級建築士のカズさん。そして、彼の親友で、豪志と同じ障害者就労で働いていたトミーさん。

豪志は、彼らに「ライブツアーをしたい」とメッセージを送った。すると、すぐにカズさんから電話がかかってきた。

「根岸さん。面白いやないですか」

関西弁のイントネーションで、カズさんは興奮気味に言った。

「江戸川区にも、新小岩の駅前にライブハウスがありますよ。あれ、なんて言ったっけ?トミー?」

電話の向こうで、トミーさんの声が聞こえた。

「ペニーレーン!」

「そうそう、その『ペニーレーン』というライブハウスのオーナーさんとは、以前推し活していたアイドルの子が定期的にコンサートしていた縁で、顔馴染みなんですよ!話をつけてあげてもいいですよ」

「カズさん、お願いします!」

豪志は、思わず電話口で叫んだ。カズさんの言葉は、彼らが江戸川区でライブをするという、夢のような話を現実のものにしてくれた。

次に豪志は、かつて障害者就労でお世話になった、市川市のツヨシ社長に連絡を取った。

「根岸さん。お久しぶりですね。最近はミュージシャンとして活躍しているみたいで、噂はよく耳にします」

ツヨシ社長は、豪志の近況をすでに知っていた。

「ツヨシ社長、お久しぶりです。実は市川市の本八幡付近でコンサートができる場所を探していまして…」

豪志は、ライブツアーの計画を伝えた。

「今度、われわれの音楽バンド『アナクロニズム』で、千葉県松戸市、千葉県市川市、東京都江戸川区、群馬県伊勢崎市をツアーして回りたいんですよ!」

ツヨシ社長は、興味深そうに「ほう!」と声を上げた。

「本八幡なら、最近ハルさんがすごく詳しいですね。ハルさんがよく通っているライブハウスがあるらしいですよ」

豪志は、その言葉に、胸がドキリとした。ハルさんとは、かつて豪志が想いを寄せていた、同じ障害者就労で働いていたハルカちゃんのことだ。

「え、ハルカちゃんが!」

「今、ハルさんに代わりますね」

しばしの沈黙ののち、電話の向こうから、懐かしい声が聞こえてきた。

「もしもーし。こんにちは、根岸さん」

「やった!ハルカちゃんじゃ!ねえねえ、本八幡でどこかいいライブハウス知らない?」

豪志は、かつての想いを胸に、興奮気味に問いかけた。

「社長から事情は聞きましたよ。本八幡の南口に『ケアレス・ウィスパー』という、わりと古いライブハウスがあります。わたしもショウマさんとたまに行きますよ!そこ、紹介してあげます」

ハルカちゃんの言葉に、豪志の胸は再び高鳴った。「ショウマさん」は、彼女の恋人だった。その事実に、豪志の心は少しだけ痛んだが、それでも、彼女が自分たちの音楽活動を応援してくれているという事実は、何よりも嬉しかった。

「やった!お願いします、ハルカちゃん」

豪志は、感謝の気持ちを込めて、そう答えた。

こうして、豪志とシャンボの「アナクロニズム」は、松戸の街を飛び出し、江戸川区、市川市、そして群馬県伊勢崎市へと向かう、壮大なライブツアーの計画を立てることに成功した。彼らの音楽は、かつて彼らを支えてくれた仲間たちを巻き込み、大きなうねりを生み出そうとしていた。しかし、その動きは、彼らの成功を面白く思わない、松戸の闇に潜む勢力、テリー率いる『日本愛国連合』の耳にも、確実に届いていたのだった。

彼らの音楽の旅路は、希望と、そして、新たな試練に満ちたものになるだろう。


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