第1回 憲法試案本文 前編(全文~第5章)
「憲法って、そもそも何のためにあるの?」 多くの人が、漠然とそう疑問を持っているのではないでしょうか。
この憲法試案は、そんな問いにひとつの形で答える試みです。 理想や理念だけでなく、実際にどうすれば国家がきちんと動くのか──そうした制度のしくみそのものを丁寧に設計しようとしました。
国民の定義、領域の考え方、法律の作り方、権力の分け方と監視のしくみ──それらを条文として組み上げながら、「制度によって秩序を築く」という考え方を貫いています。
この試案は、AIの補助を受けながら、あっぷるが構想・編集したものです。決して一人だけの理屈ではなく、制度の筋道をたどるように構成されています。
もし読んでみて、憲法ってこんな風に考えられるんだ、という感触が生まれたなら──それこそがこの試案の役割かもしれません
前文
日本国民は、歴史の中で幾度となく統治構造の変遷と困難を経験しながらも、自由と秩序を希求し、制度によって正統性を築くことに努めてきた。
我々は、国家の構成要素として国民・領域・統治機構および法制度を明確に定義し、これらが相互に関連することによって、秩序の持続と制度的整合性が確保されることを確認する。
主権は国民に存し、権力の行使はその委任に基づいて制度的に構成され、分立と抑制を通じて均衡されなければならない。
基本的人権の保障、権利と義務の制度的包摂、財政・軍事・司法の責任体系、ならびに緊急事態における憲法秩序の堅持は、制度化された統治原理として位置づけられる。
よって、我々は、歴史と理性に基づき、制度的整合性と統治の正統性を担保するための憲法を、ここに制定する。
第1章 国家の定義と統治の原則
第1条 日本国は、国民・領域・統治機構および法制度により構成される主権国家である。
第1条の2 国民とは、日本国籍を有する者を指す。ただし、外国籍居住者については、制限事項付きで制度的に包摂する。
第1条の3 日本国の領域は、陸地・内水・領海・領空、および法律に基づいて主権が及ぶその他の範囲を含む。 これらの領域は、憲法の下に不可分のものとし、国家の統一と領域の完全性は、すべての国民および国家機関により守られなければならない。
第1条の4 統治機構とは、国家権力の分立・執行を担う組織体系を指す。法制度とは、憲法および法律に基づく統治・権利・義務に関する規範構造を指す。
第2条 この憲法は、日本国の基本法として、すべての国家権力・法律・命令に優越する。
第3条 日本国は、国民主権・基本的人権の尊重および権力分立を、統治の基本原則とする。
第4条 主権は国民に存し、すべての国家権力は国民の正統な委任に基づいて行使されなければならない。
第2章 基本的人権と義務・制限原則
第5条 すべての国民は、生存・自由・人格の尊厳および幸福を追求する権利を有する。
第5条の2 すべての国民は、性別・年齢・民族・宗教・障害・性的指向・社会的地位その他の理由による差別を受けない権利を有する。
第5条の3 国家は、すべての国民に対し、教育・雇用・社会福祉その他の分野において、機会の均等と平等を保障する義務を負う。
第5条の4 すべての国民は、国内外における移動および居住の自由を有する。この自由は、公共の福祉に反しない限り、いかなる制約も受けない。 ただし、以下の場合には法律に基づき制限を設けることができる:
公共衛生上の必要性(例:パンデミック時の隔離措置)
国防および環境保護上の必要性(例:軍事施設周辺や自然保護区への立ち入り・居住の制限)
自然災害等による一時避難命令および帰還制限(例:火山噴火や洪水による安全確保)
第5条の5 財産権は、これを侵してはならない。その内容は、公共の福祉に適合するよう、法律により定める。 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
第5条の6 財産権に対する制限は、公共の福祉の目的に照らし、必要かつ合理的であり、最小限度でなければならない。 これらの制限は法律に基づき、司法審査の対象となる。
第5条の7 土地は国家に帰属する公共資源とし、国民には法律の定めるところにより、租借権または利用権を認める。 これらの権利は、公共の福祉および環境保護の原則に従い、法律により制限・更新・譲渡されるものとする。
第6条 国民は、思想および信教の自由を有し、検閲その他の干渉を受けない。表現、出版、通信の自由も、これを保障する。
第7条 通信の秘密は、これを侵してはならない。政府および民間通信事業者は、正当な法律上の根拠なしに通信情報を取得してはならない。
第8条 平和的な結社、政党の結成および活動は自由とする。ただし、暴力的または違憲的行動は、この限りではない。
第9条 人権に対する制限は、以下の条件をすべて満たす場合に限り認められる: ① 正当な公共目的 ② 法律による明確な根拠 ③ 必要最小限度であること ④ 相当性および合理性を備えていること ⑤ 司法審査の対象であること
第9条の2 すべての国民は、憲法により保障された権利を享受するとともに、以下の基本的義務を負う: ① 教育の権利と義務 ② 勤労の権利と義務 ③ 領域の維持および擁護の義務
第9条の3 基本的人権の行使は、公共の福祉との調和を図るものとする。国家は、個人の権利と社会全体の利益との均衡を確保するため、必要な措置を講じる責務を負う。
第3章 統治機構の構造と権限分立
第10条 国家権力は、立法・行政・司法に分けられ、相互に独立し、均衡および監視を通じて統制される。
第10条の2 各国家機関は、それぞれの職務遂行に必要な予算を、独立して編成する権限を有する。予算審議は国会において個別に行い、他機関の予算と混合してはならない。行政機関は、立法および司法機関の予算編成・執行に干渉してはならない。
第11条 立法権は国会に属し、法律の制定・改正・予算審議および内閣の監視を担う。
第12条 行政権は内閣に属し、法律の執行、外交、行政機構の統括および予算案作成を行う。
第12条の2 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の指名により選出される。総理大臣および国会議員は、文民でなければならない。
第13条 司法権は裁判所に属し、紛争および違憲審査を含む法的判断を下す権限を有する
第4章 任命・人事制度と制度的中立性
第14条(国家人事委員会の設置と機能)
国家人事委員会は、三権および統治関連機構に属する高位公職者の任命・罷免・人事評価に関する制度的中立性・透明性・公正性を確保するため、憲法に基づき設置される。
委員会は、国会、内閣、憲法裁判所、行政監査機構よりそれぞれ推薦された委員で構成される。任期および資格は法律により定める。
委員会は、任命履歴・審査記録・資格検証結果を保全し、任命前後に必要な聴聞手続を実施する。
委員会は、任命過程に対する異議申立てがあった場合、再審査する権限を有する。
第15条(聴聞会制度の導入)
憲法裁判所判事、最高裁判所判事、検察長官、軍法会議主席判事その他の高位公職候補者は、任命前に国家人事委員会による公開聴聞を受けなければならない。
聴聞会では、候補者の制度理解・倫理観・見識・思想傾向について質疑が行われ、市民団体や専門家による意見陳述も許容される。
聴聞記録は公的文書として保存され、任命権者はこれを踏まえて承認判断を行う。
第16条(政治任用の原則と制限)
行政組織のうち、政策判断に直接関与する職位に限り、個別法により政治任用が認められる。
政治任用には国家人事委員会の審査および国会の承認が必要であり、任期は限定され、再任には再審査を要する。
司法・準司法・軍務に属する専門職は、原則として政治任用を認めない。
第17条(専門官僚制度の保障)
技術的・実務的専門性を要する官職は、政治任用の対象外とし、法に基づく資格および職務評価により任用される。
専門官僚の人事は国家人事委員会の監督下に置かれ、政権交代等による恣意的異動を避ける。
第18条(人事に関する公開と市民参加)
委員会は、公職任命の要点(選定理由、資格、審査結果等)を原則として公開し、制度的説明責任を果たさなければならない。
市民は、人事制度に関する不正または任命の不当性について懸念がある場合、委員会に申立てを行う権利を有する。
第5章 二院制と立法手続
第19条(二院制の構成) 国会は、国民代表の衆議院と、地域政府代表の道州院(参議院)により構成される。
第20条(衆議院) 衆議院は、全国民による普通・平等・直接・秘密の選挙により選出された議員で構成される。政権選択機能および立法主導権を有する。
第20条の2(衆議院の任期) 衆議院議員の任期は四年とする。ただし、議会の解散がある場合は、任期満了前に終了する。
第20条の3(衆議院の解散と内閣不信任) 衆議院の解散は、内閣不信任決議が成立した場合に限り、内閣総理大臣が行うことができる。内閣不信任決議は、衆議院議員の過半数の賛成をもって成立する。解散後の選挙は、解散の日から四十日以内に実施されなければならない。
第20条の4(信任案との整合性) 内閣信任案が衆議院で可決された場合、内閣はその職務を継続するものとする。不信任案が成立した場合、内閣は解散または総辞職のいずれかを選択する義務を負う。
第20条の5(不信任成立後の解散拒否) 内閣が不信任決議成立後に解散を拒否した場合、内閣総辞職が義務付けられる。これにより、議会多数の意思が尊重される制度的保障が確保される。
第21条(道州院) 道州院は、各道州政府による推薦または間接選出により構成される。地方の国政参加、利益代表および法案再審査権を有する。
第21条の2(道州院の任期) 道州院議員の任期は六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
第21条の3(道州院の問責決議と衆議院への勧告) 道州院において問責決議が可決された場合、衆議院に対し、内閣不信任案または信任案の提出を勧告することができる。この勧告は法的拘束力を持たないが、衆議院はこれを審議する義務を負う。
第22条(法案の発議と審議) 法律案は、内閣および国会議員が発議することができる。発議は原則として衆議院から行い、両院で審議・可決されなければならない。
第22条の2(一事不再理の原則と再提出の制限) 同一会期中において、同一内容の諸議案(信任案または不信任案を含む)については、再度発議または審議してはならない。ただし、法律の定める例外条件に該当する場合は、この限りではない。
第23条(両院の協議と優越) 両院の議決が一致しないときは、両院協議会を開催する。協議が不調に終わった場合は、衆議院の三分の二以上による再可決をもって議案は成立する。ただし、予算案および条約については衆議院の優越を認める。
第23条の2(条約の締結と承認) 条約の締結は内閣が行う。ただし、条約に法的効力を持たせるには、衆議院の承認を必要とする。
第23条の3(憲法と条約の優越) この憲法は、国内法規および条約に優越する。条約が憲法に矛盾する場合には、憲法の規定が優先される。条約の国内法化に際しては、憲法の基本原則を尊重し、国会の承認を必要とする。




