魔法会10
手伝っては欲しいけど……言ったら理由を聞かれそう。
どうしてそんな本を読みたいんだ、って質問されたら……復讐の事まで暴露させられる可能性まで出てきそうだ。
でも、ここで隠したら余計に怪しまれるような……
そんな事を考えながらディオンを見ていると、「なんだよ」と眉をひそめられた。
「お……教えたくない」
「お前、そんな恥ずかしいのが読みたいのか?」
「ち!違っ!」
真っ赤になって慌てて否定すると、ククッと顔を歪められる。
「冗談に決まってんだろ」
くっ!完全に遊ばれてる!
「まぁいい。俺も調べ事があるから、お前はお前で好きにやってろ」
その言葉と共に、大きな背中が私に向けられホッとすると、すぐに振り返ってくるディオン。
「あ、そうだ。知ってるかもしんねぇけど、この部屋の本は持ち出せないからな。出来なくもねぇけど面倒だからここで読んでいけよ」
「うん、分かった」
そうだよね。
入ろうとするだけで死んでしまうかもしれない位のセキュリティをかけて守っている極秘?の本たちを、さすがに外には持ち出せないよね。
「ふぅ……」
小さくため息をつき、気を取り直して3段目を確認していく。
「違う……これも……」
3段目も終わりが近づき、焦りが募ってきた、その時――
平行時空と超空間……?
「……あっ」
あった!!
こ、これだよね!?きっとこれだ!!
やっと見つけた興奮で胸が高鳴る。
「こんな事なら大ジャンルだけ先に見ておけばよかった。探し方間違えた……」
そう呟きながら『平行時空と超空間』の本が並ぶ棚に目を向ける。
すると――
「少なっ」
なんと、そこにあったのは、たった数冊だけの本。
他のジャンルは棚2つ分も占めるものだってあったのに!
なんという少なさ……
……いや、でも数より中身よ!
そう自分に言い聞かせ、1番手前の本を手に取り、目次を確認していく。
「とりあえずこれは違うな」
パタンと本を閉じて、本棚に戻しながら考える。
あの黒髪の奴に復讐するためには、私が逆転生する形で前世に戻るか、複数存在していると言われる平行世界へ移動するのかの――どちらかだと思う。
もし他に方法があるのなら、それでもいい。
手段を選ぶつもりはないけど、平行世界へ移動が理論上、1番可能性が高いはずだ。
「これが最後の本か……」
最後の本はとても分厚く、手にするととても重い。
手首を痛めそうな程の重さに、すぐ横にあった小さな1人用の椅子に腰かけ、期待と不安を胸に表紙をパラっとめくった。
その瞬間、凄い量の目次が目に飛び込んで来た。
目次を流し見するだけでも、極秘とされているだけあって、図書館に置いている本とはまるで内容の濃さが違うのが分かる。
深く部分まで書いてそうな目次に期待に胸が高鳴る。
すると――
「……あっ」




