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【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


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魔法会4

 

 タチバナ・シエル目線――


 もうすぐで、待ちに待った魔書資料室に行く時間だ。


 昨夜は一睡も出来なかったせいで頭がぼんやりするのに、なんだかそわそわして、全然ジッと出来ない。



 もうすぐでディオンが講師の用事を終わらせる。

 そしたら、ついに……


 なんか、資料室に行くのが怖くなってきた。

 行きたいんだけど……知るのが怖い。



 普通には脱園出来ないと知ったあたりから、脱園や復讐のヒント探しで図書館の本を本気で読み漁り始めた。


 でも、結果図書館にある本にはヒントは無くて、普通に卒業するしか方法は無いんじゃないかと思い始めた頃――

 ローレンに『魔書資料室』の存在を教えてもらった。




 あの頃から、魔書資料室に手掛かりがあるって信じて来た。


 魔書資料室は、ずっと私にとって人生の希望の星だった。


 だからこそ……怖い。




 もし、復讐のヒントも、何も書いて無かったら……私は……




 あぁー!

 駄目だ!寝不足のせいかな?さっきから悪い方にばっか考えちゃう!


 図書館にも置けないくらいの本なんだから、きっと手掛かりがあるに決まって

 る!絶対そう!

 もうすぐ、やっと復讐への第一歩が踏み出せるかもしれないんだ!



 そう思って自分を奮い立たすようにして、無理やり心の中でガッツポーズをすると、横から大きな声が耳に入って来てハッと我に返った。



「きゃー!アラン様カッコイーー!」

 私の視界には、目がハートになったメイ。


「あぁ~、あの首筋、大きな手、成熟したような大きな体。なのにあの女に慣れた感じが大人でいい!今まで学園には居なかった逸材いつざいよねぇ~!」

 隣のメイはうっとりするように話す。


「なんだろう……。メイが言う言葉が全部卑猥(ひわい)に聞こえるのは」

「へ!?ちょ、ちょっと止めてよシエル」

 焦った様子のメイは「私はただアラン様を推してるの!」と言う。


「推し……ねぇ」

 この前までローレン推しだったのに、今度はアランなのね。

 まぁそんなのはメイにとってはよくある話だけど。


 空に大きく映し出されたモニターに目をやると、そこにはちょうど勝利を収めた瞬間のアランが映し出されていた。

 嬉しそうにガッツポーズを決めている。


「まぁ……でもカッコイイよね。見た目のわりに人当りもいいし」

「でしょ!?あ、でも抜け駆けは駄目よ!」


「抜け駆けって……、アランはカッコイイとは思うけど……」

 そう言った時、ズンっと誰かが前に立ち塞がり、モニターに映るアランの姿がスッポリと隠れてしまった。


 ん?と思って体を辿たどるように視線を上げていくと、腰に手を当てて私を見下ろす不機嫌そうなディオンの姿があった。


「おい、さっさと行くぞ」

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