魔法会2
でも、剣を完全に出し切る前に、相手が赤く燃え上がるような剣を手にして、俺に向かって飛び掛かってきた。
「うおっ!」
出すの早っ!
そしてなんや、その触れるだけでヤバそうなその剣は!
全然顔に似合ってへんやん!
遅れながらも、なんとか出した魔法の剣を急いで構える。
頼りない灰色の剣と、燃え上がるように真っ赤な相手の剣が、ガンッと大きな音を立ててぶつかった。
その瞬間、電気のような衝撃が手にビリビリと走り、ズシリとした重みが手首にのしかかる。
「ぐっ……」
重っ!!
せっかく治った手首がまた痛なりそうや。
誰や!弱そうやって言ったのは!
凄まじい勢いで相手の攻撃が繰り出され、こちらからは手も足も出せない状態。
剣で受け止めるか、必死にかわすだけで、反撃なんて無理。
「凄い!サオトメ・ロレンツォ選手、押しまくる!このまま一気に勝負が決まってしまうのか!」
その放送が耳に入った瞬間、イラっとした。
さらに、対戦相手が追い打ちをかけるように俺を挑発してくる。
「なんだ。ハンデバンドを付けてその程度?魔力の覚醒なんて全然大したことないんだね」
澄ました顔で、俺にしか聞こえんような声量で言うてくるんが、さらに腹立つ。
「は?なんや、お前。Fクラスはほぼ真ん中やから大してバンド効果ないんやで!そんなんも知らんのか!」
「知ってるよ。でも、僕のバンドは魔力を減少させるもので、君が付けてるのは多少でも増幅するもの。なのに全く手も足も出せてないよね。バンドが無かったら一体どうなるんだろうね」
「うるさいわ!」
腹立って力任せに大きく剣を振るけど、やっぱり綺麗にかわされる。
「へたくそ」
兜の隙間から、サオトメ様と言う奴の余裕ぶった微笑みが見えて血管が煮えくり返る。
「なんなんや。さっきからえらい突っかかってくるな!俺お前とは初対面やろ?俺、こう見えて記憶力はええんやで」
「そうだね。初対面で合ってるよ。でも、僕は君が嫌いなんだ」
「……はっ?なんでやねん!俺が何をしたって言うねん」
「ハンデバンドがあるクセに僕に勝てもしない奴に、これ以上答えるつもりは無い」
「はぁ!?アホか!俺は魔力の覚醒をしたんやぞ!こんなんが無くても勝てるわ――!」
そう言ってブチっとハンデバンドをちぎり取った瞬間――




